犯罪捜査の際に、容疑者の有力な情報となるものとして、血液があります。
血液型はもちろん、DNA情報から容疑者を特定できるものとして犯罪捜査にも利用されています。
とはいえ、DNA鑑定は容疑者の精液や毛髪といった容疑者の身体の一部が事前に情報としてなければ、捜査が難航します。また、DNA鑑定自体72時間程度の鑑定時間が必要です。そのため、必ずしも決定打とならないことがあります。
先日、ニューヨーク州立大学オールバニ校の化学者ヤン・ハリメク教授らは、血液のサンプルから持ち主の年齢を調べる方法を確立したと科学誌Analytical Chemistry に発表しました。科学捜査を大いに進展させる方法だとして注目が集まっています。
ハリメク氏らは、血液中のアルカリフォスファターゼ(ALP)という酵素に注目。ALPは、骨が成長している時期に大量に分泌される性質があり、女性では17歳前後、男性では18歳前後をピークに濃度が減っていくことがわかっています。
つまり、犯罪現場に付着している血液を採集してALPの濃度を調べれば、少なくとも17歳もしくは18歳以上の年齢より上か下かはわかる可能性が高くなるということになります。
加えてハリメク氏らは、生成されたALPの活動によって発生する物質を観察。その結果、ほぼ100パーセントの確率で、容疑者の年代を特定することが可能になったとのこと。
ただし、血液が付着してから48時間以上経過すると、ALPの活性状態を確認できなくなることが多く、現状では科学捜査にすぐに生かすことはできないとのことです。
まだまだ欠点があるようですが、画期的な方法であることは間違いありません。誤認逮捕を避け、犯罪の容疑者が速やかに検挙される方法として確立するといいですね。
※写真はイメージ 足成より