【オーダー連載・前編】サイズもデザインもないのであればオーダーしてしまえ!『オーダースーツSADA』に直撃!

  by 古川 智規  Tags :  

突然だが、記者は体がでかい。平たく言えばデブである。
会社員時代は毎日スーツを着ていたが、体がでかいと着るものに困る。決して既製品にサイズがないわけではない。その気になれば通販でも、いわゆる吊(つ)るしでも、あるにはある。しかし、いかんせんデザインや色が選択できなかったり、どこかのサイズが合わなかったりと、かなりの妥協を迫られることになる。同じことはサイズが極端に小さい人にも言えるようだ。聞いた話では、サイズが小さい人は子供用を買うこともあるようだがスーツとなるとそうもいかない。こちらも困った話だ。
これは記者のオピニオンではあるが、サイズが大きい人はファッションにこだわりや希望があったとしても、選択肢が少ないので次第に関心がなくなっていくのはないかと思う。記者の場合はそうだ。
必要であればオーダーすることを考えるのだが、今度は値段の問題が出てくる。極端に高くなると予想されるからだ。
そこで、記者が格安でスーツのオーダーを試してみたのでレポートする。女性用のスーツもオーダー可能なので、男性に限らず参考にしていただきたい。

スーツを設計!

記者が訪ねたのは株式会社佐田の『オーダースーツSADA』。全国に40店舗以上を有する。初回お試し価格19800円からという破格の値段だが、とりあえずテーマを決めて挑んでみた。
・デブでもこだわりはあるのでそこは通す
・シャツも一緒にオーダーする
・既製品にはないオリジナリティを出す
以上である。
生地は多くあり、24800円から108000円までを見せてもらった。19800円とは、最も安い24800円から初回割引5000円を適用した場合の価格である。

記者は昔からグレーのスーツが好きなので、値段を見ずに最も好きな色を選んだら34800円の生地だった。ちなみに下から3番目の29800円の生地からがウール100パ-セントとなるようだ。

今度は裏地を決める。追加料金が発生しない裏地もあるが、ここは遊び心で写真のものに。2000円プラス。
さすがにこれはと、迷いが生じなかったというとウソになるが、ダブルにする予定だったので着ている限りは見えない部分だ。見えないところこそ、こだわりを加えると自分に言い聞かせる。

様々なオプションが用意されていて、見えないところのこだわりから、機能性を重視したこだわりオプションまで、オーダースーツならではのモノがそろう。ボタンもオプションで好きなものを付けることが可能だ。
記者はオプションのボタン、型崩れせず長持ちさせるための投資としてステッチ、台場仕立てのオプションを選択した。
なおスーツそのものは、貫禄(かんろく)のダブルで、ベントはこれまた体が大きいので座った時や歩くときに動きやすいようにサイドベンツとした。サイドベンツは背面両側に切れ込みが入った形で、切れ込みが二つなのでベントの複数形でベンツとなる。中央に一つのものはシングルベント、ないものはノーベント。
名入れはこだわって、ファーストネームをフルスペルで、ファミリーネームイニシャルとしたので、記者の場合は「Tomoki.F」となる。

シャツを設計!

続いてシャツをオーダーする。生地の種類はスーツ同様に豊富で、動きやすくて柔らかい、それでいて立体感のあるものとした。

首と袖の裏地も選択できる。ここは特に汚れが目立つ部分なので、デザインと機能重視でグレーのオプションを選択した。

シャツの名入れはオプションだが、せっかくなのでスーツとおそろいで上腕の部分に入れる。

採寸は大仕事!

スーツとシャツの「設計」が終われば、採寸に取り掛かる。
体がでかいので大変だ。採寸と記録を二人がかりで行う。ここで店長さんからの注意点。「オーダーするときは普段着用しているスーツで来店していただくと仕上がりイメージも採寸もスムーズにいきます」とのこと。だらしのない格好で行った記者は反省。

人は左右対称でないのは知っていたが、腕の長さを採寸すると本当に違う。当然のことながら、こういう違いも仕上がりに反映される。店長さんいわく「腕の長さが同じ人の方が少ないですよ。ここはさほど既製品でも影響はないですが、シャツなんかですと首周りに合わせて購入されると袖が長すぎてスーツから必要以上にはみ出て困る方は多いようです。特に体の大きい方はその傾向にあるようですから、シャツもピッタリに作られた方がかっこよくなると思いますよ」

細かいサイズを確認しながら記入していくと最終的に「設計図」が出来上がる。
「仕上がり後に詰めることはできますが、出すのは大変ですので、ここは腕の見せ所です」

お仕立て上がり!

オーダーしてからピッタリ1か月後に電話があり、出来たとのこと。都合の良い日時で受け取りに行く。
これが記者のスーツとシャツ。

「問題」の裏地はこのような感じになった。特にダブルの場合はボタンを外して前を開けることはないので、着てしまえば見えない場所だけに「自己満足」のこだわりに酔いしれる瞬間だ。
見えないところのこだわりもオシャレのうちだと勝手に考えているので、ご了承いただきたい。
ただし写真では光が当たっているので真っ赤に見えるが、この裏地は玉虫色のように正面から見るとほとんど黒の赤黒い色なので大丈夫と自分で納得する。
しかし、上着だけを見ると普通のサイズの人から見ればオーバーコート。

最も驚いたのはシャツ。首の部分が詰襟のようにしっかりした硬さで、型崩れとは無縁の無敵シャツのように思えた。
袖の形もオリジナリティ重視でカットしてもらった。

全体のフォルムはこんな感じ。光源が上にあるので、上下の色が違って見えるが、もちろん同じ生地だ。
店長さんは「この時が一番緊張します。サイズがピッタリかどうか、お客様のご要望通りの仕上がりになっているかどうか(笑)」
十分すぎるくらいピッタリだった。

普段は開けることのないダブルのボタンを外すと裏地が見える。前述したが正面からだとさほど目立たない。

さて、お値段はというと。

スーツ
 上下     34800円
 初回割引   △5000円
 小計     29800円(シングルでオプションなしだとここまで)
 オプション計 14000円
 合計     49464円(税込み計算)

シャツ
 上下      7900円
 初回割引   △1000円(オプションなしだとここまで)
 大寸法     3000円
 ネーム     700円
 裏地2か所   1500円
 合計     13068円(税込み計算)

合計で62532円となった。こだわりすぎと型崩れさせず長く着用したいという考えでオプションを付けまくった結果だが、特筆しておきたいのはスーツについては体が大きくて生地が多く必要になっても追加料金は発生しないことだ。ダブルは一律で5000円必要だが、これはサイズに関係のないオプション。
いずれにせよ、設計の段階で予算に合わせてオプションを付けたり抜いたりすることは可能なので、ノーオプションお試しで19800円で作ってみると、そのクオリティーがわかるだろう。1着目を確認してから2着目以降を自分のこだわりと、わがままと、遊び心と…いっぱいぶつけてみるのがよい買い物の方法なのかもしれない。記者は最初から飛ばし過ぎか。
取材場所によってはフォーマルなスーツが必要になるので記者は十分に満足だった。ビジネスマンやキャリアウーマン、あるいは就活学生等、毎日スーツが必要な方は立場と職種を考慮した上でエレガントなセンスの見せ所となるのではないだろうか。幾分と乱暴な言い方ではあるが、社会的地位が上であればある人ほど見れば一発でわかったしまうのもビジネスの世界だ。

ところで、ここまでこだわれるのであれば、おそらく一生着ないだろうと思っていたものについて店長さんに尋ねてみた。
ということで、記者はこのスーツを受け取ったその場で次をオーダーするという「爆買い」の暴挙に出た。したがって本稿は連載としたい。次回は仕立てが上がる1か月後だ。

※写真はすべて記者撮影
取材協力 株式会社佐田

乗り物大好き。好奇心旺盛。いいことも悪いこともあるさ。どうせなら知らないことを知って、違う価値観を覗いて、上も下も右も左もそれぞれの立ち位置で一緒に見聞を広げましょう。

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