ただの水が「ミネラルウォーター」に変わるカラクリ

  by 丸野裕行  Tags :  

どうもライターの丸野裕行です。

昔は“鉄管ビール”と称され人々の喉を潤していた水道水も、今ではカルキの臭いが気になるからという理由で、そのまま飲まれることが少なくなりました。

人々の需要に応えて「ミネラルウォーター」が登場したころには、さらにその傾向が顕著となっていました。あなたの家にもウォーターサーバーなどが設置されているのではないでしょうか?

飲用や調理などに使ったりするのはもちろん、ハリウッドスターのリッチな人々は、湯船に溜めて入浴に使ったりするなどと言われています。

確かに水道水はミネラルウォーターと比べると美味しいとは言えませんが、しかしながら非常に安くタダ同然の価格ですよね。

それがひとたびミネラルウォーターになると、500mlのペットボトルが100円~130円と高額になってしまいます。

あなたは水道水とミネラルウォーターのどこが違うのかを考えたことがありますか? 今回は、ただの水が「ミネラルウォーター」になって高くなってしまうカラクリを解説していきたいと思います。

「ミネラルウォーター」は4つに分類される

平成2年3月に制定され平成7年2月に改正された農林水産省の品質表示ガイドラインによると、「ミネラルウォーター」は【地下水などのうち、飲用に適した水を容器に詰めたもの】と定義され、大きく4つに分類されています。

1.特定水源から採水された地下水を原水にし、濾過、沈殿、加熱し、殺菌した以外の物理的化学的処理を行わないものは“ナチュラルウォーター”と記載すること

2.ナチュラルウォーターの中で鉱化した地下水(地表浸透し、地下を移動または地下滞留中に地層の中の無機塩類が溶け出した地下水(天然二酸化炭素が溶解、発泡性がある地下水を含む)を原水にしたものは、“ナチュラルミネラルウォーター”の記載をすること

3.ナチュラルミネラルウォーターを原水にして、品質安定させる目的のためにミネラル調整、ばっ気、複数水源から採水したナチュラルミネラルウォーターの混合が行われているものは、“ミネラルウォーター”と記載すること

4.ナチュラルウォーター、ナチュラルミネラルウォーター、ミネラルウォーター以外のものは、“飲用水”又は“ボトルウォーター”と記載すること

の4つです。

簡単に言えば、採水地の違いや処理方法などの違いによって、区分されているわけですね。

「ミネラルウォーター」ができるまで

次にこの「ミネラルウォーター」ができるまでの過程を、最も一般的な方法で見ていきましょう。

「ミネラルウォーター」自体のラベルには『〇〇の水』などという採水地が表示されていますが、その地名の近辺にある水源で採水し、タンクローリーで工場へと運ばれています。

工場ではそれぞれの水処理をして、ペットボトルや宅配用のサーバーボトルに詰め、配送センターへ送られることになるわけですね。それからは、全国を流通し、私たちの手元へ届きます。

よく考えてみると、「ミネラルウォーター」も採水地で汲んで直接ボトル詰めしているわけではなく、どこかで湧き出したり染み出したりした源水を人工的に処理した水ということになります。この仕組み自体は、水道水と変わりません。間違えやすいのですが、「ミネラルウォーター」は自然から湧き出たそのままの水ではない、ということを認識しておく必要はありそうです。

「ミネラルウォーター」に含有されるミネラル量

ミネラルウォーターには多くの種類がありますが、それらの中でもよく含まれている成分といえば、ナトリウムやマグネシウム、カルシウム、カリウムなどが挙げられます。

私たちは1本のミネラルウォーターからたくさんのミネラル成分を摂取できると考えがちですが、1日に必要なミネラル分をミネラルウォーターだけから摂ろうと思った場合、平均で10L以上の「ミネラルウォーター」を飲む必要があります。

「ミネラルウォーター」をいくら飲んだとしても、摂取できるミネラルは限られているのです。

原価っていくらなの?

では、この「ミネラルウォーター」の原価はどの程度かかっているのでしょうか?ペットボトル(500ml)の「ミネラルウォーター」に関する平均原価というのは、このような感じです。

・中の水 0円
・容器台 14.5円
・ボトルキャップ 3.5円
・品名のラベル 2円
・滅菌処理代、配送コスト 1本15円
・配送用の梱包段ボール 1本2円
​合計 約37円

​土地代、借地代と地下水を汲みあげる機材、電気代などはかかるのですが、原価はまったく掛かりません。​ですから単純に輸送運賃と容器代しか掛からないんです。

売られている水と水道水の価格の違い

もうお分かりいただけたと思いますが、ここで平均価格の違いを見てみましょう。

・「ミネラルウォーター」……約47円/1L
・「ウォーターサーバー」……約126円/1L
・「水道水」……約0.25円/1L
 ※地区によって異なります

これほど圧倒的な差があるわけですね。これは、「ミネラルウォーター」は容器代、ウォーターサーバーには移送費用が多く掛かるということです。

考え方にもよりますが、0円という原価の水に1リットル45円から126円も払うって、よく考えるとかなりもったいないですね。

まとめ:なぜ「ミネラルウォーター」は広まったのか

海外では「ミネラルウォーター」はかなりポピュラーな存在でした。それは、水道水を飲むことができる国はほとんどないからです。もし自国の水道の水が飲めるのであれば、誰もミネラルウォーターなんて買いません。

なぜ水道が飲める日本で数多くの種類のミネラルウォーターが売られているのでしょうか。需要があるからにほかなりませんが、非常に利益が大きいからでもあります。

むろん水道水に対する消費者の不安や、水を買って飲むというスタイルがグローバルであるという価値観も起因しているでしょうし、純粋に味が良いからという理由もあるかと思います。

しかし、ミネラルウォーターの持つ“イメージ”だけが先行していたという人は、こうした水ビジネスの成り立ちや他の選択肢について知っておいても損はないかもしれません。

※画像はすべてイメージです
(C)写真AC

丸野裕行

丸野裕行(まるのひろゆき) 1976年京都生まれ。 小説家、脚本家、フリーライター、映画プロデューサー、株式会社オトコノアジト代表取締役。 作家として様々な書籍や雑誌に寄稿。発禁処分の著書『木屋町DARUMA』を遠藤憲一主演で映画化。 『アサヒ芸能』『実話ナックルズ』や『AsageiPlus』『日刊SPA』その他有名週刊誌、Web媒体で執筆。 『丸野裕行の裏ネタJournal』の公式ポータルサイト編集長。 文化人タレントとして、BSスカパー『ダラケseason14』、TBS『サンジャポ』、テレビ朝日『EXD44』『ワイドスクランブル』、テレビ東京『じっくり聞いタロウ』、AbemaTV『スピードワゴンのThe Night』、東京MX『5時に夢中!』などのテレビなどで活動。地元京都のコラム掲載誌『京都夜本』配布中! 執筆・テレビ出演・お仕事のご依頼は、丸野裕行公式サイト『裏ネタJournal』から↓ ↓ ↓

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