マムシ・スズメバチ・アカエイ…… 夏本番の前に知っておきたいヤバい生き物

  by 松沢直樹  Tags :  

首都圏はすでに夏本番のようなお天気。このぶんだと梅雨明けももうすぐでしょうね。
夏本番ともなれば、海や山へ出かける人も多いと思います。気をつけたいのは、この時期毒を持つ生物が活発に活動することでしょう。気をつけるべき生物を挙げればキリがありませんが、わりと遭遇する頻度が高い生物をピックアップしてみました。

マムシ

一般的には虫類は、気温が上がる時期になると活発に活動します。とはいえ、マムシは日がさんさんと差すような場所ではなく、昼間でも薄暗いような藪や山道でよく出くわします。咬まれると患部に焼けるような痛みが起こり、著しく腫れ上がることが多いとされています。
南西諸島や沖縄県に生息するハブよりは、重篤な状態に至らないことが通例です。しかしながら、死亡するリスクはゼロではありません。

長靴や長袖を身につけるようにして、万が一咬まれた場合は、可能な限り安静を保ち、救急車を要請するほうが好ましいとされています。山深くで携帯電話が繋がらない場合や救急車の要請が難しい場合は、患部の近くを包帯などで固定し、息が上がらないように歩いて病院へ急ぎます。息が上がらないように移動するのは、心拍数が上がって、身体の各所に毒が回るのを避けるためです。

スズメバチ

大型の毒を持つ蜂として有名な昆虫ですが、攻撃的な性格なので、巣を見つけたりした場合はいたずらをしたりせず、可能な限り離れるようにしましょう。また、巣を守っているスズメバチが攻撃をしかけてくることもありますので、注意が必要です。

スズメバチは、黒い物に集まる習性があるため、山に入る時は明るい色の服を着て、髪の毛などは帽子で隠すようにします。
万が一刺された時は、すぐに下山して病院へ向かうようにします。特に発疹が出てきたり、息苦しくなったといった症状が出てきた場合、体内でスズメバチの毒に対して急激なアレルギー反応が起きている可能性があります。重篤な状態に至りかねませんので、できるだけ迅速に病院へ移動するようにしましょう。

また、特に異常がない場合でも、これまで蜂に刺されたことがある人は、急激なアレルギー反応によって起こるアナフィラキシーショックを起こす可能性が高いです。急いで病院へ向かうようにしましょう。

マダニ

他の動物の血を吸っていた個体が、植物の上などに落ち、たまたま衣服が接触して刺されることがあります。背中などに入ると刺されたことに気づかないことも多く、たまたま鏡を見て血を吸ってふくれあがったマダニを見つけてはじめて気づくこともあります。
マダニは、ウイルス性の感染症を媒介することが知られていますので、刺されたら可能な限り早く取り除くのが得策です。

ただし、マダニは口吻という硬い口を人間の皮膚に差し込んで血を吸うため、手でつまんで抜こうとするとダニの腹部をつぶしてしまい、口吻が皮膚に刺さったままになることが多いです。ダニを除去する専用のピンセットや器具を持参し、気づいた時点で取り除くのがベストです。下山してマダニに刺されているのに気づいた場合は、皮膚科を受診して医師に除去してもらうのがいいでしょう。

ゴンズイ

海でも気をつけなければいけない生物はたくさんいます。
よく目にする毒を持った生物といえばゴンズイでしょう。

堤防や港などで釣りをしていると、よく釣れる魚です。ユーモラスな顔をしていますが、毒針を持っており、手で触れたりすると数日は激しい痛みが残ります。魚釣りをしていて釣れた場合は、釣り糸ごと切って海に捨てるほうが無難でしょう。
誤って触ってしまい刺された場合には激しい痛みが残りますので、棘を抜いて早めに病院を受診するようにします。

カツオノエボシ

毒を持つクラゲの中でも、刺されると激しい痛みを起こすクラゲです。とてもきれいな青い色をしていますが、海水浴などで見かけた場合は、絶対に触れないこと。また、波打ち際に打ち上げられている個体をよく目にしますが、誤って踏んだりしないように気をつけましょう。刺された場合、患部にカツオノエボシの触手が残っている場合は、そっと引きはがし、清潔な海水で洗うようにします。
カツオノエボシに刺されると患部が腫れたり、激しいかゆみが出ることも珍しくありませんが、これはアレルギー反応の一種です。患部を冷やして、病院でステロイドなどの医薬品を処方してもらうほうがベストです。

小児が刺された場合や、大人でも刺された範囲が広い場合は、ショックを起こす場合がありますので、激しい痛みやかゆみ、呼吸が苦しくなるような症状が出た場合は、救急車を呼んで救急外来で手当てを受けるほうが無難だとされています。

アカエイ

尾の根本に毒がある針を持っており、刺されると激しく痛みます。
釣りをしていてたまたまつり上げた時に触れて、刺されることがあります。また、浅瀬に上がってくることも多く、砂と似た色をしているため、誤って踏んでしまい刺されることも珍しくありません。

アカエイに刺されると、血圧低下、呼吸困難などの症状が出て重篤な状態に至るケースが珍しくありません。可能なら患部を圧迫して毒を洗い流し、できるだけ早く病院で医師の診察を受けるようにします。

他にも、危険な生物はたくさんいます。海や山へ出かける場合は、可能な限り肌を露出させた服装をしないこと。場合によっては、医師に相談して応急処置に使える医薬品を持参するなどといった工夫が重要です。安全に気をつけて、今年の夏をエンジョイしてくださいね。

※トップ画像は https://www.pakutaso.com/20140731205post-4386.html より
 そのほかは http://www.photo-ac.com/ より

松沢直樹

福岡県北九州市出身。主な取材フィールドは、フード、医療、社会保障など。近著に「食費革命」「うちの職場は隠れブラックかも」(三五館)」近年は児童文学作品も上梓。連合ユニオン東京・委託労働者ユニオン執行副委員長