全国どど~ん!と「どんぶり」スポーツ応援キャンペーン 記者発表会・試食会取材レポート

  by 古川 智規  Tags :  

全国農業協同組合連合会(全農)とJA全国女性組織協議会(JA全女協)は、『全国どど~ん!と「どんぶり」スポーツ応援キャンペーン』を実施する。事前に行われた報道関係者向けの記者発表会を取材したので、キャンペーンの内容と試食したどんぶりをレポートする。

記者発表会で紹介された本キャンペーンの趣旨は以下の通りである。
「米の消費拡大と地産地消、食農教育を進めることを目的としている。JA全女協が開発したスポーツを頑張る子供たちに向けて47都道府県のご当地どんぶりレシピを紹介し、イベント等を通じて提供する。」ということである。

さまざまなキャンペーンがあるが、面白い試みとしてネット上の特設サイトでは国産食材を学べるクイズを展開し、抽選で47名にお米1俵が当たる企画を用意しているという。
写真は米俵3つ、つまり3俵だが、このうちの1つ分が届くというのである。今では俵という単位は法律により公式に使用することができないので、日常生活では使わないが流通過程では慣例的に使用されていて米の場合の1俵は60キログラムである。

なお、各どんぶりのレシピやクイズ等にアクセスするための特設サイトのリンクを記事の最後に記載するので挑戦していただきたい。

さて、試食会では47のどんぶりを食べるわけにはいかないので、代表で3つのミニどんぶりが提供された。
写真左から茨城県・奥久慈シャモの親子丼、東京都・TOKYO X 煮豚ヒレ丼、愛知県・野菜たっぷり味噌カツ丼である。
これらを含む47種類のどんぶりは、家庭で作る場合に概ね500円程度で作ることができるようにしたとのこと。

「茨城県・奥久慈シャモの親子丼」は「常陸農業協同組合女性部」の作。地鶏である奥久慈シャモを使った深い味わいの親子丼である。シャモはニワトリの一種で基本的に闘鶏用である。日本には江戸時代に輸入され、食肉用や観賞用として独自に品種改良がおこなわれた。本来が闘鶏用なので日本語ではシャモを「軍鶏」と書く。記者はフィリピンで闘鶏用のニワトリの練習を見たことがあるが、勝つまで(相手が死ぬまで)とびかかり突っついて蹴飛ばす攻撃を繰り広げるために、練習では人間が抱え上げて引き離さないと本当に死んでしまう。気性の荒いニワトリであるが運動量が半端ではないので、うまみは肉本来の味だとされている。
そんな勝負にこだわるシャモを食べて頑張ってほしいという願いが込められているのだろう。

「東京都・TOKYO X 煮豚ヒレ丼」はJA東京女性組織協議会の作。TOKYO Xとは三元豚のブランド名である。三元豚とは三種類の豚を掛け合わせて生産されたものをいう。その豚のヒレ肉を煮豚として使用し、麦とろや東京産の野菜を加えた一品。
中でもコマツナ(小松菜)は東京都江戸川区が発祥とされる。諸説あるが時の将軍吉宗が鷹狩に出向いたときに当地でコマツナを献上したところ、覚えめでたく栽培地の地名を取って小松菜と命名したとか。現在でも江戸川区には小松川という地名があり小松菜が栽培されていて、江戸川区の名産品になっている。使い方はほうれん草とほぼ同じだが、栄養豊富でクセやアクやえぐみが少ないためにほうれん草よりも広範囲に使用することができる。江戸川区には小松菜で作った小松菜まんじゅうがあり、お土産や普段食べるお菓子として好評だ。実はこれを考案したのもJA東京スマイル江戸川地区女性部で、区のイベントで現在でも数量限定で販売している。そんなクセのないコマツナはアブラナの一種なので、鍋でもどんぶりでも生のままでもいかようにも食べることができるばかりか、栽培が容易で寒暖差に強いので、年中ペットボトルの水耕栽培で育てることも可能。
首都東京に畜産物や農産物が豊富にあることにおどろきを感じながら食べていただきたい。

「愛知県・野菜たっぷり味噌カツ丼」は「JAあいち女性協議会」の作。名古屋では有名な味噌カツなのでもはや説明は不要であろう。しかし、一工夫がある。野菜たっぷりなのだが生では食べにくいということで、電子レンジでひと加熱してから味噌カツの下に敷き詰めてある。これにより、カツと八丁味噌のタレと野菜が一体化して、どんぶりとしての一体感が完成している。
現在では八丁味噌そのものは言うに及ばず、完成品の味噌ダレさえも全国で手に入るので作るのに困難はないだろう。

地産地消を目的の一つにしているが、現地でしか手に入らないものもまれにある。特設サイトのレシピには「他県では入手しづらい代替品」の項目があり、全国どこででも好きなどんぶりを作ることができるように配慮されているのは全国55万人のJA女性組織ならではの細かい心配りだと言えるだろう。
ネット上のキャンペーンの他にもキッチンカーを使用した提供イベント(有料提供の予定)、アイドルグループとのコラボ企画、東京五輪で来日する外国人に向けた日本のファストフードたる「どんぶり」を提供する等、実際に食べることができる企画もあるようなので、見かけた際には出身地のどんぶりを食べて懐かしむのもよし、遠い都道府県のどんぶりを食べて旅情に浸るのもよし、実際に作って日本のお米と食材のおいしさを改めて実感するのもよし、気に入ったどんぶりを作ってみてレパートリーに加えてみてはいかがだろうか。

※参考
特設サイト
https://dodontodonburi.com/ [リンク]

※写真はすべて記者撮影

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