「Thank You For The People」
渋谷のフリーペーパー専門店、ONLY FREE PAPERのサイトが1月末に突然トップにその文字が現れた。*1
「開店から約1年、ONLY FREE PAPERは正念場を迎えております」
そんな言葉とともに、寄付をお願いする文面が綴られていた。2月1日から29日までの間での目標額は200万円-。
*1 Thank You For The People.
http://onlyfreepaper.com/introduction.html
2010年12月にキャットストリート沿いに開店し、2011年9月に渋谷PARCOパート1・6Fに移転を果たしている。一見、順風満帆に見えたONLY FREE PAPERに、一体何があったのか?
松江健介代表に今回の寄付に至った経緯と今後についてお話を伺った。
――突然、サイトで「正念場」「決死の覚悟」といった悲壮な言葉が並んでいて驚いたのですが。
松江健介代表(以下松江):私はONLY FREE PAPERは、フリーペーパーを並べた書店だ、と考えております。これまでに前例のない店舗なので、やってみないと分からないところがありました。おかげさまで皆様に楽しんでいただけるようにはなりましたが、事業としての現実は厳しいということです。
――率直にお聞きしますが、200万円はどんな用途に使われる予定なのですか?
松江:今後の事業展開で必要不可欠なwebサイトやアプリ事業の制作費および事業化への運転資金にあてさせていただきます。これは切実に必要な資金で、もし集まらないようなら難しい判断をしなければいけないですね。本来、株式会社が寄付をするというのは本道ではないのかもしれませんが…。
――それでは、ONLY FREE PAPERの収益源について教えて頂けますか?
松江:今までは棚をレンタルスペースとして貸したり、ワークショップなどイベントの開催や雑貨の販売をしたりしながら少しの収益をあげておりました。
――200万円が集まったとして、今後の展開をどう考えていらっしゃいますか?
松江:2Dとの連携は必須であると思っております。それともう一つは地方への展開や各フリペの版元様との連携はやっていきたいですね。
――サイトでは、寄付の明細が毎日アップされておりますね。
松江:我々の企業は、オープンでいたいと思っております。お客様と一緒にありたいですし、フリーペーパーの制作者皆様を大事にしていきたい。そのためにも透明な運営を目指していきたい。そういう意味で開示しておりますし、そもそも会社の状況を告白したのもそういった理由からです。わざわざこのプロジェクトをはじめたのは金銭的な理由はもちろんですが、われわれのメッセージでもあります。
――開店から1年以上経過して、カルチャースポットとして、ONLY FREE PAPERはかなり浸透してきたように思えます。そこまで広がったシーンをなくさないようにするために、メッセージをお願いいたします。
松江:現在、当店には約150冊の持ち帰り自由な冊子があり、お客様もたくさん来ていただいております。世の中には面白い人・情報がたくさんあります。それを読書というものを通じてリアルな体験として感じ取れる場がONLY FREE PAPERです。その場を続けていくために、スタッフ一丸となって精進していきたいと思っております。そのお手伝いを少しでもしていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。