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風来坊力也の旅日記
昔の人は川で取れる食材を食べ生活をしていた。
川は命の宝庫だ。
河川敷には食べられる草花が多く生息し、川には沢山の生き物が住んでいる。
今はどこでも手軽に食べ物が手に入るから、わざわざ川で狩りをする必要は無いだろうが、川にある食材だけでも生きていける…はず。
誰もやらないだけで、なんとかなるのでは?
そんな思いから始まった
「川の生き物だけを食べて生活する川篭り生活7日間」がスタートした。
初日はあいにくの雨、豪雷雨からはじまった。
雷はピカッと光ってから音が後から着いてくる。
はるか遠くで雷が落ちる為、音が置いていかれるのだ。
運が悪い事に雷の落ちる付近でテントを張ってしまい真横で雷が落ちまくる。
どれほど近いかは音で分かる。
光ってから直後に豪音、かなり近い。
テントで震えているわけにもいかず、このピンチをチャンスに変える。
ナベを用意し雨水を確保、雨で喉を潤す。
自然の恵みだ、ありがたい。
午前5時、ようやく雨上がる。
先程までの豪雨が嘘の様に晴れ渡る。
さあ狩りをはじめよう。
狙うはウシガエルだ。
以前山篭りの際、ウシガエルを捕まえ調理した経験がある。
今回も捕まるだろうと釣りを始めたが、4時間まったく釣れない。
予想とは裏腹に難しい。
初日から飯抜きの予感、反応の無い釣竿、沈む夕日を眺め途方に暮れた。
北柏の川には大勢の釣り人が集まる。
作戦変更、釣り人にお願いして魚を分けてもらおう。
となりでルアーフィッシングをしていた男性が雷魚を釣り上げる。
サイズ20cm以上、これはデカイ!
早速交渉、企画内容を説明し食べても良いか聞いてみる。
釣り人半笑いで快く雷魚を譲ってくれた。ありがたい、これで飢えずに済む。
雷魚の歯はノコギリ状になっており、指を切り落とす程の力を持っている。
まずは頭を落とし、鎧のように硬いウロコをなんとか落とし内臓を取る。
三枚におろすと綺麗な薄ピンクの身が出来た。
本当は生で食すのは危険なのだが、我慢できず醤油をかけて戴く。
ウマイ!噛めば噛むほど味が沸く。
雷魚の肉は弾力に富んでおり、白身魚特有の癖の無い味だった。
残りの肉はナベで炒めて戴く。
寄生虫は70度の熱で死滅する為、火を通せば心配はいらない…はず。
雷魚で腹が膨れたのでフロに入る。
フロはもちろん川だ。
ボディーソープやシャンプーはいらない、天然の川水で体を清める。
しっかり肩までつかり汚れを落とす。
川から上がると草の香りがした。 若干青臭いが気にしない、サッパリした。
夜は沼で狩りを行う。
ウシガエルは夜行性、チャンスは夜に訪れる。
ヘッドライトの明かりを頼りに夜の沼に入る。
臭い…下に溜まった泥がたまらなく臭い。
歩く度、泥を巻き上げるため臭気ガスが湧き上がる。
水面から生える水草が不気味で進行を邪魔するかのように体に纏わりつく。
真っ暗な沼をカエルの鳴き声を頼りに進んでいくと、足に石が落ちてきた。
足裏で感覚を探ると、ずいぶん整った綺麗な形をしている。
持ち上げてみると、なんと亀だった。
泥を巻き上げて進んでいた結果、眠っていた亀を起こしてしまったらしい。
これは…食えるだろうか?
亀を食った話は聞いたことがない。
しかし、これも立派な肉だ、食えないことは無いだろう。
ネットで検索すると、なんと亀はウマイらしい。
大腸以外の内臓も食べられるらしく、スッポンよりウマイと書かれていた。
在来種(ニホンイシガメ)は保護されているが、外来種(アカミミガメ・クサガメ)は駆除対象で捕まえた際は保健所で殺処分してもらわなければならない。
捕まえた亀はアカミミガメだった。
亀調理のサイトに従って捌いていく。
さすがに甲羅は硬く、捌くのに難攻したがなんとか外す事に成功した。
肉厚の手足を切り離し、大腸を取り除く。
腹の中には沢山の卵を抱えていた、産卵前だったようだ。
さっそく調理をはじめようとした矢先、警察に囲まれる。
地域住民から通報を受けたとの事。
亀を虐待している男がいると通報を受けてしまった。
企画内容と亀を調理し食べる事を伝え解放される。
亀を食おうとしている男に警察もドン引きだった。
味付けはシンプル、醤油と砂糖。
砂糖を持ってきていなかった為レモンキャンディーを入れてみた。
これが功を奏し、生姜のようなアクセントを生むことに成功。
亀のおなかの中にあった卵は15個。
殻は柔らかく、簡単に破ることが出来た。
中から綺麗な白身と黄身がトロっと出てきた。
うまそう…たまらず亀の生卵を一個戴く。
うまい!取れたて卵だ!ごはんと醤油があったら最高!ほんと鶏の卵と変わらない味だった。
他の卵はすべて割ってナベに落とした、すると卵とじが出来た。
グツグツに煮込み亀ナベの完成。
早速戴く。
硬くて外せなかった外皮、驚く事に煮込むと柔らかくトロトロになった。
コラーゲンの塊、プルプルとした外皮に味がよく染みていた。
肉質は牛肉、とくに内臓は牛モツにソックリだった。
骨と肉がズルリと外れ食べやすい、丁度ケンタッキーフライドチキンの様に簡単に肉が外れる。
肝心の味だが、これが信じられないほど旨かった!
泥臭い印象だったが無臭、泥抜きしなくてもおいしく戴けた。
中でも一番旨かったのは、卵巣だ。
黄色い玉がいくつも連なっている卵巣、食感は栗の様で味は卵の黄身
それもかなり濃厚な黄身で、口の中でフワッととろけた。
レバーもプリプリで最高に旨かった。
大阪西成で食べたレバーよりも旨いかもしれない、新鮮で甘かった。
頭から尻尾まで綺麗に食し合掌、命に感謝した。
ご馳走様、美味しくいただきました。
川篭りをはじめ数日、いまだに釣りの腕前が上がらない。
1匹も魚が釣れていないのだ。
竿のせいだ、餌のせいだと愚痴をこぼすが、結局技術力不足の自分のせいだったと後に分かる。
ブラックバス釣りをしていた少年と出会う。
目の前で大きなブラックバスを釣り上げる少年に尊敬の念を抱く。
釣りの技術を教えて頂けないかとお願いすると快く応じてくれた。
37歳と14歳、歳は20も離れているが教えをこう時はやはり敬語だ。
「師匠、宜しくお願いいたします!」
少年は若干照れくさそうであった。
鯉を釣るには食パンが良いのだと師匠は教えてくれた。
餌をばら撒き、鯉が食いついてから釣り針を投げる。
すると鯉が針にかかるのだという。
師匠のやり方をじっと観察する。
釣り糸を垂らし5分ほど、なんと鯉が掛かった!
この数日1匹も引っかからなかったのに、師匠は5分で鯉を虜にした。
頑張って粘れば鯉が釣れる事を知り俄然やる気になる。
師匠のサポートを受けながらジッと釣竿に集中する。
食パンが浮きの役割を果たし、パンが沈めば魚が食いついた証拠となる。
あとは焦らずゆっくり糸を手繰るのだ。
鯉と格闘すること1時間、パンが…沈んだ!!
ゆっくりとリールを巻き上げ、魚を岸に寄せる。
ズシっとした感覚が手に伝わる、水中で暴れる様子が手に取るように分かる。
川の中から魚が姿を現した、師匠がすかさず網で掬い上げる。
やった、念願の鯉を釣り上げた、サイズは30cm以上だ!
こんな大物、今まで釣り上げたことがない、感動で震えが止まらない。
大はしゃぎする大人の横で、中学二年生の少年は静かに微笑みをくれ祝福してくれた。
この成果は自分だけの力ではない、師匠がいてくれたからこその成果だ。
ありがとう師匠、本当にお世話になりました。
川篭り中に獲得した食材は次のとおり。
・鯉2匹
・マブナ1匹
・ザリガニ3匹
・雷魚1匹
・亀3匹
・ヨモギ
・クローバー
・タンポポ
・キャベツ(八百屋で切れ端もらう)
・玉ねぎ(生ゴミから拾う)
腹を空かし、フラフラになった時もあったがなんとか7日間乗り越える事が出来た。
なんとかなるもんである。
川篭り生活を通し、自然の恵み、命のありがたみ、食に対する感謝の念が増したように思う。
命を戴くという事、決して感謝を忘れてはいけないのだ。
食らった命分、しっかり生きねば罰が当たる。
あらためて『合掌』ごちそうさまでした。
またひとつたくましくなった。
どこでも生きて行けるんじゃないか?
なんとかなるものだ、人生恐るるに足らず。
これからもサバイバルを極めていきたいと思う。
次は海篭りだ!
力也