猫の偏食は人間と苦味の感じ方が違うから?

  by 松沢直樹  Tags :  

人間にとって身近な動物の一つ「猫」。
ペットとしても人気ですが、実はわからないことだらけの動物なんだそうです。

きまぐれでわがままな性格。食べ物の好き嫌いが多いことから、個人主義の象徴といわれることがあります。
でも、どうやら猫が偏食なのは、わがままを言っているわけではなさそうです。

科学雑誌「BMC Neuroscience」によると、実験の結果、猫は人間と苦味の感じ方が違うことがわかったそうです。

同誌に紹介された実験では、ペットフードの開発研究チームが、人工的に培養した人間と猫の味蕾(舌の上の味覚を感じる細胞)を用意。
様々な味覚を感じる物質を与えて、データとしてどのような反応が見られたかを記録したそうです。

その結果、人間が激しく苦味を感じるアロエの成分「アロイン」については、ほとんど反応を示さなかったとのこと。
また、人間にとっては後味が苦く感じる人工甘味料「サッカリン」についても、ほとんど苦味を感じていないことがわかりました。

とはいえ、苦味をまったく感じないわけではないようです。人間の子供が誤飲しないように混ぜる苦味成分である「デナトニウム」という薬剤については、人間より強く苦味を感じていることがわかりました。

「苦い味」や「辛い味」は、本来、異物であることを伝えるための味覚ともいわれています。
長い間、肉食動物として野生生活を送っていた猫は、自分の体に影響を与えかねないサインである苦味の感じ方が独特なのかもしれません。
もう少し研究が進むと、人間も猫も、美味しく感じる味がわかるかもしれませんね。ユニークな研究の進展に期待したいです。

※写真は、足成 http://www.ashinari.com/2014/03/08-386778.php

松沢直樹

福岡県北九州市出身。主な取材フィールドは、フード、医療、社会保障など。近著に「食費革命」「うちの職場は隠れブラックかも」(三五館)」近年は児童文学作品も上梓。連合ユニオン東京・委託労働者ユニオン執行副委員長