不動産物件、雑誌公称部数、WEB広告……旧態依然のままか? ITで見える化し劇的に変わるか

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「これまで見えなかったもの、ブラックボックス的なサービスや仕組みが、ITで見える化するとイノベーションが起こる」

「日本初の広告枠のショッピングサイト」をうたう広告運用サービス『Adplace』の案内を聞いて、冒頭の大手不動産賃貸サービスの社長の言葉を思い出した。彼はこんな事例をあげて、ときおりギャグをはなみながら教えてくれた。

たとえば学生が不動産賃貸サイト上で「これいいじゃん!」と思った物件に出会い、メールや電話で内覧を予約する。学生はその物件を扱う店舗の窓口へ向かう。サイト上で見つけた物件が早くみたいのに、“物件希望シート”のような紙に個人情報を書かされ、窓口スタッフにいろいろ聞かれ、内覧したい物件以外の物件の売り出し情報を複数枚コピーし渡される……。

「では行ってみましょうか」と現地に向かうと思いきや、先ほど渡された別物件の内覧も付き合わされ、「マジかよ」と。ガマンしてついていき、日も暮れたころ“最後のカード”のように、学生がほんとうに見たかった物件に連れていく。

半日を要したうえに、窓口へ引き戻されて印鑑証明やらなにやらといろいろな書面・約款の確認を迫られ、やっと契約へと至る。店舗を出るころは、閉店時間が過ぎている、とか……。

「八百屋や酒屋がコンビニエンスストアに、薬屋がドラッグストアになり、街の便利なコミュニケーションエリアにまで進化した。だけど、不動産屋は旧態依然のまま。そんなこと大っぴらに言ったら競合やらどこからやら、いろいろ怒られちゃうけどね」

「ユーザーにはほんとうに知りたい情報があるのに、世の中がITでこれまでの仕組みがガラリと変わっていくなかで、旧態依然のままで窓口業務を行うこの業界に危機を感じる」

「これだけSNSやVRなど、情報共有や見せ方が変わってきているなかで、ブラックボックス化してクローズしている現状に未来はない」

20代のころ、雑誌の世界に飛び込んだとき「なぜ2つあるの?」と疑問に思った数字がある。公称部数と実売部数というやつだ。「広告主や広告会社など対外的には公称部数で」とそのころの上司に教えてくれた。それと何か重なる話じゃないか。

前置きが長かった。このAdplaceだ。これ、不動産業界や雑誌業界とは「似てるようでまた違う事情」を解決するひとつの手か。

メディアが価格つきでズラリ並ぶ

「従来の広告配信サービスは、広告主が媒体のジャンルと掲載期間、予算を設定したうえで、サービスに登録している媒体に対して、自動的に広告配信するしかできなかった。 広告主はメディアひとつひとつを主体的に選択できず、広告掲載に対して受動的な動きしかできなかった」

そんな事情があったことも知らなかった。運営する日本コンピュータ・ダイナミクスは、「従来の広告配信サービスでは、媒体が用意する広告枠に対し、自動的に配信するものが一般的。Adplaceでは、広告主が金額・期間・色・イメージから媒体を探し出し、主体的に広告を出稿でき、これまでの広告配信サービスですれ違っていた“相性のいいメディア”と出会える」という。そういう意味で“日本初の広告枠のショッピングサイト”なのか。

実際にAdplaceサイトにいってみると、「ナニコレおもしろい」とこの手の業界ではない素人でもニヤッとする。メディアが整然と並べられて、その下に価格が表示されている。買い方手順を見ると、フツーのショッピングと同じ手軽さがあるようで、「メディアをチョイス」「メッセージでやりとり」「クレジットカードで支払い」「広告掲載」「メディアから報告」「Adplaceからメディアに支払い」と。

広告を出す側、掲載する側などの双方のメリットなどは、公式サイトの案内に任せるとして、不動産や雑誌、WEBメディアも“見える化”で、いろいろ変わりそうな気配。リフォーム業界や中古車業界も、こうした動きが早めにきてもらえないかなとも思った次第。

GAL

いま、そんな話題、こんな現場のなかにいます。