「裏柳生」に近い流派は実在した!youtubeで秘伝を披露!

  by 松平 俊介  Tags :  

「裏柳生」に近い「天心流」剣術

人気漫画「子連れ狼」や、隆慶一郎氏の小説「影武者徳川家康」などで登場する、江戸柳生流の一派、「裏柳生」。今年の正月時代劇「影武者徳川家康」では、内藤剛志氏が柳生宗矩を熱演したことが記憶に新しい。

実はそれに近い剣術流派が存在しており、今でも活動しているのをご存知だろうか。それが横浜に本拠を構える「天心流」剣術である。天心流公式ブログによれば、

「裏柳生」とは漫画原作者である小池一夫先生が「子連れ狼」で登場させた架空の存在です。
表柳生とは江戸柳生家の事であり、徳川の世を治める表の顔であり、裏柳生は架空の人物であります柳生烈堂を長とした公儀刺客人の集団であり、汚れ仕事を引き受けて徳川の世を支える闇の顔であり、この表裏一体が柳生家の正体という設定です。(中略)そんな裏柳生がどのように天心流兵法と関係するかという事ですが、実は天心流こそがその裏柳生なのです!

と言い出しますと、何か陰謀論やプロパガンダの香りが致しますが、そうではなく厳密には「そのようなもの」と言い伝えがあるのです。
裏柳生という名称は、小池先生の創作とされておりますし、天心流兵法でも裏柳生とは申さなかったようですが、今から半世紀以上前、石井先師は次のような言い伝えを中村師家に話されておりました。

天心流兵法は流祖時沢弥兵衛師が江戸柳生家柳生宗矩公の元で、徳川の世を蔭(陰)で支えるために編み出した流儀であり、宗矩公亡き後は宗冬公に仕えていた。
朝鮮通信使の護衛などにも関係していた。

何とも講談本にでも出てきそうな口伝です。
裏柳生を思い浮かべる事から、中村師家は「子連れ狼」が世に出て以降、わかりやすいので裏柳生みたいなものと説明しておりました。
古流武術の伝承は、それこそ歴史上の人物を祖とし、また天狗や仙人に学んだというような話も御座いますし、一つのファンタジーや虚構という可能性も拭いきれませんが、ともかく子連れ狼よりはるか以前に、そのような話がなされていた事は事実です。

というのである。

天心流は引用に出てくる時沢弥兵衛(ときざわ・やへえ)が寛永年間(1624年~1645年)に江戸柳生流の祖・柳生宗矩から剣技を学んで創設した流派である。「抜刀術、剣術を中心とし薙刀術、素槍術、十文字槍術、鎖鎌術、柔術などを伝える古武道の流派。
三日月藩、福本藩に伝わり、三日月藩では藩校・廣業館にて指導されていた。」とウィキペディアにはあり、出典として古武道研究家で直木賞候補にもなった作家・綿谷雪氏の『武芸流派大事典』が挙げられている。なお、三日月藩は「鬼武蔵」こと森長可の子孫の藩である。

天心流公式サイトでは、靖国神社で秘伝の演武の奉納を行っている動画がある。youtubeにもあがっている。靖国神社に勅使が来られた時だったので、普段とは少し違うようだが、護衛の剣らしく、下段に構えて鞘を付けたままの刀をいきなり抜いて攻撃するさまや、平伏状態から斬りかかる型などを見ることが出来る。動画は以下リンクから。

天心流兵法~壱之動画~

(画像はyoutube動画より)

企業のニュースリリースライターを足掛け4年経験。現在はライターのみならずwebディレクターやテレビ番組の企画にも関わっている。タウン誌や飲食関係の媒体の制作にも携わる。 大学時代は書家や歴史作家について修行をしていたことも。(雅号:東龍) 地域の埋もれた歴史を掘り起こしたり、街歩きをするのが好き。これまで関わってきた雑誌は「散歩の達人」「週刊SPA!」、放送局では主に関東ローカルテレビ局の企画を担当。

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