歯は常に溶けたり戻ったりを繰り返している
物を食べれば歯は溶けます。溶けると言っても、目に見えないくらい僅かです。これを脱灰と言います。
溶けた歯は唾液の力で約40分ほどかけて元の状態に修復されます。これを再石灰と言います。
このサイクルは、何かを口に入れる度に繰り返しています。そして、この溶ける事と修復のバランスが崩れ、溶ける方が優勢になった時に虫歯ができます。
歯が溶けるという事
脱灰は、歯の表面からカルシウムやリンなどの成分が溶け出してしまうことで起こります。食後20~30分頃が脱灰のピークで、この頃は再石灰よりも脱灰が勝っています。脱灰して歯の表面が脆くなっている時に歯ブラシを当てると、余計に歯を傷つけてしまう事になってしまいます。
脱灰している時に行う歯磨きの弊害
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1 歯磨き粉に配合されている研磨剤や歯ブラシ圧が、溶けたばかりの歯を傷つける
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2 唾液も洗い流してしまうことで、歯を再石灰化させる力を邪魔してしまう
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3 2を続けることで、唾液の力そのものを弱らせてしまうことがある
これらのことから、食後30分以内の歯磨きは却って歯を傷つけてしまいます。
では、どうすれば良いのか
フロスを使う
食後すぐから菌が増殖し、約三分ほどで脱灰が始まると言われています。この三分以内に優しく清掃する事が大事だと言われています。
汚れや細菌が特に溜まりやすいのは、歯と歯の間・歯と歯茎の間です。また、お口全体だと上の奥歯の外側と、下の奥歯の内側です。(写真の青色の円部分)
歯ブラシで強く擦ると歯が傷付いてしまうので、フロスで優しく汚れを落としましょう。歯ブラシを使う場合は歯磨き粉は使わない方が良いでしょう。そして、なるべく圧力をかけずに磨いて下さい。歯磨き粉に含まれる研磨剤が、溶けかけている歯を削ってしまう恐れがあるためです。
お茶を飲む
食後に緑茶を飲むことも、歯を修復する事の助けになります。
普段、お口の中は中性ですが、食事をすると酸性に傾き歯が溶けます。酸性に傾いているお口の中を、より早く中性に戻す事が大切です。お茶にはお口の中の酸を中和する働きがあります。
また、緑茶には微量のフッ素が含まれています。フッ素は歯の再石灰を促します。
歯を健康に保ちたい
唾液の力は個人差が大きく、強い人もいれば弱い人もいます。持って生まれたものなので、上手くつき合えると良いですね。
お口の健康を保つには、就寝前に歯磨きをして汚れがきちんと落ちている事が大切です。寝ている間は唾液が出ないので、虫歯や歯周病の菌が悪さをするのに都合の良い環境になるからです。(よだれは分泌する場所が違うので、唾液とは成分が違います)
また、虫歯に関しては菌が24時間以上同じ場所に付着したままになっていると虫歯ができると言われています。その事から、汚れの溜まりやすい歯の溝や歯と歯茎の間・歯と歯の間の汚れを毎日きちんと落とすことがとても大切です。
※写真は全て筆者撮影。