「不朽の名作をなんだと思っているのか」 日本チャップリン協会会長がテレビ局に苦言

映画プロデューサーで日本チャップリン協会会長の大野裕之さんのツイートが注目を集めている。

某テレビ番組スタッフからテレビ番組の企画で眠さを誘発させるネタとしてチャップリンの『ライムライト』を上映したい、という趣旨の依頼を受け、その内容の無礼さと不見識ぶりにあきれはてたという大野さん。

『ライムライト』は名作ぞろいのチャップリン映画の中でも特に評価の高いヒューマンドラマで、そもそも無声映画ではない。

https://twitter.com/ono_hiroyuki/status/1169501037566185472?s=19

テレビ局から非常識な依頼「芸人が眠さを耐久する企画にチャップリンの『ライムライト』を上映したい。無声映画は挑戦者の眠さを誘発させるのではないかというが制作の意図です」呆れて物も言えない。不朽の名作をなんだと思っているのか。抗議メールを送っても返事もない。真面目に仕事してほしい。(原文ママ)

https://twitter.com/ono_hiroyuki/status/1169501828532162560

そもそも、『ライムライト』は無声映画ではない。基本的なことも調べず、極めて失礼なメールを送りつけて、3日後に収録ですので急いでくれ、と。本当にひどい。天才が精魂込めて作った傑作。まずはちゃんと見なさい。それから何を感じたか、メールください。

大野さんの嘆きに対し、映画ファンからは数多くの怒りのコメントが寄せられている。

「チャップリン協会会長の大野さんにチャップリンの映画を観ずに連絡する時点でおかしいと思います。
ライムライトは無声映画じゃないし、眠たい映画じゃない。
本当に酷い依頼です。
もし上映したとしても、芸人の方々は耐えるどころか感動します。
チャップリンは私達に沢山の事を教えてくれるから。」

「“もしあなたの局の番組をそうした企画に使いたいと言われたらどう思いますか?”と返したいですね」

「連絡があったということはその局の若い子の単なる思いつきではなく少なくともDがそれでやれと言っているのでしょうね。
ちょっと信じられない話ですね。」

「改めて勉強不足も甚だしいですね
企画が安易なのは若い馬鹿なんだななんですが使う映画がどんなファンがいてどれだけファンがいるのか想像すら出来ないのは致命的です
企画通したおっさんも致命的です」

「私の祖父は生前チャップリンの映画が大好きでした。
“チャップリンの映画は、どんなに辛い事があっても真正面から立ち向かって、自分の人生を誇りを持って愛して生きろと教えてくれる”とよく熱弁してくれたのをたまに思い出します。
なんだか私の祖父まで馬鹿にされたようで悲しくなりました。」

大野さんはテレビ業界について「真面目に番組作りをしている人がほとんど」と弁護しているが、一般の映画ファン達がそう責めたくなるのも理解できる。テレビ番組スタッフがチャップリンや無声映画にどんな印象を持とうが自由。しかし、作品にとってマイナスの意味合いでそれを利用したいということを関係者に堂々と要求できるセンスにはただただびっくりするばかりだ。

※画像はTwitter(@ono_hiroyuki)から引用しました。

中将タカノリ

■シンガーソングライター、音楽・芸能評論家 ■奈良県奈良市出身 ■1984年3月8日生まれ ■関西学院大学文学部日本文学科中退 2005年、加賀テツヤ(ザ・リンド&リンダース)の薦めで芸能活動をスタート。 歌謡曲をフィーチャーした音楽性が注目され数々の楽曲提供、音楽プロデュースを手がける。代表曲に「雨にうたれて」、「女ごころ」(小林真に提供)など。 2012年からは音楽評論家としても活動。さまざまなメディアを通じて音楽、芸能について紹介、解説している。

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