たとえば、人生の選択の場面で、
たとえば、結婚するかしないか、子供を持つかどうか迷っている人に、
どちらが「いいか、悪いか」で答えることはできません。
わたしに言えるのは、
パートナーがいることで、子供がいることで、
人生に深く関わる相手が増えることで
「人生の振れ幅」が広がっていく、ということだけです。
揺れるブランコのように。
喜びと悲しみ、満足と不満、快楽と困難の間の振れ幅。
自分一人でいるときより、関わる相手が増えれば必ず、
喜びが大きくなり悲しみも深くなります。
だって、相手を深く強く愛するほどに、別離の悲しみは深く辛くなるはずですから。
ペットは、あなたを癒すだけでなく、必ずいたずらしたり面倒かけたりするはずです。
友達がいることで、楽しいだけじゃなく、
ねたみや劣等感などマイナス感情を持つこともあるはずです。
結婚する時に、「健やかなるときも、病める時も」と誓うのは、
健やかなときだけ一緒にいるということはできないからです。
結婚するのに、相手のいいとこだけ欲しい……というわけにはいきません。
優しい人は、優しさゆえに優柔不断で迷いやすく、
強い人は、強さゆえに傲慢であったりするわけです。
喜びだけを選んで得ることはできないのです。きっと。
逆に悲しみや困難だけ、ということもないでしょう。
結婚したり、子供を持ったり、ペットと暮らしたり、友達が出来たり、
関わる相手が多くなるほど、
人生の振れ幅は大きくなるのでしょう。
穏やかに過ごしたいから、
できるだけ人と関わらないようにして暮らす、というのもひとつの選択肢です。
振れ幅の少ない、喜怒哀楽の起伏の少ない穏やかな人生も、
振れ幅の大きい、ジェットコースターのような波乱万丈の人生も
それぞれに、いいと思います。
わたし自身は、
どうせブランコに乗るのなら(生まれてきたのなら)
自分の人生の振れ幅いっぱい、じっくりと味わいたいと思っています。