裏社会インタビュー:「犯罪の温床に? 秘書代行サービス経営者」に話を聞いてみた

  by 丸野裕行  Tags :  

どうもどうも特殊犯罪アナリスト&裏社会ライターの丸野裕行です。

あなたは、秘書代行サービスや電話代行サービスというものをご存じでしょうか?

普通、商売を起こすには、まずはオフィスを借りて、電話を引き、社員やパートバイトを雇うなど、非常に面倒です。

しかし、この一連の流れを低料金で、すぐに可能にしてくれるのが、秘書代行サービスなんです。その利便さゆえ、一部では犯罪の温床になっているという噂もあります。実際はどんな様子なのでしょうか。

今回は秘書代行サービスを提供している会社経営者・久米田さん(仮名/48歳/運営歴21年)に、お仕事の裏側を聞きました。

依頼者の会社の社員を装う

丸野(以下、丸)「秘書代行サービスを利用するには、どんな手続きが必要なのですか?

久米田さん「利用の仕方は実に簡単です。私たちのような業者に身分証明書や事業証明などを提出して、月々のサービス料金を支払うだけです。それぞれの会社宛ての顧客からの電話には、“はい、○○株式会社です”“はい、○○通販事業部です”と、いかにも自社の社員のような口ぶりで対応しています。ネットショッピングの利用が増えたので、当社のサービスをよく利用していただいていますよ」

丸「実体のない会社をさも存在するかのように演出できるときいたのですが?」

久米田さん「そうですね。会社にはなっていない屋号で、雑誌レディコミなどにウチの電話番号を載せた通販広告を掲載している会社もありますね」

丸「やはり実体のない会社もあるんですね。お客さんに、その会社が実在するかのように、電話でふるまうわけですか

久米田さん「そうですね。基本的に12時間体制で、契約を結んだ業者や個人事業主への電話は、オペレーターが対応しています。最近では、契約者数もどんどんあがっていて、人気ですね」

商品受注から発送までのサービスも請け負う

丸「利用料はいかほどなんでしょうか? そのほかの付帯サービスはあるんですか?」

久米田さん「入会金はなく、基本料金は月額1万円以下でやらせてもらってます。A4用紙1枚程度のマニュアル対応を希望されているお客様には、30〜70コールまでの対応をします。それ以上の対応になると、コールオーバーとして、1コール200円を支払っていただいてます。対応時間は、平日9時から21時までですね。もちろん、その会社のふりをするわけですから、土日祝祭日やお盆、年末年始は休業にしておいた方が、ちゃんとした企業の感じを醸し出すことができますね」

丸「電話って鳴るんですか?」

久米田さん「個人のネット通販では、日に数十本も電話が鳴るようなことはありません。お客様との電話内容をその日か次の日に依頼者に報告し、対応してもらいます。もちろん、これ以上のサービスもあります。商品の注文受付から発送のご案内までを電話代行サービスで賄うこともありますよ。雇っているのは、全員が女性スタッフです。オペレーター経験を2年以上持つ経験者ばかりを集めていますから、電話応対でクレームに繋がることは、あまりありません」

丸「事務所代や人件費がかからず、非常に便利なのはわかったのですが、このお仕事の裏話をお願いします

詐欺まがいのことをやる秘書代行業者も!

久米田さん「このビジネスには、ちゃんと証明書を確認せずに仕事を受ける秘書代行業者もいます。こういう会社は、ニセ会社や詐欺のネットショップを支えていると思いますね。さすがに電話応対などはしませんが、住所の貸し出しを行っているようです。うちの会社に関しては、しっかりとクライアントの身元を確認していますが、会社によっては、私書箱代行や現住所、電話番号の貸し出しまでを行っているところもありますよ」

丸「へぇ~」

久米田さん「会社の所在地までも代行業者の元へ登録してくれるということで人気が集まっています。完全な幽霊会社ができてしまうですよ。秘書代行、電話代行業者ができはじめたときには法律も厳しくなかったのですが、最近では事業者や依頼者の本人確認がかなり厳しくなっています。これを怠ると、犯罪などが起こったときの協力者とみなされて、商売ができなくなってしまうんですよね」

丸「悪い連中が増えているんですね」

久米田さん「最近では、秘書代行サービス業者が詐欺まがいのことをやっている業者と組み、事業証明をデッチあげて、悪質な商売をしていると聞いています。簡単に言ってしまえば、秘書代行サービス業者が被害に遭ったというカタチにして詐欺業者と組み、ひと稼ぎするということになります」

丸「黒い業界ですね

5つの詐欺会社が同じ住所にある

久米田さん「何年か前にあった事例では、大手求人広告会社に似た名前の会社を騙り、“広告料金の未納分がある。早急に振り込んでください”という請求書を、求人サイトや求人チラシに掲載されている業者に送り付け、架空の請求額数百万を詐取したという事件がありました。その請求書に記載されていた兵庫県の住所をネットで調べると、保証人斡旋業者と美顔器販売業者、タンポポエキスを使った豊乳ドリンク剤販売業者、小型犬ブリーダー販売業者の5つが同じ住所でヒットしました」

丸「恐ろしいですね

久米田さん「被害に遭った求人広告会社が警察に被害届を出すと、秘書代行サービス業者は“我々も騙された”として、偽造した事業証明を警察に提出したというんです。絶対に共謀しているはずなんですよ。これだけ、秘書・電話代行が増えると、おかしな輩も増えていきます。堅実にやっている業者がバカみたいですよ、本当に。確かに、ない会社があるように見せるというのは、普通の人から見れば、批判対象になるかもしれませんけど、この便利な秘書代行業界が“アリバイ屋”なんて呼ばれたままでは、たまらないですよ。なんとか悪質な業者を排除するために頑張っているんです」

胡散臭いイメージがあった秘書代行サービスというビジネスモデル。
しかし、真摯な姿勢で熱く語る久米田さんの“この業界をクリーンなものにしたい”という固い意志が伝わってきました。

(C)写真AC

丸野裕行

丸野裕行(まるのひろゆき) 1976年京都生まれ。 小説家、脚本家、フリーライター、映画プロデューサー、株式会社オトコノアジト代表取締役。 作家として様々な書籍や雑誌に寄稿。発禁処分の著書『木屋町DARUMA』を遠藤憲一主演で映画化。 『アサヒ芸能』『実話ナックルズ』や『AsageiPlus』『日刊SPA』その他有名週刊誌、Web媒体で執筆。 『丸野裕行の裏ネタJournal』の公式ポータルサイト編集長。 文化人タレントとして、BSスカパー『ダラケseason14』、TBS『サンジャポ』、テレビ朝日『EXD44』『ワイドスクランブル』、テレビ東京『じっくり聞いタロウ』、AbemaTV『スピードワゴンのThe Night』、東京MX『5時に夢中!』などのテレビなどで活動。地元京都のコラム掲載誌『京都夜本』配布中! 執筆・テレビ出演・お仕事のご依頼は、丸野裕行公式サイト『裏ネタJournal』から↓ ↓ ↓

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