大阪の味、ミックスジュースの元祖!復活した千成屋珈琲を徹底レポート

昨年惜しまれながら閉店した大阪・新世界の老舗純喫茶『千成屋珈琲』がこのたび復活オープンとなった。

同店は1948年に創業。完熟したバナナやみかん、桃などをブレンドした『ミックスジュース』を発明して評判となり、地域の名店として長く愛されてきた。

3代目店主の恒川豊子さんが体調を崩しやむなく閉店したものの、それを聞きつけた常連の会社経営者・白附克仁さんが「大阪の味を無くすわけにはいかない」と関係者を説得。4代目として看板を受け継ぎ、今回の復活オープンにこぎつけた。

白附さんは語る。

「僕は新世界にほど近い阿倍野区の出身。子供の頃、家族で一心寺にお参りすると必ず新世界に寄りました。千成屋のミックスジュースはその頃からの思い出の味です。

千成屋が閉店することを聞いて脳裏に浮かんだのは、高校のボクシング部の先輩にあたる赤井英和さんと上山勝也さんが『串かつ だるま』を閉店の危機から救ったエピソード。僕も大阪の味、大阪の文化を守るためになにかできないだろうかと考えました。」

6月1日、新世界は平日にもかかわらず大勢の人であふれていた。

千成屋珈琲は新世界南端の商店街、ジャンジャン横丁に所在。横幅わずか2.5mの通りには将棋クラブ『三桂クラブ』、50円ゲームセンター『かすが娯楽場』など、なんとも濃厚な店舗が軒を連ねているが、その中に千成屋珈琲店もある。

閉店前とほとんど変わらない昭和レトロ感あふれる店内で『元祖ミックスジュース』(500円※大は720円)をはじめいくつかの名物メニューをいただいた。

元祖ミックスジュースは先代店主の味を可能な限り再現したもので、グラスの中でストローが立つほどの濃厚さ。

ジュースよりは”飲むフルーツ”とでも言った方がしっくりくるような食感で、酸味と甘みのバランスが絶妙だ。関西出身の筆者にはなじみ深い味だが、初めて飲む方でもこれが嫌いな人はほとんどいないのではないだろうかと思う。

『ミックスフルーツサンド』(1,250円)は生クリームと果物を贅沢にしようしたボリューム感あふれる一品。口に含めば濃厚な甘みとクリーミーさ、ジューシーさが炸裂する。”サンドウィッチに1,000円以上?”と思われるかもしれないが、これはもはやケーキ1ホールと思っていただいたいたほうがいい。4人で分けても十分満足できる内容だ。

甘くない軽食を摂りたいという方におススメなのは『厚焼き玉子サンド』(620円)。厚焼き玉子が売りのサンドウィッチはいくつか食べてきたが、こちらのようなだし巻き状のつるっとした焼き上がりのものは珍しい。味わいも関西風で軽く、食欲がない時でも一皿くらいぺろっと食べてしまえそうだ。

うーん、なにを食べてもいちいち個性があって美味い!

もちろん喫茶店の定番、コーヒーにもこだわりは貫かれており、微量のバターを配合してマイルドに仕上げた各種コーヒー(400~500円)や長時間かけて水出しした『冷コー』(※アイスコーヒー 400円)は一飲の価値アリ。

関西近郊の方はもちろん、観光で大阪を訪れる方にはぜひ立ち寄っていただきたいおススメの名店だ。

千成屋珈琲
※テイクアウトも可能なパーラーも併設

住所:大阪市浪速区恵美須東3-4-15
営業:9:00〜21:00(土日祝前日〜23:00)※無休
http://sennariya-coffee.jp

※撮影モデルとして桜さん(左)、西原麻貴さん(右)にご出演いただきました

中将タカノリ

■シンガーソングライター、音楽・芸能評論家 ■奈良県奈良市出身 ■1984年3月8日生まれ ■関西学院大学文学部日本文学科中退 2005年、加賀テツヤ(ザ・リンド&リンダース)の薦めで芸能活動をスタート。 歌謡曲をフィーチャーした音楽性が注目され数々の楽曲提供、音楽プロデュースを手がける。代表曲に「雨にうたれて」、「女ごころ」(小林真に提供)など。 2012年からは音楽評論家としても活動。さまざまなメディアを通じて音楽、芸能について紹介、解説している。

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