日本プロ野球選手会は7月20日、大阪市内のホテルで行った臨時総会において2013年3月に開催予定の第3回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に参加しない方針を発表しました。
今回の不参加決議の要因は、選手会側が1年前から要望を出してきたスポンサー料などWBCの収益金の分配比率にあるとしており、主催者側に譲歩を求めてきたものの現在まで実現には至らず、新井貴浩選手会長(阪神)は今回の決定について「苦渋の決断」としながらも、今後も具体的な回答を得られる可能性があるとは思えないとしています。
そもそも日本プロ野球選手会はWBCについて問題提起を公式ホームページにて行ってきました。オリンピックはIOC(国際オリンピック委員会)、FIFAワールドカップはFIFA(国際サッカー連盟)が主催しているのに対し、WBCはアメリカMLBとMLB選手会、つまり特定の国のスポーツリーグが主催。そのため代表チームのスポンサー権や代表グッズのライセンシング権(商品化権)が日本側には認められていません。
そのうえ第2回WBCでは約1800万ドルの収益のうち、MLBと同選手会には66%が分配されたのに対し日本側は13%。日本代表の運営などにかかるコストを考えた場合、優勝しない限り採算がとれないとしています。
この不満点についてアメリカ側は、WBCは国際貢献を目的としており、野球振興や普及を行っているので日本も代表ライツを差し出して協力すべきだと主張。仮にスポンサー権やライセンシング権を参加国に認めてしまうと大会運営ができないとしています。しかし日本側は前大会の収支をもとに計算した場合、十分に大会運営は可能だとしており、両者の意見は真っ向から対立してしまっているのが現状です。
過去2回の大会において大きな盛り上がりを見せた中で、こういった権利問題や収益分配の不平等の他、第2回WBCでは日本代表チームが韓国チームと3度も対戦するという状況になってしまった対戦方式、そして投球制限ルールなど、改善されるべき問題点も発覚。
これまでアメリカのMLBとMLB選手会を相手に改善を交渉してきたものの、具体的な返答が得られないままだったことで日本プロ野球選手会として今回の決断に至ったようです。
連覇を成し遂げた日本代表の不参加表明が今後アメリカ側をどう動かすのか? これからの動向が注目されます。
日本プロ野球選手会公式ホームページ:http://jpbpa.net/
※画像:wikipediaより転用