高収入アルバイト? 治験に申し込んでみた結果……受けられずに終わった話

  by ノジーマ  Tags :  

新しく開発された薬が厚生労働省からの承認を得て、実際に使われるようになるためには、開発の最終段階で人に使用して効果や安全性を調べなければなりません。この試験のことを「治験」というのですが、治験は希望をすれば受けることができるのをご存知でしょうか。

治験を受けることはメリットばかりだった件

厚生労働省から承認されていない薬を試すなんて、そんな危ないことを誰が希望するのか……と思いきや、実は治験を受けるとさまざまなメリットがあることがわかりました。

治験を受けるとお金をもらえる

治験を受けると「負担軽減費」という名目で謝礼金を受け取ることができます。入院が必要になる治験だと1泊あたり2万円程度の謝礼をもらえることもあり、効率の良いバイトとして紹介しているサイトもあるほどです。

無料で健康診断を受けられる

治験に申し込むと完全無料で健康診断を受けられます。正社員として働いていれば会社で健康診断を受けられますが、個人で受けるとなると費用が5,000円~10,000円ほど必要になるため、個人事業主の人などはついサボってしまいがち。無料で受けられるうえに、しかも交通費も支給してもらえるのですから、これはありがたいです。

入院中に仕事もできる

入院を必要とする治験の場合、検査の時間以外は部屋でゆっくりくつろぐことになるため、パソコンを使った簡単な仕事ならある程度は持ち込むことができます。ライターの仕事なら、入院して謝礼を受け取りながら仕事も進められるというわけです。

さらに僕の場合は治験を受けたことをこうしてレポート化できるので、一石三鳥にも四鳥にもなり得ます。デメリットはまだ未認可の薬を投薬されまくることくらい。これは受けないわけにはいかないでしょう。早速仕事のスケジュールを調整し、ちょうど良さそうな治験に申し込んでみることにしました。

調べたら好条件な案件がたくさん出てきた!

インターネットで検索をすると治験を紹介しているサイトがいくつも見つかるので、掲載されている内容を吟味し、「2泊3日の入院×2回」という治験に申し込んでみました。気になる謝礼金はおよそ10万円。これはなかなかおいしい案件では……!?

治験紹介サイトの会員登録を済ませ、フォームから申し込みをすると、すぐに治験を行う病院から電話がかかってきました。

想像していたよりも治験前の制限が厳しい……

電話では「本当に治験を受けますか?」という意思確認が行われ、健康診断について簡単に説明してもらいました。どうやら健康診断の前から食事などの制限があるそうで、詳細はメールで送ってくれるとのこと。

そして電話を切ってしばらくすると、健康診断に関する注意事項が書かれたメールが届いたのですが、想像していたよりも厳しい条件が書かれていました。どんな内容だったかというと……

・健康診断の1週間前から運動禁止。重い荷物を持つのもNG
・健康診断の1週間前から薬全般服用禁止。サプリやビタミン剤、目薬もNG
・健康診断の2日前から禁酒
・健康診断の前日からカフェイン摂取禁止。タバコもNG
・健康診断前日の夕食、当日の朝食は完全時間指定

運動から食事まで、かなり厳しい制限です。まるで健康診断を受ける前から治験が始まっているかのよう。サプリや目薬までNGなのは驚きました。この条件を守らず、検査で基準外のデータが出てしまうと健康診断で落選してしまうこともあるとのこと。治験を受けるためには絶対に守らなければならないのです。

しかも健康診断を受けてから1週間後に一度目の入院、退院して4日後に二度目の入院というスケジュールなのですが、健康診断から入院までの間と一度目の入院から二度目の入院までの間も同様の制限があるとのこと。実質3週間以上に渡ってさまざまな制限の中で生活をしなければならないのです。これはなかなかつらい……。

健康診断当日、応募者が殺到していたことが判明!

指示されたとおりに制限を守り、いよいよ迎えた健康診断当日。指定された病院に行ってみると、他にもたくさんの治験申込者が集まっていました。どうやら定数をオーバーしてしまっているようで、健康診断の結果が基準を満たしていても落選となる可能性もあるのだとか。より健康な人が治験のモニターに選ばれるというわけですな。健康診断を受けるだけなのに大学入試のような緊張感があります。

健康診断の内容は問診、採血、X線、検尿など、一般的な健康診断で受けられる項目とほぼ同じ。バリウムの検査はありませんでしたね。これらを順番に受けていきます。

検尿に引っかかり、何度もオシッコを出し直すことに……

順調に進めば2~3時間ほどで健康診断は終わり、交通費を受け取って後日合否の連絡が来るのを待つことになるのですが、僕は検査内容に異常が出てしまったようで先生から呼び止められてしまいました。

異常が出たのは検尿で、もう一度測定するため再度オシッコを提出し直すことに。……と言っても、出せと言われて簡単に出せるものではありません。水を大量に飲み、尿意を催すのを待ち続け、どうにかオシッコを絞り出したものの、今度は量が足りずに再度やり直し。これはきつかった!

結局3回目の検尿でなんとかOKをもらい、どうにか健康診断を終えることができました。あとは無事に合格するのを祈るのみ……。

再検査が必要という連絡が……。合格の自信を失い、泣く泣く断念

健康診断の翌日、早速病院から電話がかかってきました。その内容は合格でも不合格でもなく、まさかの再検査。3回も提出した検尿が結局だめだったようで、治験が始まる前に再度病院に行って検尿をし直してほしいとのことでした。えっ、オシッコを出し直すためだけに病院に行かなきゃいけないの……?

さらに、血液検査も血中脂肪が若干高いという結果が出ていたようで、さらに厳しく食事制限をすればなんとか基準値に収まるかもしれないとのこと。そして治験初日に基準値を上回っていたら治験を受けられないということを伝えられました。

オシッコを出し直すためだけに1時間以上かけて病院に行かなければならず、さらなる食事制限もしなければならない。しかも治験の希望者が多かったので競争率が非常に高く、頑張ったところで治験を受けられる可能性は低そうだということを考えると、今回は諦めて出直したほうがいいのでは……。

一度電話を切り、再検査を受けるか検討していると、ちょうどそのタイミングで友人から飲み会の誘いが入ったこともあり、お酒を飲みたい誘惑にも負けて今回は断念することにしてしまいました。

治験を受けるまでが大変なことを知る

治験は効率の良いバイトと紹介されているサイトもあったため、治験は誰でも簡単に受けられるものだと思っていたのですが、実際に申し込んでみると治験を受けるまでの段階が大変なことがわかりました。狭き門を通ってようやく治験を受けられるようになるわけです。

今回治験を受けられなかったことは残念でしたが、体が治験を受けられる基準に到達していないことがわかったので、これを機会に体質を改善し、次は治験を受けられるようにしたいなと思いました。治験を受けるために体質改善するというのも変な話ですけどね。

ノジーマ

B級フード研究家。漫画を描いたりライターをしたり。変な料理をいろいろ考えます。週刊プレイボーイで『野島慎一郎の激ウマ!!バカレシピ研究所』連載中。最近は撮影をしていると猫が寄ってくるので、そのまま記事でも使っています。 ★レシピ本発売中!★世界一美味しい「どん二郎」の作り方 誰も思いつかなかった激ウマ!B級フードレシピ http://amzn.asia/8N2jTuz

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