一度は宇宙に行きたい、漆黒の宇宙に浮かび上がる青く光る地球を見たい、微小重力状態で浮遊したい……。そう願う宇宙ファンは以前から根強くいたものだが、ハヤブサ帰還で火が着いた感のある昨今の宇宙ブーム、宇宙ファンならずとも、できるものなら宇宙旅行をしてみたいと夢見る人も増えたのではないだろうか。
そんな人々に朗報だ。ロイターによると、500万ドルを超える純資産を持つ200人などを対象に行われた、米政府とフロリダ州の委託で行われた民間宇宙旅行事業に関する需要調査が1日公表された。現在、最も需要の高い宇宙旅行は、高度約100キロに到達した後、地球に帰還する準軌道飛行で、この場合、搭乗者は数分間ではあるもの、微小重力状態による浮遊を楽しんだり、漆黒の宇宙を背にした地球の姿を眺めたりすることができるという。
準軌道飛行用の宇宙船開発を進める民間企業は現在6社。英ヴァージン・ギャラクティックの6人乗り宇宙船「スペースシップツー」が20万ドル(約1570万円)、XCORエアロスペースの2人乗り宇宙船「リンクス」なら9万5000ドル(約740万円)で宇宙に行くことができるとのことなので、安価な方だと約740万円で宇宙に行けるというのだから、これなら今すぐにでも貯金から出せる、と思う人もいそうである。まだとても気軽にとは言えないが、筆者などは2002年に自腹で宇宙旅行をしたマーク・シャトルワース氏のように、約2000万ドルというサラリーマンの生涯年収をはるかに越える金額を出さなければ漆黒の宇宙を背にした地球を見ることはできないと思っていた。それを思えばたとえ数分間とはいえ、宇宙旅行の夢はぐっと現実味を帯びてきたのではないだろうか。(ただしマーク・シャトルワース氏の宇宙旅行は8日間。記事にある準軌道飛行とは滞在期間が大きく違う。)
記事では、今後10年間で約3600人が実際に宇宙旅行すると予測している。英ヴァージン・ギャラクティックの宇宙旅行には元ライブドア社長平松庚三氏、稲波紀明氏が予約をしており、稲波氏は自身のブログに無重力訓練の様子などを公開している。
筆者は2008年、日比谷公会堂で行われた『星出彰彦宇宙飛行士 帰国報告会』に参加したが、そのときに星出宇宙飛行士が、ぜひ自分の目で宇宙から地球を見て欲しいと、希望に満ちた声色で語られたことをよく覚えている。そうは言っても誰にでも行けないのが宇宙であると思っていたが、事業が軌道に乗り、もう10年経った頃には、頑張れば自分にも手が届く価格になっているかも知れないと期待するのは筆者だけではあるまい。なにしろ、稲波氏だって、本人もご両親も資産家というわけではなく、サラリーマンだというのだから。今からそのときに備えてお金を貯めつつ、平松氏、稲波氏など宇宙旅行体験者の体験談を楽しみに待ちたいものである。
※画像出典
民間宇宙旅行、今後10年間で約3600人が飛行へ=米調査 |Reuters.com
※記事出典
http://jp.reuters.com/article/newsOne/idJPTYE87104020120802
※参考URL
Wikipedia ヴァージン・ギャラクティック
Wikipedia マーク・シャトルワース
稲波紀明オフィシャルブログ