スケソウダラのタンパク質で食ササイズ?食べるだけで筋肉が増強!

  by 古川 智規  Tags :  

東京ビッグサイトで開催された第21回「ジャパン・インターナショナル・シーフードショー」において、日本水産が同社のブースにおいてスケソウダラのタンパク質について最新研究を紹介したので取材した。

スケソウダラのタンパク質は「栄養面」「機能面」の両面において優れたタンパク質であることがわかっている。
まず栄養面については、タンパク質には体に利用される割合が高いタンパク質と、利用されにくいタンパク質があり、質の良いタンパク質の代表例が卵だ。卵は効率よく筋肉の源として利用される。スケソウダラは卵と同等以上のタンパク質で、卵の84%を上回る97%程度が体に利用されることが分かっている。
一方、機能面については65歳以上の高齢者においてスケソウダラのタンパク質4.5gを3か月間食べ続けると19名中15名で筋肉の増加が示唆されたという。さらにラットを使った実験で運動後の筋肉再生と同様の作用が起きることが分かったとのこと。

多くの魚肉加工食品にはスケソウダラが使用されているのはご存じの通り。そのまま切り身を鍋や煮物で食べることもあるが、ちくわ、白身魚のフライ、カニカマ等、比較的安価にかつ手軽に食べることができる食品が多い。

魚を食べるには、みんな大好きなお寿司でもよいのだが、スケソウダラの刺身というのは聞かない。実はスケソウダラはそもそも脂がのっていないので刺身には向いていない。また腐敗しやすく、おおよそ1時間程度で自分の酵素で分解が進みうまみ成分もなくなってしまうので生で食べるのには適していないと言われる。

そこで加工食品となるわけだが、同社が販売している「おさかなミンチ」を試食した。本品はスケソウダラをミンチ肉のようにしたもので、いわゆる「ひき肉」と同じように使うことができる。試食したものは単純に調味料で炊いただけのものだが、団子にしてもいいし、そのまま炒ってもいいし、キーマカレーやミートソースのように使うこともできるだろう。とてもおいしかった。

研究成果を発表した日本水産 食品機能科学研究所 機能性素材開発課 内田健志氏に個別取材をして、スケソウダラ以外の白身魚ではどうなのかを聞いてみた。同じ白身魚でもかなり違っていたという。同等の機能が備わるものもあるが、値段が高いことと漁獲量がそもそも違うことから、安くて広く加工食品が流通していていつでもどこでも手に入るスケソウダラに注目したとのことだった。
ちなみにスケソウダラのたんぱく質を4.5グラム摂取するのに必要な加工食品の量はそれぞれ、ちくわ1本、鍋や煮物に利用するなら半身約30グラム、フライ1個、カニカマ1.6本、おさかなミンチ約30グラムとのことだった。

運動による筋肉増加には、まず筋繊維が壊れる「自己破壊」からスタートするが、スケソウダラのたんぱく質摂取では、この「自己破壊」を伴わないため筋繊維にダメージを与えることはないらしい。また筋肉には持久力を支える遅筋と、瞬発力を生み出す「速筋」があるが、加齢とともに減少するのは速筋の方でスケソウダラのたんぱく質で増強される筋肉も速筋であるという。
同社の調査によると特に朝食のたんぱく質摂取量が少ないということだったので、朝食に一品加えて手軽にバランスの良い食生活を送るとともに筋肉を増強して「食ササイズ」を実践してみてはいかがだろうか。

※写真はすべて記者撮影

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