忘れもしない2011年3月11日。それ以前とその後で、私は生き方まですっかり変わってしまった…。あなたはどうだろうか?
この映画は、今もなお終息していない東日本大震災の発生後の混乱を、人間以外のいきものたちの置かれた立場から私たちに鋭く突きつける。
あの日、全ての日本人を震撼させる大地震が国土を揺るがせた。あろうことか、続いて人類史上最悪の原子力災害事故が発生した。
一体、何事が起きたんだ? 人々は必死になって何とか情報を集め、家族や知人の安否を確かめていたはずだ。
あれから人間たちは、国家、地域、家族ぐるみで何とかこの危機を回避しようとして「絆」と言うことばをキーワーズにしてここまで来た。
だがしかし。
何も知らない多くのいきものたちは、一体どんな状況だったのだろうか。
映画の冒頭では、アーサービナード氏が、震災当時、東北の某県に文字通り「取り残された」小さき命たちの命の数を伝える場面がある。何千、何万と言うその数に、先ずは衝撃を受けてしまった。
映画の序盤では、人々が避難したあと牧場に取り残された牛たちが、私たちに訴えるようにまっすぐにカメラを見つめている。それが、映画の中盤には畜舎で大量に餓死した姿に置き換わり、終盤に進むにつれ、犬たちも、猫たちも、鶏や亀でさえ被災して飢餓の状況のまま取り残され、その多くが命を落としていった…といった現実が伝えられるのだ。
誰も知らない被災地の動物たちのために、いち早く現地に駆け付けたボランティアの方たちの、小さき命に対する想像力と共感性に拍手を送り感謝を捧げたい。
「ZONE」を見終わって、こんなことを考えた。これから必ず起こると言われている南海トラフ大地震。人間はそのとき、東日本大震災から学んだ教訓と叡知をもって、全ての命と共に助け合う存在になりうることを願う。
そんな強烈なインパクトとメッセージを孕んだ二本のドキュメンタリー映画が全世界に向けネット配信が始まった。
強制避難区域を鮮烈に描き切った『zone存在しなかった命』
https://www.amazon.co.jp/dp/B07CXBHMLM/
居住困難区域の矛盾とえげつなさを活写した『みえない汚染・飯舘村の動物たち』
https://www.amazon.co.jp/dp/B07CX9CK43/