少し前、まだ関西にいたころのイベントレポートメモが出てきたので加筆更新します。
その日は副業でアイドルイベントのプロデューサーをやっているA氏に話を聞いた。A氏大阪日本橋などでいわゆる地下アイドルのイベントプロデュースを実施しており、最近は関西の商店街や大学など、イベントスペース以外でのイベントプロデュースも盛んに実施されている。A氏の話に加え、私見を含めて「地元アイドル」について考察したい。
地元アイドルとは
A氏は自身が関わるアイドルのカテゴリーを「地元アイドル」と定義していた。このカテゴリーの中には「地下アイドル」(日本橋の劇場中心)や「地方アイドル」(各地方を拠点とするアイドル)などを含む。
アイドルは、テレビの隆盛以降、テレビでの露出を前提にしてきたが、「地元アイドル」はそのカテゴリーからは外れるものである。「地元アイドル」の特徴としては様々なイベントスペースなどのリアルな場での公演を中心に展開するということがある。若い女性のリアルな場での公演ということであれば、歴史的には明治以前にも見られた現象である。しかし、「地元アイドル」は電子機器などを使い、ウェブ媒体での露出を前提にしており、その点で過去のアイドル像とは異なるものである。
リアル+ウェブのアイドル
AKBなどのテレビアイドルもコンセプトとして「会いに行けるアイドル」をうたっており、リアル+ウェブでの展開を意図したものだったであろう。
ここで問題となるのが、現在や将来においてテレビを介さない、リアル+ウェブでのプロアイドル(プロの「地元アイドル」)は可能かということである。「地元アイドル」の公演をいくつか拝見した、あくまで肌感覚であるが、「地元アイドル」は学生の部活感覚で行っている副業アイドルクラスターとプロを目指す本業アイドルクラスターがいるように思う。前者の場合、ある一定期間アイドル活動をすることで、地元を活性化するなど社会貢献を実現できる環境が既にある程度あり、自己実現が可能かもしれない。しかし、後者の場合「地元アイドル」(リアル+ウェブ)である程度の金額を安定的に稼ぐプロを実現している例は多くないだろう。そのような状況の中で、「地元アイドル」はテレビプロアイドルのサテライトという位置づけで活動している場合も多い。アイドルの多様性や自己実現を図るためにはプロの「地元アイドル」の育成も重要だろう。
どのように育成がなしえるかという考察に関しては、専門家に譲るが、経営の原則に則るなら、高クオリティで高単価な公演の提供ということになるのではないだろうか。
アイドルはありていに言えば、10歳から25歳ごろまでの期間に行う活動である。今回はその間の地元アイドルの可能性について考えた。テレビで活躍するアイドルもそうであるが、アイドルの出口論は非常に重要である。プロの「地元アイドル」が育成されたとき、その出口論も論じられるべきであろう。
【画像】自主撮影