8月8日、東京・シアターKASSAI(池袋)にて、演劇カンパニー アリスインプロジェクト制作舞台『アリスインデッドリースクール 楽園』ゲネプロ公演が行われた。ガールズ演劇として活動する演劇団体が、”楽園“という新たなキーワードを盛り込み、9度目の再演舞台に挑戦する。新たな制作メンバーが集結し、出演キャストもアイカツシリーズ歌唱担当として活躍した遠藤瑠香を筆頭に、YOANI1年C組メンバー・石川凜果、そして栗生みなら総勢29名が舞台の上で各々の役を演じた。今回は主演の遠藤瑠香と石川凜果のコメントと併せて、当日のゲネプロ公演の模様を紹介する。
アリスインプロジェクトが1ヶ月を通して彩る2つの新たな舞台
舞台『アリスインデッドリースクール』は、2010年にアリスインプロジェクトの旗揚げ公演として初演され、現在では本団体の代表作とも呼べる作品の1つとなった。本作は、突如として死体が動き出した朝に、自分たちの通う学校の屋上に逃げ延びた少女たちの生と死を描いたストーリーになっている。2018年の再演では、演出家とキャストを一新させ、1ヶ月に渡り(2週間×2本立て)”楽園(正伝)”・”最果ての星(外伝)”を2つの座組で上演する予定。『アリスインデッドリースクール 最果ての星』では、”楽園“の後日譚の物語が綴られる。
序盤から繰り広げる女性キャストたちの役どころ
開演の時刻になり、墨尾優と百村信子のシーンからスタートする。二人を照らすブルーライトと場内に響く鐘の音。信子が優に問いかけ、優は明確な答えを返せなかった。そのやり取りは相手を卑下するものなのか、それとも寄り添おうとしているのか、理由は定かではない。ただ、1つだけ言えることは、二人の意味深なやり取りに、劇場に集まる観客たちは、脇目も降らずに視線を送っていたことだった。そして、二人のやり取りがどのような意味を持っているのかを知るため、物語は本編へと進展する。
しかし、気づいたときには舞台上では騒然とした光景が展開していた。優と信子、そして同じ学校に通う生徒たちが学校の屋上に集まり、世界が一変していることに気づく。屋上から見下ろすと生徒を襲う謎の人影。それは人間なのか、それとも死体なのか、彼女たちにはわからなかった。しかし、確かなことは自分たちの命が危険だということ。窮地を脱するため、生き延びるために、彼女たちは力を合わせ、命がけの脱出に挑んでいく。
主演・遠藤瑠香と石川凜果の二人が明かす稽古場や舞台裏の様子
ボケとツッコミのお笑いコンビを組んだ主演の遠藤瑠香と石川凜果。ゲネプロ公演後に稽古場や舞台裏のキャストたちがどのような雰囲気だったのか、インタビューを行った。
ーーまず今回の舞台で初共演とお聞きしましたが、初めて会ったときのお互いの印象をお聞かせください。
遠藤瑠香(以下、遠藤):「わーっ!」って思いました。
ーーそれは良い人という意味でしょうか?
遠藤:もちろんです! 初めてお話しさせていただいたときは穏やかな方だなって思っていて、どんなツッコミをされるんだろう? って凄く興味が沸きました。
ーー初対面の時点で期待感が高まっていたんですね。
遠藤:とっても楽しみでした(笑)
石川凜果(以下、石川):でも、みんなからは「遠藤さんも石川さんもボケだよね」って言われていたんです。
遠藤:言われてたね!
石川:実際に私もあんまりツッコミはしたことなかったので、稽古の半分くらいは私のツッコミをやらせていただきました(笑)
ーー聞いているだけで、序盤から面白くなりそうなお話ですね。そんなお二人がゲネプロ公演までに築き上げた座組とはどういったものなのでしょうか?
遠藤:実は、私たちで特別何かをしたということはないんです。
ーーそうなんですか!? それでは自然とキャスト全員がお二人について来たということでしょうか?
石川:個人的な意見になってしまいますが、座組メンバーのことを考えたり、みんなをリードする余裕を持つことが出来ませんでした。なので、まずは自分の演じる役に集中していました。
ーーまずは自分のことから始めようという芯のある心持ちですね。
石川:だけど、実際に舞台裏で不安そうな様子が出ていたのか、みんなから「大丈夫だよ!」って声を掛けていただけて、支えられていたなと感じました。
遠藤:私もみんなを引っ張っていくタイプではないと思っているので、どうして良いかわからない場面が多々ありました。でも、作品に対するキャスト全員の気持ちが強かったのか、各々が意見を出したり、刺激し合ったりして完成した座組だと思っています。
ーー座組が1つになるまでの素敵なお話です。
遠藤:私は全員で舞台を作っていくものだと思っています。全員が同じ温度感でないと成功することが出来ないと考えているので、一人だけハイテンションにならずに最後まで通常モードでいきたいと思います!
ーーそのお言葉を聞くと、協調性とリーダーシップを兼ね備えた方の発言に感じます。
石川:そうなんです! 瑠香さんは私たちに背中を見せて、リードしてくれるんです。瑠香さんが頑張っているんだから、全員が一丸となって動いています。
遠藤:いやいや、目の前のことに対して必死に取り組んでるだけだよ(笑)
ーーここまでのお話だけでも、お互いを支え合った結果の座組だとわかりました。そして、稽古場も切磋琢磨しているように受け取れます。
遠藤:でも、稽古の後は作中でやり取りのあるキャスト同士でご飯を食べに行くこともあります。
石川:空き時間にお互いの役のことを話すこともありました。
ーー和気あいあいとした稽古風景だったと伝わります。
遠藤:作品にも共通する間柄になった気がします。
ーー最後に舞台裏についてもお聞きしたいのですが、本作は衣装を変える場面がありましたが、実際に大変なことなどありましたか?
石川:優は大変だよね! 感情を使い分けしないといけないこともあったから、大変そうに見えた。
遠藤:早着替えでは大変だったかな。
石川:でも、スタッフさんのサポートもあって、着替えるメンバーのために幕を持ってくれたり、扉を支えてくれたりして、自分たちだけだと出来ない部分も助けていただきました。ホントにたくさんの方のおかげで成り立っている作品だと思います。
公演名:アリスインデッドリースクール 楽園[リンク]
日 程:2018年8月8日(水)~ 19日(日) ※全16公演を予定
劇 場:池袋・シアターKASSAI[リンク]
開 演:8日(水) 19:00(光)
9日(木) 19:00(風)
10日(金) 19:00(光)
11日(土) 13:00(光)・18:00(風)
12日(日) 13:00(風)・18:00(光)
13日(光) 19:00(風)
14日(火) 19:00(光)
15日(水) 19:00(風)
16日(木) 19:00(光)
17日(金) 19:00(風)
18日(土) 13:00(風)・18:00(光)
19日(日) 12:00(光)・17:00(風)チケット:S席5800円(最前列・ひな壇最前列:指定席)
A席4800円(S席以外:自由席)※税込み[リンク]スタッフ 脚本:麻草郁/演出:扇田賢
企画:鈴木正博 プロデュース:西初恵・美濃部慶
制作:アリスインプロジェクト/製作:アリスイン株式会社
※写真はすべて記者撮影