鶴見大学および国立医療育成センターらのチームは、涙でアレルギー性の結膜炎にかかっていることを診断できる方法を発見。3月7日の米国の医学専門誌の電子版に公表しました。
アレルギー性結膜炎は、ほこりや花粉、ダニなどが原因で起きます。花粉症の目のかゆみも、広義の意味でアレルギー性結膜炎といえます。
花粉症による結膜炎の場合、シーズンを過ぎると症状が治まるケースも少なくありません。ただし、アトピー性皮膚炎にともなう結膜炎や、男子に発症しやすい春季カタルは、目の黒い部分に炎症が起こるため、重症化する場合が少なくありません。
一般的に、かゆみなどの症状が出てから治療を開始することが多いのではないでしょうか。
しかしながら、アレルギー性結膜炎以外にもかゆみが起こる眼科疾患は多数あります。現時点ではアレルギー抗体の量を調べるなどの方法が主流で、確定診断が出るまでに時間を要するのが通例です。
今回の研究では、アレルギー性結膜炎の患者の涙に、アレルギーとの関係が指摘されている血液中のタンパク質「ぺリオスチン」が含まれていることに注目。
研究チームらは、アトピー性角結膜炎、春季カタル、季節性のアレルギー生結膜炎の患者合計55人の涙を検査したところ、ぺリオスチンが全員に含まれており、また非常に濃度が高いことがわかりました。
これに対して健康な人の涙からは、ぺリオスチンはほとんど検出されていないことから、ぺリオスチンがアレルギー性結膜炎などの疾患と関与があるのは間違いがなさそうです。
ただし、ぺリオスチンがアレルギー性結膜炎を引き起こすのか、もしくはなんらかのアレルギー反応が起きることによって、ぺリオスチンが生成するかといった、発生のメカニズムについてはわかっていません。
とはいえ、非常に複雑なアレルギー疾患の発生と効果的な治療のカギの一つになるのは間違いありません。今後の研究を期待したいですね。
※写真はイメージ Photo AC http://www.photo-ac.com/main/detail/88994?title=%E7%9B%AE%E8%96%AC%E3%82%92%E5%B7%AE%E3%81%99%E7%94%B7%E6%80%A74 より