今回は、AKB48チームBの5th Stage「シアターの女神」公演内の楽曲、「嵐の夜には」を紹介したい。
メロディアスかつキャッチーなこの曲は、AKB48チームBの5th Stage内でも、一際、恋愛におけるダークな一面が目立つ歌詞で構成されている。
歌詞は以下から、確認してほしい。
http://music.goo.ne.jp/lyric/LYRUTND119203/index.html
それは、冷静で残酷な炎。
例えるなら、公演中におけるこの曲の衣装のように、悲しみと喜びに満ちたような、独特の輝きを放つ青い炎。
公演ではこの曲の初め、彼女らは、強く儚い恋心を持った彼女らは、ブラインドの中にいる。
黒のブラインド。その色は、まるで、嵐の夜の漆黒のようで、その姿はまるで、世間の目というものを気にして、隠していた彼女らの気持ちのよう。
そして、曲が始まると、文字通り幕が上がる。
彼女らは、世間の目から、評価から解き放たれ、自分の恋心を露わにする。
雨風が叩きつけられる窓は、この恋への糾弾を表していて。
世間からの非難を表していて。
それを窓の外に見ながら、彼女らと彼は別の世界。二人だけの世界。
ステージ中央にあるのは、真っ赤なソファ。
それは、まるで燃える彼女の、つまり、彼女らの儚い恋心のようだと思えた。彼女らの恋心を表しているのだと思えた。
ブラインドの中という、守られた世界から飛び出した彼女らは、赤いソファに寄り添って愛でるような仕草をしながら座る。
ああ、彼女らは、自分の恋心を愛でている。やっと、発露できた自分の心を、誰にも壊されないように、愛でているのだ。と思った刹那、信じられない光景が繰り広げられる。
彼女らは、こともあろうに、その自分たちの気持ちだったはずの、赤いソファの上に乗り、踊るのだ。
このような歌詞とともに。
‘最低の女ね 地獄へ堕ちるでしょう’
そこで、私は思い直すのだ。
彼女らの気持ちは、赤でなく、青。
そう、すべてを焼き尽くす青だったのだ。と。
ソファの赤は、彼の“彼女”の恋心。
彼女らは、その気持ちの上で踊るのだ。
悪いことをしているのは、分かっているけれど、私はあの人が好きなのだ。と。
彼女らがソファに乗る前の歌詞は、このようなものだった。
‘「ひどい奴だよ」と言われても 構わないよ あなただけいれば 敵を作ってもいい ’
彼を得るためであれば、親友との絆さえ、投げ捨てられる。
そんな悲痛にさえ満ちた彼女の恋心。
それは青。
外からの見た目とは裏腹に、炎の温度は赤よりも青が高い。
彼女の愛はすべてを焼き焦がしてしまうだろう。
彼女は、歌うように自分がやっていることが理性では正しいとは思っていない。
それでも、続けてしまう。
人間、正しいと思っていることについて理性的に判断を下すよりも、正しくないのに、続けていることについて判断を下すほうが難しい。そこで、間違っていると斬ってしまうことは、自分の過去が間違っていたと認めるようなものだから。
彼女らもきっと、判断を下せない。それよりも感情に従う方が、苦しまない。
歌詞中にはこうあった。
‘愛という名のエゴイスト誰にも止められない’
彼女らの青く燃える愛は、誰にも止められない……