足指を積極的に使用した歩行が可能に!『丸五』の地下足袋型シューズ使用レビュー

  by 古川 智規  Tags :  

地下足袋をはいたことはあるだろうか。
どちらかというと工事現場の職人のものというイメージがあるが、実際の需要はその通りだろう。細い材木や鉄骨の上、高所で作業するには地下足袋は都合の良い履物である。足裏全体で歩く西洋の靴と異なり、足の指で地面をつかみながら歩くので細かい動きが可能で滑りにくいという特徴がある。
とはいえ、さすがに長靴タイプの地下足袋を普段履きするにはデザイン的にもファッション的にも適さないので、やはり職人の履物ということになっているのだろう。もちろん、和のすべてが詰まる祭りの神輿を担ぐ人々にも愛用されているので、職人のものだけではないのだがそれでも限定されたイメージであることに変わりはない。

丸五は地下足袋を製造する日本でも有数の老舗メーカーのうちの一つである。同社は岡山県倉敷市にあり、今年で創立100年を迎える。100年前というと1919年、和暦でいうと大正8年である。現在知られているゴム底の地下足袋は明治になってから登場するので、同社は地下足袋ができたころから操業している老舗で間違いはない。
同社は「地下足袋文化を継承し発展させることによって、人々の健康に貢献する」という目標をを実現すべく、地下足袋のノウハウを活かした日常生活でも履ける足袋型シューズや足袋型トレーニングシューズを開発している。知っていても普段はくことのない日本人はもちろん、訪日外国人の多くも興味を示し始めてるのは珍しいからだけではなく、その機能的な要素にもよるのだろう。

本稿では同社が開発した地下足袋型のシューズ2品を記者が実際にはいてみたのでレビューする。
まずは写真では伝えにくい概要を動画でご覧いただこう。

■地下足袋がシューズになった!使用レビュー
https://youtu.be/a0xci_gai-Y

たびりら

「たびりら」は地下足袋型のシューズで、後述するトレーニングシューズに特化したものよりは履き心地もデザインも普段履きに向く。

裏から見ると地下足袋そのものだが、立体的に作られており足によくフィットする。
記者が試用したこの靴の生地はデニムで、要はジーンズにゴム底を付けたものをはいていると言えなくもない。ジーンズの日本での発祥は岡山県倉敷市で、現在でも日本のジーンズの生産量は岡山県がトップである。まさに倉敷製の靴なのである。
蒸れやすい足の前方部分はデニムむき出しであなくきちんと裏地が付いているので、履き心地や足触りはよい。

さて、はいていないときはフニャフニャしていたが、きっちりと足を通すと生地がピンと張りまさに「地に足がつく」感触が伝わってくる。
普段履きとしてのデザインも違和感がなく、薄く軽いのでセカンドシューズとして持ち歩くことも可能だ。よって、旅先での軽快かつ足に負担を掛けない歩行にも向いてる。

hitoe(ヒトエ)

「hitoe(ヒトエ)」は、トレーニングシューズに特化した地下足袋型のシューズである。

より立体的に形成されている靴底は、足底はもちろん足裏のサイドに至るまで「地」を感じることができる。
足指でつかむ所作は、はいていれば無意識のうちにそうせざるを得なくなる。ヒトの足の指は地上で直立二足歩行を行うため、樹上の動物と異なり物をつかむ機能は親指を除いてほとんどなく、歩行の際に地面をつかんでける機能が残ったものと考えられるので、いわば足指を使う歩行はヒトの遺伝子に刻まれた本能といえなくもない。ヒトの足指が手の指と比較して短いのはこの歩行のためだと考えられ、よって足の指が自由になると自然に指を使いながら足全体の負担を軽減する歩き方になるのだろう。

よりフィットさせるために足首の開口部は狭く、伸縮性に富む繊維でおおわれている構造で一般的な上履きに近い。前後の歩行のみならず左右の動きにも迅速に対応することができるので、トレーニングシューズとしてスポーツジムのエクササイズでの使用にも向くのではないだろうか。

どちらも若干の機能性に違いはあるものの、足指を積極的に使用した歩行に適しているということには変わりがないので、デザインや履き心地で選択してしまっても問題はないように思えた。
同社では8月2日に東京日本橋に直営店舗をオープンするので、実際に手に取って、足で感じてみてはいかがだろうか。

■店舗情報

店舗名 : MARUGO TOKYO (マルゴ トウキョウ)
住 所 : 東京都中央区京橋1-17-1 昭美京橋第2ビル1階
電話番号 : 03-3566-6105
営業時間 : 11:00~19:00
定休日 : 日・月・祝日 ※8月4日(日)は営業予定

他の地下足袋型シューズについては同社オンラインショップを参照していただきたい。

※参考
丸五オンラインショップ
https://marugo-online.jp/shop/default.aspx [リンク]

※写真および動画はすべて記者撮影・収録

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