京料理というと上品だが味が薄いというイメージが先行する。記者も京都市に住んだことがあるにもかかわらずそう感じていた。確かにそういう面もあるには違いないが、今回紹介するお好み焼き・鉄板焼きのお店「わらい」はその常識を打ち破るものだったのでレポートする。
まずは実食レポートを VR360動画でご覧いただこう。
■【VR360空間音声】錦わらい 五反田駅店
https://youtu.be/Yo0vQyVJhSc
実食したお店は、錦わらい五反田店だ。五反田駅前にあるので駅から徒歩1分ほどの好立地。
正直な話だが、京風お好み焼きとはいってもその定義はない。基本的な作り方は大阪のそれと同じだ。しかしながら、基本のお好み焼きも数種類あり、その中には大阪でも広島でもない新しいお好み焼きも存在する。もちろんメニューには京野菜をふんだんに使ったものも多く、それらを含めて同店のお好み焼きがこれからの「京風お好み焼き」を定義するものなのかもしれない。
では、メニューの一部を紹介する。
わらい焼き
わらい焼きは、大阪で言うところのモダン焼きに似る。そのため、まずは中に入れる焼きそばから作り始めるのは大阪と同じ。
しかし、モダン焼きよりも柔らかく麺が入っていることを意識させないのは、麺そのものが柔らかいのと半熟程度の卵によるもの。
上に乗せたたっぷりのネギは西日本では当然の青ネギ。しかしただの青ネギではなく京野菜である「九条ネギ」なのが特筆に値する。
九条ネギは肉厚で食べごたえがありシャキシャキ感のある食感と甘みが特徴でネギ独特のクセが少ない。ネギだけを食べてもいいくらいだ。実食の感想は動画をご覧いただきたい。
京天焼
「京天焼」は今まで食べたことのない製法の新しいものだ。
柔らかく塩味が付いた生地は流れやすい。そのために鉄板に枠を乗せてから流し込むパンケーキのような作り方だ。しかも麺をカットしてあらかじめ入れてあるのも特徴だ。
当然ながら出来上がりはふわふわで、そのまま食べることもできるし、特製のレモン醤油をかけて食べればさっぱりした味で女性のランチにも最適だろう。
トッピングで乗せたカイワレ大根はそれほど辛くはなく、さっぱり感がさらに増すのでおススメのアイテムである。
京うすあげの九条ネギのせ
うすあげを焼いて九条ネギを乗せただけのシンプルメニューだが、でかくて食べごたえ十分なのでお酒のおつまみにぴったり。以外にもあっさりした味付けではあるが、九条ネギの肉厚な甘みが加わって噛めば噛むほど香ばしく味わい深い。箸でたっぷり九条ネギを包んで口に放り込みたい。
京の打田漬物盛り合わせ
京都の漬物を京都旅行のお土産に求めて帰る人が多いのはその歴史に裏打ちされたおいしさゆえ。
およそ80年の歴史を誇る打田漬物の色鮮やかな京つけものをそのまま東京に持ってきたのがこのメニュー。目で鮮やかな色合いを楽しんで、鼻で香りを楽しんで、舌で味を楽しむ。東京にいながら本物の京つけものを手軽に味わうことができるのも、京都の会社だからこそできる技だ。
お好み焼きの後に京つけものとご飯を付け足せば、気分は京都の貴族とは言いすぎか。
わらいのとんぺい焼き
大阪をはじめとする関西では広く食べられるおやつメニューでもあり、おつまみメニューでもあるとんぺい焼きは、焼いた豚肉とキャベツ等の野菜を薄焼き卵で巻いてソースをたっぷりかけたもの。しかし、同店のとんぺい焼きは卵が分厚く量も多い。ご飯のおかずにもなりえるほどだ。そしてここにも惜しげもなく盛られた九条ネギ。
青ネギに慣れている西日本の方には懐かしく、通常は薬味として白ネギを食する機会が多い東日本の方には新鮮に映るだろう。
実食したメニューは以上だが、この数倍の品ぞろえがあり、ランチや居酒屋としての利用はもちろんのこと、会社帰りに夕食を食べる食堂としての利用にも十分耐えられる充実ぶりだ。
多くの方がイメージするいわゆる「京風」とは異なるが、京都の美味しさをふんだんに取り入れた同店のメニューは新しい「京風」の定義となりうるのかもしれない。出店した場所の地元の方に愛していただきたいという想いが詰まったお店なので、まずは東京で手軽に京都を味わってみてはいかがだろうか。
※写真および動画はすべて記者撮影・収録