どうもどうも、特殊犯罪アナリスト&裏社会ライターの丸野裕行です!
数年前からキャッシング利用での過払い金請求が急増しました。それは“客寄せのための過払い金返還請求”を勧めるCMや広告が巷に氾濫したことに他なりません。
生活の中でピンチ時にキャッシングして、金融会社といい付き合いをはじめる。助かることも多々あるでしょう。しかしそのあと、手のひらを反したように過払い金の返還請求をことに、果たしてデメリットはないのでしょうか?
今回は、その点について、消費者金融の関係者と返還請求に手を貸す弁護士に話を聞いてみました。
お客様に誠意を持って対応する金融各社
お話を聞いたのはA社・K氏
「当社は、過払い返還時効の10年以前の書類でも物理的に残っている状態であれば、迅速に対応しています。他の会社もその点では同じだと思います」
丁寧に答えてくれるK氏。この業界に身を置いて20年になる。しかも、応じてくれるのは3日~1週間というスピードだそうだ。
誠意のあるきちんとした対応で、現在までトラブルは起こっていないという。
しかし、大きなデメリットがある
「多重債務に陥った方の救済は大切だと思いますが、弁護士の先生方が出す広告を見ると“過払い請求はやらなきゃ損だ”という印象を受けます。しかし、信用調査センターのブラックリストに登録され、数年間融資が受けられなくなります。」
金の借り癖がついた債務者が金融会社を利用しなくなるとは考えにくい。こんなデメリットがあったとは……。
「どうしてものときに必要なキャッシングができなかったり、長期利用していたことで有利になった融資条件が見直されたり……そんなデメリットが発生します。これから、過払い請求をしようとする方はそのあたりを熟考してから実行してほしいです。キャッシング不可能の袋小路を自分自身でつくってしまうのですから」
ハイエナのように待ち構える“士(サムライ)”たち
果たして金融側から非難を受ける弁護士側は?
過払い金請求をつり革広告などで謳うG事務所・F先生に話を聞いてみた。
「確かに借り入れは今後困難になるし、デメリットではある。だけど“キャッシングすることは一般的な生活の一部”という考えを植えつけたのは、間違いなく当の金融会社。安易で明るいイメージCMで釣り、“計画的に”というのは矛盾以外のなにものでもない」
金融会社に対して、苦しめられた債務者の味方と豪語する先生だが“過払い金返還”の集中攻撃で、どれくらいの利益があげたのか。その手間はどれほどかかるのか。
儲けは総額〇億!
「それほど儲からない。100万くらいの返還金があれば、手付けが15万と成功報酬で2割。交渉はほとんど手間取らない。むこうも代理人(弁護士)が立っているし、法律家同士だからパパッと終わる。訴訟を起こす前に終わらせれば一番手間取らない」
15万円と2割の成功報酬だったとすれば35万にはなる。すぐに和解に持ち込めば時間のロスもない。今まででどのくらい集客したのだろうか。
「今までで2,000案件はやってるね。返還金の平均は80万。だから31万の儲け。法律家も多くなって、弁護士は余ってる状態だし、司法書士事務所もかなり多くて、広告を打たないと客が取れない。競争が激しいんだよ」
単純計算しただけでも、なんと6億2,000万円もの利益があるようだ。これでは、過払い金返還請求を加速させているのは利益を優先させる“士”たちと言っても過言ではない。
「サラ金が弱って、闇金融が息を吹き返すって批判もされているけど、そのときはまたウチを使ってくれればいいんだよ。違法なんだから。身の危険を感じる前に相談に来たらいいじゃない。30分で5,000円くらいの相談料だから。そのときのためにご縁を作ったんだよ」
これだけ儲けたあとは、債務者のパイは少なくなった。彼らのこの次のターゲットとは?
B型肝炎訴訟、そして次の仕掛けもある……
「そうだね、今相当の広告費用を使って、B型肝炎訴訟を被害者がするように焚きつけている。まぁ悪い言い方だと(笑)」
どちらにしても債務者や被害者はいいように使われる。気をつけたいものだ。
「まだまだこれから、別の手を考えていく準備もあるよ」
彼の話では、その中には“家族信託”があるという。
これは、遺産を持つ人間が自分の老後や介護などに必要な資金の管理や給付を行う際に保有する不動産や動産、預貯金などを信頼できる家族に託し、管理や処分を任せる家族のための財産管理のことだ。
「法律事務所側からすれば非常にメリットが大きい案件だよね。例えば、日本中の家庭が顧客対象になり得る、金額を見極めやすく成功報酬がわかりやすい、成功報酬が高額になりやすい(財産管理は数千万から数億円単位になる)、ひとつの家族で複数の依頼が受けられるというものだよ。事務的な作業のみで高額報酬を確保しやすいので、次なる一手はこれの可能性もあるよね」
手を変え品を変え、日常に潜んだ煙を探し、金に変える弁護士たち。
弁護士がここまで増えてしまった日本の中では、生き残るためには仕方のない火の焚きつけ方なのかもしれない。
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