2018年、注目すべき人工知能の10のトレンド

  by 早瀧正治  Tags :  

人工知能(AI)は、多くの政府と大企業の関心を集めているテクノロジーのフロンティアだ。Googleおよびグループ企業の持株会社Alphabetは、人工知能術の開発に約300億ドルを投資し、Baiduも200億ドルを投資した。中国の政府も大規模な投資をしている。

世界最大の企業や政府が人工知能にこれだけの関心をよせていることを考慮すると、2018年にはさらなる技術の進歩が予見できる。この記事では、人工知能RSAの開発会社「WorkFusion」が予見する、2018年に人工知能が世界にもたらすを変化を紹介しよう。

1. 人工知能が、世界の論点となる。

人工知能は雇用を生み出すだろう。しかし、仕事を奪いもする。例えば、CNBCの報告によると、ゴールドマン・サックスは、アメリカ国内だけで毎月25,000人のトラック運転手が失業すると予想している。

同様に、Supply Chain Digestによると、大規模な倉庫がわずか数十人で運営できるようになれば、米国の倉庫で働いている100万人の授業員のうち、大半が職を失うことになる。

2016年の選挙では、トランプ大統領はアメリカの失業の原因としてグローバル化と移民を責め立てたが、2018年の中間選挙では、人工知能が失業問題の論点になるだろう。

2. ロジスティクスの効率化

2018年は、2000平方メートルの物流センターを、たった一人で管理できる時代だ。Amazon RoboticやKiva Systemsのような企業は、工知能と先進のロボット技術を組み合わせて、大型の小売業者に前例のない物流ソリューションを提供している。

未来の倉庫は、私たちが知っている倉庫とは全く違うデザインになるだろう。人間の従業員が働くためのスペースはなく、人間が働くの必要な照明もなく、24時間265日ロボットが働くのに最適化された設計となるだろう。

Amazonのプレスリリースによると、2012年に同社はKiva Systemsを買収した。Kiva Systemsの人工知能ロボットは、Amazon倉庫内の製品を効率的に見つけ、運ぶことができる。このテクノロジーはすでに実用され、迅速に安価な配送を求める同社の取り組みに、ますます貢献するだろう。

3. 自動車メーカーの主力製品が自動運転車になる

テスラは、世界で初めて完全自動運転を実現した。完全自動運転車にまだSF映画のような印象を持っている人も多いだろう。しかし、今や世界中の有名自動車メーカーが完全自動運転車の開発、実験、テストを進めている。

日本では、日産、本多、スバル、トヨタが、アメリカではゼネラルモーターズ、フォードが、ヨーロッパではフォルクスワーゲン、アウディ、ダイムラー、BMW、ルノー、ボルボが開発を進めている。

自動車メーカー以外にも、インテル、Google、Baiduな、パイオニアなどが完全自動運転車の開発をしている。

4. ロボット兵士が登場する

防衛先進研究プロジェクト庁(DARPA)は、軍事技術だけでなく、インターネットやGPSなどの開発にも貢献してきた。

現在、DARPAは、ボストン・ダイナミクスと協力し、災害救助のために設計されたロボットを開発している。しかし、このテクノロジーは戦争にも適用可能だ。

5. 人工知能が、頭脳労働者を支援する

人工知能が一部の人間から一部の仕事を奪うだろう。一方で、人工知能は人間の仕事をサポートするとも言える。

例えば、近い将来、カスタマーサポートや営業担当者が、顧客との話し方を機械から学ぶ日がくるだろう。Gong、Chrus、Jogなどのツールは、電話を録音し、機械学習アルゴリズムにより、担当者に話し方を指導することができる。

2018年は、人工知能がさらに人間を支援する場面が増えるだろう。

6. 人工知能がコンテンツを作成する

USA Today、CBS、Hearstなどのブランドは、コンテンツの作成に人工知能を活用している。例えば、Wibbitzは、人工知能でテキストコンテンツを動画コンテンツにするSaaS(サービスとしてのソフトウェア)プラットフォームを提供している。

サイト運営者は、ウェブサイトやソーシャルメディア用のコンテンツを作成するのに数時間から数日を消費していた。人工知能は、動画の作成にかかる時間をすでに数分まで短縮している。

人工知能が作成できるのは動画だけでない。Automated Insights(AI)社が開発したWordsmithは、データに基づいて人工知能が、人間のような自然なニュース記事を自動で生成できる。2018年は、より多くのメディア企業が自然言語とビデオ生成技術を採用だろう。

7. ピアツーピアネットワークが透明性を生み出す。

機械学習は人工知能の一種であり、Facebookなどの企業は、統計モデルを使用して、次に表示するコンテンツについて情報に基づいた決定を下すことが可能だ。しかし、モデルが適切に機能するためには、大量のデータと大きな計算能力が必要だ。

仮想通貨などが使用するピアツーピアネットワークによる、ネットワーク化されたコンピュータの集団力を利用すれば、小規模の組織でも、高度な人工知能を利用できる。

Presearchは、ピアツーピアネットワークと人工知能を使用して検索エンジンの世界に透明性をもたらすことを目指す企業だ。Search Engine Landによると、Googleは検索市場の80%近くを占めているが、消費者に表示するコンテンツを、どうやってGoogleが選択するかは公開されていない。

Presearchは、仮想通貨をインセンティブとして利用し、ユーザーのパソコンの計算能力を借り、その報酬として、同社は、透明な検索エンジンプラットフォームを構築することを約束している。スタートアップはすでに5百万ドルの資金を調達しており、大企業に挑戦するためにAIやピアツーピアネットワークを利用する可能性が高い。

8. 機械と話すのが当たり前の時代になる

昨年、2,000万を超えるAmazonスマートスピーカーが販売されたと推定されている。Good HomeやApple Airpodなどのスマートデバイスの販売を追加すると、何千万ものアメリカ人が音声コマンドを利用していることになる。

2018年には、スマートアシスタントがコンピュータ、スマートフォン、さらにはテレビに統合されるにつれ、音声ベースのインターフェイスを利用することがより自然になるだろう。

9.データサイエンティストの需要が、エンジニアの需要を上回る

IBMによると、データ・サイエンティストの需要は2020年には270万人に増加する見通しだ。

機械学習する人工知能は、与えられた問題にたいして適切な答えを出力することができる。機械学習プラットフォームに提供されるデータが増えると、プラットフォームの予測が改善される。

あらゆる規模の企業がデータを収集し、効果的に分析するためには、必然的に、人工知能プラットフォームを支援するために大規模なデータセットを処理できる有能なデータ科学者の必要性が高まるだろう。

10. 人工知能が難病の治療法を確立する

Better Capital LLCのベン・ホートマン最高経営責任者(CEO)は次のように語っている。

「ピアツーピアネットワークが、世界のもっとも治療が困難な病気の解決方法を見つける時代になるだろう。」もし、これらのコンピュータが、安全ピンの先端よりも小さく、仮想通貨と人工知能を搭載したチップにより動作する未来を想像してほしい、私たちはSFのような時代を迎えようとしている。

 

リモートワークで海外企業と働きながら、ヨーロッパの田舎町でスローライフを送っています。

Twitter: @mhayataki