朝日放送『雨上がりのAさんの話』で語れなかった絶滅危惧種のヤバい話

どうもどうも、特殊犯罪アナリスト&裏社会ライターの丸野裕行です。

最近はテレビにお呼ばれすることが多くなりまして非常にありがたいことなんですが、だいたい呼ばれるテーマ的には、“風俗”や“ヤクザ”、“詐欺”、“誰も知らない裏ビジネス”のことでした。そんな中、先日呼ばれた朝日放送の雨上がり決死隊さんの番組で“絶滅危惧種の輸入の裏側”についてお話をしてきました。

限られた時間の中ですべてをお話することは難しいため、本日は裏社会ライターらしく、連載をさせてもらっている『ガジェット通信』で絶滅危惧種の密輸について綴っていきたいと思っています。

一部の富裕層が食いつく絶滅危惧種ビジネスの闇

さまざまな原因で個体数が減少しはじめ、その亜種が絶滅の危機に瀕しているものを絶滅危惧種と言います。

これは自然な状態、進化の過程での絶滅というわけではありません。絶滅危惧種と定義されるのは、本来とは違い、様々な人間の都合によって絶滅するものを指します。
これを食い止めることは地球環境保全の上で、かなり重要な課題になっています。

実際に僕が取材をしたのは、ワシントン条約違反の動物について。日本の港に荷揚げされたそれらの動物を運ぶ軽トラ運送業者や、ごく小さな動物を確実に運ぶバイク便の業者の聞き取り取材でした。

しかしこの闇の話以外に、実際に僕もワシントン条約違反の動物を目にしたことがあるのです。
それが、某業界の動物好きの会長さんが見せてくれたユキヒョウの赤ちゃんでした。

さらに、広い庭に設えられた飼育舎には日本では輸入が禁止されているリクガメの一種。この子たちが運ばれてくるのは、バレやすい空輸ではなく海運でした。

長い輸送時間に耐えられるように大量の睡眠薬を注射されるので、中には死んでしまう動物もいます。さらに、季節によってはコンテナ内が非常に高温になり、死んでしまう絶滅危惧種もまたいるのです。

「手に入らないものが欲しい」という強い物欲を持った、一部の富裕層の道楽のために高額の売買がされるがゆえ、このような事が行われているのです。

組織的な輸入は2千万円以下の罰金から1億以下へ変更

絶滅危惧種は様々なものがあり、大まかですが、ここに挙げたものがそうなります。

≪霊長目の絶滅危惧種≫

●テナガザル科:アジルテナガザル、コンカラーテナガザル、シロテテナガザルなど
●クモザル科:ウーリーモンキー、ジェフロイクモザルなど
●ショウジョウ科(ヒト科):ゴリラ、スマトラオランウータン、チンパンジーなど
●オナガザル科:キンシコウ、シシオザルなど

≪長鼻目、齧歯目、カンガルー目、有毛目、海牛目、クジラ目の絶滅危惧種≫

●アジアゾウ、アフリカゾウ、インドゾウなど
●モンゴルマーモット、オオアリクイなど
●セスジキノボリカンガルー、フサオネズミカンガルーなど
●モンゴルマーモット、オオアリクイなど
●アメリカマナティー、ジュゴン、スナメリ

このほかにも、カバ科、ラクダ科、シカ科、キリン科、ウシ科、サイ科、ウマ科、クマ科、ネコ科、レッサーパンダ科、イタチ科、イヌ科、ジャコウネコ科、マダガス
カルマングース科、そして鳥類、爬虫類、両生類
など、非常に多岐に及びます。

販売価格としては、リクガメで400万程度、スローロリスで60万程度だそうです。

ですが、このような希少生物の違法取引が後を絶たず、国も平成25年6月に「種の保存法」という法律が改正され、罰則の大幅強化などに繋がりました。

≪改正された種の保存法≫

1.譲渡しなどの禁止……販売だけでなく、受け渡すことも禁止
2.販売・頒布を目的とした陳列や広告の禁止……広告に掲載することも禁止
3.生きている個体の捕獲・採取の禁止
※学術研究・繁殖・教育・個体の生息(生育)状況の調査目的に限って環境大臣の許可により可能
※国内で繁殖させた個体や、その器官・加工品、規制の効力発生前に国内で取得した個体・器官・加工品、関税法の許可を受けて輸入された個体・器官・加工品は除外

法律改正で、違法な取引や捕獲に対する罰則は、個人で“5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金”陳列広告で“1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金”となりました。
また法人の取引では厳罰化し、“1億円以下の罰金”、違法な陳列広告で“2,000万円以下の罰金”と改正されました。

大手運輸会社の海外事業部との癒着が輸入を加速化させている?

いろいろ調査した結果、輸入国の大部分がアフリカ、タイ、マレーシア、中国がメインになっているようです。

運搬については、車での陸路運輸やセスナなどの空路などで港に運び、大きな港からの輸送を行っている模様。やはり絶滅危惧種の闇ブローカーは、大きな運輸会社の信用を利用して、国外に運び出しているようなのです。

それはそうだと思います。海外との太いパイプを持つ運輸会社の海外事業部の協力がなければ、おそらく日本国内に輸入された時点で、税関の摘発の手が伸びるでしょう。

事情通に聞くところによると、リスなどの小さな動物の場合、半分に切ったペットボトルなどに濡らした脱脂綿を入れ、そこに挟んで飛行機など空輸で輸入しているとのこと。もちろん違法です。番組に一緒に出演した裏社会ジャーナリストの石原行雄さんは、東京の板橋に禁輸の絶滅危惧種を扱う業者がいるともおっしゃっていました。

さらに事情通からのひと言。今後、東京オリンピック開催前にはさらに密輸が急増するとのこと。五輪がはじまると、自然と輸入の荷揚げが厳しくなるといいます。

どちらにせよ、罪もない動物たちに命の危険が及び、生態系を崩してしまうような絶滅危惧種の密輸は絶対に阻止すべきだと思います。

(C)写真AC

丸野裕行

丸野裕行(まるのひろゆき) 1976年京都生まれ。 小説家、脚本家、フリーライター、映画プロデューサー、株式会社オトコノアジト代表取締役。 作家として様々な書籍や雑誌に寄稿。発禁処分の著書『木屋町DARUMA』を遠藤憲一主演で映画化。 『アサヒ芸能』『実話ナックルズ』や『AsageiPlus』『日刊SPA』その他有名週刊誌、Web媒体で執筆。 『丸野裕行の裏ネタJournal』の公式ポータルサイト編集長。 文化人タレントとして、BSスカパー『ダラケseason14』、TBS『サンジャポ』、テレビ朝日『EXD44』『ワイドスクランブル』、テレビ東京『じっくり聞いタロウ』、AbemaTV『スピードワゴンのThe Night』、東京MX『5時に夢中!』などのテレビなどで活動。地元京都のコラム掲載誌『京都夜本』配布中! 執筆・テレビ出演・お仕事のご依頼は、丸野裕行公式サイト『裏ネタJournal』から↓ ↓ ↓

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