インターネット放送局「OurPlanet-TV」主催のシンポジウム「ポスト311時代のメディアとは ~公共的なメディアを取り戻す作戦会議~」が開かれました。
野中ともよさんをコーディネーターに、社会学者の上野千鶴子さん、映画監督の鎌仲ひとみさんと、気鋭の女性論者がズラリそろった図はフェミニズムの集会のよう。でも、このシンポジウムの主役に躍り出たのは、30代のNHK男性アナウンサー、堀潤さんでした。
壇上に呼び出され、集中砲火を浴びながらもフリーに発言する堀アナ(右)
シンポジウムのテーマである「公共的なメディア」について。多くの皆さんは「NHK=公共放送」という認識があるでしょうから、「取り戻す」と言われてもピンとこないのではないでしょうか。NHKがあるじゃん、と。
でも、ちょっと考えてみてください。さんざん騒がれた「NHK受信料未払い問題」。公共サービスですから、電気ガス水道と同じく、受信料を払うこと自体は良しとしましょう。ですが、料金を支払う対価として「NHKに意見する」、さらには「NHKの電波を利用する」権利が全視聴者に認められる、それが当然とは思いませんか?
さらに忘れられがちですが、「電波は公共の財産」です。限りある電波を一部の大メディアが独占し続けることは、ホントはアウトなのです。民放は商業放送なので、利益追求に走るのが致し方ない面はあります。でもNHKは公共放送ですから、利益度外視で視聴者に電波を開放する義務があるのです。本来は。
NHKにはめずらしくやわらか頭の堀アナは、ごく当たり前に「NHKは電波開放すりゃいいじゃん!」的なことをTwitterでつぶやいたところ、あえなくアカウントを取り上げられたそうです。みんなのNHK、コワいですねー。
そんな「体制内の脱・体制」派である堀アナですが、このシンポジウムでは、よりフリーダムな女性論者たちから「何が中立だ」「国策チャンネルめ」など、ヤジの十字砲火を浴びていました。
でも、へこたれない堀アナ。Twitter騒動で打たれ強さを学んだのかもしれません。「おまえが(NHKを)変えろ!」の大合唱を受け、堀アナは「じゃあ、公約しましょう。3年以内にNHKに『パブリック・アクセス権』導入の目途を立てられなければ、会社を辞めます!」とフライング気味に宣言。
堀アナを容赦なく攻め立てる、上野氏(左)と鎌仲氏
お堅いシンポジウムのはずが、何やら民放バラエティーを見ているようなナマっぽい展開でした。うーん、堀アナは民放各局が「欲しい!」と思うに違いない、おいしすぎるキャラです。「開かれたNHK」と「開きっぱなしの堀アナ」の、今後から目が離せません。