クラフトなハイボール缶がいまアツい理由! スモーキーさが特徴の銘柄を3本飲み比べでレビュー

  by 中山秀明  Tags :  

近年、RTD(缶チューハイなど)市場で存在感を増しているのがクラフト系のウイスキーハイボール。その最新トレンドと、個人的に注目しているカテゴリーについて、飲み比べレビューとともに紹介したいと思います。

スモーキーなウイスキーは市民権を得たといっていい!

ハイボール缶は、コンビニではローソンが最も攻めている印象で、2025年はジンカクテルを含めると計14品を販売。2026年も『嘉之助(かのすけ)』に『コンパスボックス』と、人気ウイスキーブランドの商品を販売して注目を集めています。

▲2026年4月28日に発売された『嘉之助シングルモルト ハイボール 350ml』(660円)

そして個人的に注目しているのが、スモーキーなタイプのハイボール缶。ローソンは2025年に、『ビックピートハイボール』、『三郎丸蒸留所のスモーキハイボール スパニッシュオークフィニッシュ 350ml』、『カバラン ピート ウイスキーハイボール』を発売しており、「イイ時代になったな~」と思ったものです。あ、もちろんワタクシ、ケムいの好きです。

なぜなら、スモーキーフレーバーはある種のクセなので好みがわかれますし、一般論として飲みやすい要素ではないんです。しかしウイスキーブームによりコアなファンが増え、全体的に飲み手の舌も肥えていったのでしょう。

そして、あのローソンが全国展開するまでの状況になったのだと思います。以前筆者が参加した同社発表会では「近年、『せっかく飲むなら美味しいものを選びたい』と『味』を重視される方がいらっしゃる」と分析してました。

▲2026年5月26日に発売された『コンパスボックス オーチャードハウス ハイボール 350ml』618円

この分析は高付加価値のRTDに対する見解ですが、スモーキーフレーバーに関してはパクチーの定着みたいな感じですかね。市民権を得たといっていいでしょう。

で、今回はその中から、上記で軽く触れた『三郎丸蒸留所』のハイボール缶にフォーカスしたいと思います。なぜかというと、同所のウイスキーは基本的にスモーキーであり、ハイボール缶のバリエ―ションも豊富だから。

▲酒販店ほか、東京でも『日本橋とやま館』などのアンテナショップへ行けば、珍しいボトルがあることも

簡単に『三郎丸蒸留所』にも触れておきましょう。メーカーは、富山県砺波市三郎丸の老舗・若鶴酒造。日本酒の蔵元である同社がウイスキー製造を始めたのは1952(昭和27)年で、『サンシャインウイスキー』が有名です。

その後、2017年に『三郎丸蒸留所』として生まれ変わりました。特徴は、砺波市に隣接する高岡市の伝統工芸品・高岡銅器の梵鐘をヒントに生まれた、世界初の鋳造製ポットスチル(蒸留器)『ZEMON(ゼモン)』で蒸留すること。

▲『ZEMON』を使った、初期のニューポット(熟成前の原酒)商品『三郎丸蒸留所 ニューポット 2020 ヘビリーピーテッド 52PPM』

銅と錫の合金でできた『ZEMON』の酒質は個性にあふれ、しかも『三郎丸蒸留所(若鶴酒造)』は長年スモーキーフレーバーを持ち味としてきたつくり手です。ということで、同社のハイボール缶をテイスティングしていきましょう。

定番、シェリー、スーパースモーキーの3本をレビュー

まずは定番『三郎丸蒸留所のスモーキーハイボール』(参考価格361円)から。今回紹介する3本の中で、これ以外は限定品となります。味の特徴は、ひと口目からわかりやすいスモーキーなアロマが印象的。

とはいえ、スコッチのアイラモルトほどぷんぷんに香る野性的な強さではなく、まろやかなモルトのコクと相まって円熟味すら感じるおいしさです。ビターな柑橘の香りや、ほのかな甘みもあってバランスも良好。余韻はなかなかシャープで、爽快感もナイスです。

次は前述、ローソン限定で発売された『三郎丸蒸留所のスモーキハイボール スパニッシュオークフィニッシュ 350ml』(462円)。シェリー酒を熟成させた、スパニッシュオーク樽で後熟(追熟)したウイスキーが決め手です。

おお、これもシェリーの甘いニュアンスがわかりやすくてイイぞ。しっとり枯れたような、でもしっかりした樽香が主張し、持ち前のスモーキー香と調和。赤いドライフルーツを思わせる深い果実味があり、ボディも豊かですが多彩な要素がケンカせずまとまった、スムースなおいしさです。

最後はスモーキーな個性をさらに高めた『三郎丸蒸留所のスーパースモーキーハイボール』(参考価格462円)。2025年の12月に数量限定品で全国発売され、その強さをわかりやすく『フェノール値』という数値で伝えると80ppm。通常版が50ppmなので、これだけ見るとなかなかピーティーです。

そして、飲んでみると確かに通常版よりスモーキー。ただ、やはりアイラモルトほど強烈ではなく、しかしこれがむしろ独自というか、三郎丸らしさをよく表現していると感じました。その個性は力強くもまろやかで、和食にも合うようなしなやかさ。

もちろん、普通のウイスキーに比べたら全然スモーキーかつワイルドですし、タフなモルトのうまみ、乾いた森のニュアンス、どっしりすっきりとした爽快感もイイ感じ。通常版が、ひと回り大人になったような、飲みごたえのある一本です。

▲缶がお気に召したら、ぜひボトルの三郎丸でも。高級品ですがオススメは、シングルモルトシリーズです

今回紹介した缶ハイボール、それぞれアルコール度数が9%となかなか高めですが、だからこそ味わいもボディもしっかりしていて飲みごたえは十分。通常版なら入手しやすいはずなので、ハイボールが好きな人はぜひお試しを。

(執筆者: 中山秀明)

中山秀明

ライター、編集者、フードアナリスト。食関連の専門家として、メディアで解説することもたまにあります。グルメからのつながりで、酒、旅、調理家電、タバコなどを取材、執筆することも。