ロマンあふれるブルートレインへの思いが詰まった一冊『旅と鉄道 増刊 ありがとうブルートレイン』

  by 天夢人(テムジン)のPRスタッフ  Tags :  

天皇陛下の退位に伴う2019年5月1日の改元が近づくにつれ、昭和がより遠くなっている今日この頃です。鉄道の世界で考えてみますと、消滅した昭和のシンボルとしてブルートレインが挙げられます。

ブルートレインは主に客車寝台特急のことを指し、1958年の20系客車の登場以降、全国各地を走り回りました。今回紹介する『旅と鉄道 2018年増刊12月号 ありがとうブルートレイン』(天夢人刊)はブルートレインへの愛が詰まった一冊です。

本書を開くと、ブルートレインのシンボルであった「あさかぜ」や雪煙を上げる「あけぼの」の迫力ある写真が目に飛び込んできます。ブルートレインに憧れを持っていた世代ですと、これらの写真を見ただけで胸が高鳴るのではないでしょうか。

東京と九州を結んだ元祖ブルートレイン「あさかぜ」

それぞれのブルートレインを紹介する「ブルートレイン図鑑」では「東京発着」、「関西発着」、「上野発着」、「次世代の寝台特急」、「定期夜行急行」でまとめられています。「東京発着」では「あさかぜ」「さくら」「はやぶさ」など名列車の写真が時代別に紹介されています。

たとえば「あさかぜ」のページでは1986年に登場した金帯の24系25形客車を牽引するEF66形が中央に。C62形やEF65形500番台牽引の「あさかぜ」が脇を固めています。下段には架線集電を備えた異色のラウンジカー・スハ25形を連結した末期の姿も。このように、一目を見ただけで、それぞれの「ブルートレイン」の歴史が把握できるような工夫が盛り込まれています。

もちろん「図鑑」と銘打っているだけあって、解説文も充実。列車史の概略だけでなく新幹線の建設工事に伴う走行ルートの変更も丁寧に書かれています。ただし、地図は掲載されていないため、時刻表にある鉄道地図を見ながら読み進めるといいかもしれません。

さらに「いなば」や「安芸」などの短命に終わったブルートレインも写真付きできっちりと解説。それぞれの列車の歴史を調べる上で役立つ一冊といえます。

初めてのブルートレイン客車 20系のすべて

それぞれのブルートレインの解説だけでなく、機関車や客車のページも充実しています。たとえばブルートレインの元祖である20系客車のページでは1958年作成の「あさかぜ」用と1963年作成の「みずほ」用のパンフレットを掲載。優美なデザインや完全な冷暖房だけでなく、女子更衣室の設置などソフト面にも気を配った客車であったことがわかります。

また、埼玉県にある鉄道博物館に展示されているナハネフ22-1を見開き2ページで詳細に解説。車両の横揺れを防ぐ車端横ダンパやドアハンドルなどのディテール写真もあるので、本書を片手にナハネフ22-1をじっくり観察してみましょう。

「ブルートレイン」と聞くと寝台特急が注目されがちですが、ブルートレイン客車を使用した定期寝台急行も列車別に取り上げているのも本書の特徴。30年以上前に廃止された「十和田」や「天の川」もあり、オールドファンも楽しめる内容となっています。

残念ながら2018年11月現在、JR線において定期で運行されているブルートレインはありません。しかし、ブルートレインに乗車することはできます。ぜひ「ブルートレインの保存車たち」を読んで保存されているブルートレインをチェックしてみましょう。中には現役のように宿泊できるところもありますよ。

全体を通して、本書はブルートレインを知っている人に向けたレイアウトになっています。子どもと読む際はブルートレインの思い出話を挟むといいかもしれません。

最後にこの本には「ブルートレイン」ではおなじみのイラスト入りテールマークのシールが付録しています。しかも、シールは32種類でサイズも大きめ。子どももシールで楽しみながら列車名を覚えることができます。

これだけ内容が詰まった本でありながら、価格は1000円(税込)。ブルートレインを知るにはかなりお値打ちな1冊といえます。


『旅と鉄道 2018年増刊12月号 ありがとうブルートレイン』

(天夢人)

天夢人(テムジン)のPRスタッフ

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