【裏業界人のゴハン】裏稼業の数だけメシがある!丸野裕行の『ウラメシ』!‐第2回‐

  by 丸野裕行  Tags :  

ランチを覗けば、ウラの人生が見えてくる! 裏業界で働くオトナのごはん、それが「ウラメシ」!

どうもこんにちは! 裏社会ライターの丸野裕行です!

最近、新聞って読まなくなってきたなぁ…と感じているんですが、紙媒体よりもWeb媒体の方が嵩張らないし、スマホで簡単に読めてしまうので、時代の流れだなぁなんて思っています!
みなさんは段々と肌寒くなっていく中、いかがお過ごしですか?

でも、こんな時代でも、毎朝新聞片手に朝食を摂ったりトイレに籠る人はいる!
まだ夜が明けきらない中、早朝に自転車や50㏄カブで疾走している人をよく見かける!そう新聞配達員ですよね!

様々な新聞販売店が減る中、まだまだ元気に部数を増やしているところもあります。そこにはもちろん、働いている人がいる!
今回は、配達員ではなく、販売店を裏舞台で支え続けているという新聞拡張員さんにスポットを当ててみました。意外な闇に包まれる新聞拡張員の世界を、ちょっとのぞき見してみましょう!

やってきたのは、京都にあるアパート。
拡張する新聞名は控えますが、ここが彼らの住み家
昼の空き時間でどのようなウラメシを食べているのか、ちょっと覗いてみましょう!

拡張団員は借金まみれが多い

新聞拡張員の業務といっても、いろいろと仕事があるようで、早朝から夜まで詰め詰めのスケジュールで動いているということなんですね。

賃貸マンション暮らしなんてしていると、いきなり夜分遅くに訪問してくる拡張員のしつこいこと、しつこいこと。本当に迷惑な連中ですが、実はそのエリアごとに新聞配布を取り扱っている配達所、販売所の人間以外らしいんです。
なんと、彼らの所属は“新聞拡張団”。厄介な新聞屋の勧誘は、この“新聞拡張団”の人間たちの仕業なんです。

今回ご協力いただいたのは、現在京都南部の拡張団員として活動している道場隆文さん(仮名、43歳)。

果たしてどういった人間たちが、“拡張団”に入るのでしょうか?

道場さん「そうやねぇ~、スネにキズを持つ人間が多いよね。闇金融にまで手を出して、借金が返せない男たちや女たちが多いかなぁ。“団”にほうりこまれて、客に強引に契約を取らせるように仕向けるという感じで、返済させるという仕組みやね。元ヤ〇ザとか病気を患った肉体労働者とか、スポーツ新聞の三行広告で集まったやつらとか。なにかの過去がある人間ばっかりやね。ええ、僕も元懲役です」

あっけらかんと前科を話す道場さん、なんとも頼もしい限り! 

なんでも、元々は販売所のお仕事というのは、配達とか集金がメイン。契約を取る営業ができないという理由で、販売所も拡張団にしょうがなく頼んでいるという感じなんだそうです。販売店で営業を取れば安くあがりますが、団に頼むと高額の契約代行料を取られるそうです。3ヵ月契約で4千円程度支払わないといけないので、販売所も大変なんだそう。

しかし、拡張員も必死。拡張団に自分の借金の肩代わりをされ、夜討ち朝駆けで毎日借金返済のために、マンションやアパートを訪問しまくり。高熱や持病が出ようが、寝起きする団寮の布団から叩き起こされ、毎日営業活動にいそしむそうです。大変ですね!

団は3つある

団を大きく分けると、3つ!

1.全国津々浦々に営業を展開する“共通団”
2.一部のエリアだけを営業する“地場団”
3.細かく分けられた限定地域に営業する“専拡員”

新聞社とと委託契約を結んだ団は、3つもあるので、何度も何度もあなたが住む街を回っていきます。時々、彼らは徒党を組むようで、それは“特別拡張”と言われます!

決死の営業活動で契約を取れた団員。そのお給料は、日払いで支払われる内金、拡張団が給料日まで置いておく残金に分かれます。

道場さん「内金をたった1日のうちに、ギャンブルに使ってしまう人も多いので、団が管理する場合が多いやね。どこにも逃げ場がない、行くあてもない。辞めたとしても住み込みで働らけるところなんてないし」

団員が住む寮は、6畳ひと間に4人が寝食を共にしているそうで、それでも雨風を凌げるので、マシだそう。

全国的に横のつながりがあるので、もしほかの新聞社の団に入ろうとすると、【借金残額アリ】【盗癖持ち】と書かれた回状が回されるそうです!

ホントにコワい横のつながり!
では、ここで拡張団員の1日をのぞいてみましょう。

新聞拡張員の1日

<スケジュール>
6:00 販売所で朝礼
6:45 顧客リスト(引っ越したての家、他社の新聞を取っている家、トラブルが起きる家、高齢者が住む家、貧困家庭、母子家庭)の確認
7:45 解散
8:00 セールス開始
22:00 帰社
22:30 契約件数報告
23:00 帰寮

自分の営業努力次第で、月70万の給与を手にする団員もいるようですが、そのほとんどを借金返済に回されます。さらに、“拡材”と呼ばれる景品配りは、すべて自腹。儲けはほとんど出ず、借金は膨らむばかり。

道場さん「拡材で売り上げなんてそうあがらない。客の家の前でドアを開けさせるためのウソをついたり、年寄りを脅して契約を取ったり、押し売りのように家に上がり込んだり、そんなのが多いのがホンマ。毎日電話攻撃するやつもいる」

ムリにあげた契約だと“不良カード”というペナルティ契約になり、これを乱発すると、団長から殴る蹴るされたり、団から追い出されることも!

さらには、転居やクーリングオフ、契約者の死亡などあると、罰金を取られ、また拡張団員は借金を抱えることに! あ~恐ろしい!

拡張団員の道場さんに昼が来た!

PM12:52。
道場さんに実質の休憩時間は存在しません。労働基準法違反が続く中、彼が何を食べているかと言いますと…。

なんと、自分で早朝に握ってきたオニギリ。決しておいしそうには見えませんが、貧乏くさいニオイがプンプンしてますね!

それを食べながら、おもむろに広げたのは、お約束の週刊競馬ブックです。ちょっと、ちょっと、自分が馬のせいで身を持ち崩したのをお忘れですか?

道場さん「3-8は絶対くるんだよ…」

真剣なまなざしで、ぼそっと呟く彼の手元に挟み込まれた、短い赤鉛筆が哀しい~! その情熱を仕事に注げていれば、女房と子供に逃げられずに、懲役にも行かずに済んだのに!

道場さん「これぐらいしか楽しみがないんでね。今日あたり、契約報告で団長に殴られるんじゃないかぁ~」

と、遠い目をする道場さん! 現実逃避するのはやめようよ~!

それからの彼の一週間のウラメシがこれ。
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う~ん、栄養が極端に足りないというか、小銭しか持っていない彼には、贅沢なものなのかもしれませんが…。
それにしたって、残念すぎるってもんでしょ、これじゃあ!

朝食と夕食は寮でご飯にありつけるらしいですが、病院食のような内容で、パワーは出ないとのこと。毎日夜食のキムチで酒をかっ食らっていると言います。ちょっと、ちょっと、拡張団さんも借金まみれだとしてもみんなのこと考えてあげて~!

最近では契約件数がぐっと減ってしまったとのことで、「もう団にはいられないかもしれない」とのたまう道場さんですが、ひとつの解決策を思いついたとのこと。

道場さん「そうなんですよ、もう生きるのも疲れちゃったし、どこかでひっそりと…」

もう!ウラメシの話をしているんだから、そういう暗い話はやめて~!

危うい願望のある彼は、しつこく青木ヶ原樹海のことを聞いてきますが、裏社会ライターと言えども、絶対に教えてあげませんでした!

道場さん、まだまだ高齢化社会になりますから、紙の需要もおそらくは増えると思い、ます…よ…(自信ないけど)。消化によさそうな清貧ウラメシを食べて、まだまだこの産業を支えてくださいね!

今回はこのへんで!お相手は、丸野裕行でした!

丸野裕行

丸野裕行(まるのひろゆき) 1976年京都生まれ。 小説家、脚本家、フリーライター、映画プロデューサー、株式会社オトコノアジト代表取締役。 作家として様々な書籍や雑誌に寄稿。発禁処分の著書『木屋町DARUMA』を遠藤憲一主演で映画化。 『アサヒ芸能』『実話ナックルズ』や『AsageiPlus』『日刊SPA』その他有名週刊誌、Web媒体で執筆。 『丸野裕行の裏ネタJournal』の公式ポータルサイト編集長。 文化人タレントとして、BSスカパー『ダラケseason14』、TBS『サンジャポ』、テレビ朝日『EXD44』『ワイドスクランブル』、テレビ東京『じっくり聞いタロウ』、AbemaTV『スピードワゴンのThe Night』、東京MX『5時に夢中!』などのテレビなどで活動。地元京都のコラム掲載誌『京都夜本』配布中! 執筆・テレビ出演・お仕事のご依頼は、丸野裕行公式サイト『裏ネタJournal』から↓ ↓ ↓

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