[筆者コラージュ作成]
2025年7月3日公示、7月20日投開票の参議院議員選挙。猛暑の中、各党が擁立した候補が文字通り熱戦を闘っている。
主に経済政策や社会保障を問う演説が目立つ中、6月22日に米国のトランプ政権がイラン核施設の3ヶ所「フォルドゥ」「ナタンズ」「イスファハン」を狙い撃ちした中東情勢の緊迫化を受け、日本の防衛費を巡る議論が参議院選挙にも飛び火している。「北大西洋機構(NATO)」でさえトランプ氏の要請を受けて「国内総生産(GDP)」に占める防衛費の割合を5%に引き上げる新目標に合意した。日本では今のところ2%に据え置きとしているが、かつてのイラク戦争に負けず劣らない世界大戦の瀬戸際にある安全保障環境の最中、防衛力の増強をすべきか?いかに考え、気分で変わるトランプ政権との外交もいかなる戦略を立てていくのか?注視していく必要がある。
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<リード>
【1】日本の安全保障政策で「台風の目」となるか?注目の伊勢崎賢治候補
【2】参議院選2025 ネット党首討論会「安全保障」ディベート
【3】アメリカに言われてやる話ではなく継戦能力上の自衛隊待遇向上を
【4】外交努力や対話を密にしていく体制作りに汗をかく
【5】防衛力強化はサイバー・電磁波・宇宙など新領域にも広げるべき
【6】他国をミサイル攻撃したら反撃される切り捨てられる沖縄諸島発令「全島避難せよ」
【7】国内の防衛産業の育成やスタートアップは極めて重要
【8】現状の「日米地位協定」では「拒否権」がなくアメリカの暴走に歯止めがかけられない
【9】デジタルサイバー戦争の時代 「新しい戦闘方法」を考えて国産の兵器で賄う
【10】進む軍事要塞化で犠牲になる南西諸島住民と九州
【11】日本に向けて撃とうとするミサイルを叩くのは「防衛」
【12】いかに日米同盟を機能させるか?議論抜きに日本のみの政治判断を下さない
【13】「異能」と呼ぶべき最高の指導者と賛辞を贈る山本太郎氏の「参謀役」
<結び>
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【1】日本の安全保障政策で「台風の目」となるか?注目の「れいわ」伊勢崎賢治候補
数いる候補者の中、そんな「安全保障政策」に専門性を持ち私たち有権者がそれぞれ一票を投じて国会の中に送り込むことができたら?この人なら日本の「国防」と「仲介平和外交」を躍進させてくれるのではないか?と期待を込めて現状の日本の安全保障の舌戦を聞いてきた。その「台風の目」となる候補とは…
[筆者撮影]
東京外国語大学の伊勢崎賢治 名誉教授だ。
―伊勢崎氏は「日米地位協定」を改定することに大変な意識を持たれていると思うが、「立憲民主党」や「日本共産党」も改定に言及している。なぜ「れいわ新選組」から出馬したのか?
「ウクライナ戦争」で各政党がロシア絶対悪視を体制翼賛化してしまった。その中で唯一、れいわだけが翼賛化しなかった。第三者の立場であれば中立的立場で接せられる。戦っている相手に肩入れするのはヨーロッパの常だが、超大国は全部悪魔だと思った方がいい。そんな中で自民党内で立ち上がった人がいた。それは石破茂氏と中谷元氏だ。僕と3人で宿舎に篭って声明文を作った。「停戦」させなきゃいけないと。党として「翼賛化しない」。「絶対、停戦」と言ったのは「れいわ新選組」だけだった。僕の山本太郎「れいわ新選組」共同代表という人物に対する信頼はそこで生まれた。
伊勢崎候補は「実務家」で「学者」だと称してこられたが、様々な顔を併せ持っている。国際NGOや国連でアジア・アフリカの紛争解決・武装解除に取り組み「武装解除人」との異名を持つ。同時にジャズ・トランペッターとしても2010年にプロデビューした後、約15年のキャリアを積んできた。
2001年内戦中のシエラレオネに国連PKO要員として赴いた先で内戦終結のため民兵の武装解除の責任を負った時にジャズと出会った。現場から寄宿舎に帰還して部下のアイルランド人が聴いていた「CannonballのSomethin’ ELSE」に触れ自らの感性に刺さった。
トランペットを手にしたのは「米国同時多発テロ事件(9.11)」後の2003年アフガニスタンでのこと。米国の軍事占領の中でアフガン軍閥の武装解除の責任を負うことになり、今度こそ死ぬかも、と買って持って行ったのが始まりだったという。
伊勢崎氏はMCに「戦争と平和」をテーマにしたゲストとの対談を都度挟みながら自身のトランペットとコラボするライブハウスでのセッションをこなす。クリスマスにも「戦争の話をしよう」という題目で平和を希求する音楽によるメッセージを奏でるほどの筋金入りだ。
伊勢崎氏はインド留学中にスラム居住権、環境改善の市民運動に従事。国際NGO「Plan International」や「難民を助ける会(AAR Japan)」にも籍を置き、シエラレオナ、ケニア、エチオピアにおいて計10年間、開発援助を指揮する。その後、国連PKOに籍を置き、国連東ティモール暫定統治機構で県知事、国連シエラレオネ派遣団で「武装解除・動員解除・社会再統合(DDR)」統括部長を務め、アフガニスタン武装解除日本政府特別顧問を歴任してきた。
「もう評論家のように戦場を渡り歩いている場合ではないというバッググラウンドで僕はあえて政治の世界へ出馬する決意をしました」と伊勢崎候補は言う。
非戦ではなく、戦いを避ける方の「避戦」を目指す。戦争は突然始まることは絶対にあり得ません。突発的な小さな衝突だけ。それを政治家は検定する。緊張が高まり、国民の間でも限界と恐怖がある。するとある種の政治家が古今東西共通して必ず現れます。敵の本当の姿よりも煽り自分の票に利用する。そんな時にはすでに敵と交渉するなんて「弱腰だ」とか、「舐められる」というフレーズをよく聞く。こういう空気が社会を支配していく。現在の日本、そしてヨーロッパ、アメリカで起きているこの現象。「同調圧力」によるもの。その行き着く先が「安全保障のジレンマ」です。誰でも戦争は避けたい。名目上、戦争は抑止したいと誰でも言うんです。そう言っているうちに敵の方に風が吹く。敵も軍事的圧力を増強しているらしい。そんな名目の「軍拡」が逆に「全面戦争」を招いてしまう末期的な状況のことを言うんです。日本はすでにこの「安全保障のジレンマ」にどっぷり浸かり始めている。
これだけ「財源」を連呼するだけで防衛費はあのNATOでさえ「聖域」扱いしている。これが同調圧力だ。でもこの空気になっても怯まない。あえて戦争のある所に出向き交渉する。そんな恐怖に打ち勝つことが国を守る指導者に必要な勇気だと僕は考えます。
30度を超える猛暑日の中、舌戦は勿論、街頭演説には持ち前のジャズトランペッターのプロとしての計らいなのか、バンド演奏もBGMに従えた伊勢崎候補の演説に映えていた。
ー戦争を始めるのは容易いが、戦争を終わらせるのは難しい。一案として「本物の『国際世論』の力を与える新たな『秩序観』を人類が作ることだ。また「10.7と呼称されるガザ危機を終焉に向かわせるための「『停戦』と『終戦』は明確に違う」と伊勢崎候補は以前、講演会で指摘された。その上で伊勢崎候補はその先の「国際社会からの復興支援の『受け皿』となるガザの行政機構をいかに構築するか?についても日本には『平和外交』の確かな実績がある」と明示された。それはフィリピン政府と同国南部ミンダナオ島の反政府武装勢力モロ・イスラム解放戦線(MILF)が、2016年にイスラム系住民らによる新たな自治政府設立を目指す和平工作を『国際開発機構(JICA)』故・緒方貞子理事長が先頭に立って主導した事例だと。
こうした戦争が終わってからの仲介平和外交の任務を日本は担えるという一例が実際にあることから、現在の中東情勢でも可能だと思える日本の役割をいかに考えるのか?
まずは各党首の討論に一旦引き取って耳を傾け方向性を掴んだ上で、投票の判断材料にしてみたい。
【2】参議院選2025 ネット党首討論会「安全保障」ディベート
[©︎参院選2025 ネット党首討論 主催ニコニコ]
7月6日の晩、ニコニコ主催の「参議院選挙2025 党首討論」が開かれた。
数ある党首討論会の中で「安全保障」をテーマにしたものは決して多くはない。各党首の戦争と平和を巡るディベートを見ていくことで、有権者の投票判断の指標としたい。
ー防衛力の強化は必要か?
[©︎参院選2025 ネット党首討論 主催ニコニコ]
日本は周辺国の軍事的脅威の増大や国際情勢の変化に対応するため2023年から5年間で約43兆円を投じた防衛力の抜本的強化を進めている。政府は最終年度となる2027年度の防衛費と関連する諸経費と併せてGDP2%を調達する予算措置を講じたいとしているが、財源についての議論はまだ続いている。また、先日NATOが加盟国の防衛費をGDPの5%に引き上げることで合意した。米国は日本に対してもNATOと同じ5%に引き上げる必要があると指摘している。各党のご意見を伺いたい。
【3】アメリカに言われてやる話ではなく継戦能力上の自衛隊待遇向上を
[©︎参院選2025 ネット党首討論 主催ニコニコ]
◆立憲民主党 野田佳彦 党首
「私は防衛力の整備というのは必要だと思っています。東アジアの安全保障環境の状況はとても厳しいと思いますし、ロシアが力による現状変更、ウクライナで色々ありましたけど、西側でチャレンジしたことは東側でもやる可能性は十分あると思っています。中国も残念ながら台湾有事を起こす可能性がある。尖閣も心配である。北朝鮮も核開発、ミサイル開発をしてますので必要な「専守防衛」に適した防衛力の整備というのは私は必要だと思います。」と合意した上で野田氏は「ただ、アメリカから言われてやる話ではなく、独立国家として自分たちが必要な分を整えていくことだと思いますが、間違ってもトマホークをかつて爆買いしたようなことはやるべきではないと思う。」と釘を刺した。結語に「むしろ継戦能力という枠組みでは装備を整えても弾薬が足りなければ意味がない。やはり自衛隊の待遇を向上させて武器を扱う人の方を充足する適切な防衛力の整備が必要でしょう」と述べた。
【4】外交努力や対話を密にしていく体制作りに汗をかく
[©︎参院選2025 ネット党首討論 主催ニコニコ]
◆公明党 斉藤鉄夫 党首
「防衛力の整備はまず、予算という数字ありきではなくて必要な防衛力がどういうものなのか?積み上げていくことが大切だと思います。私は防衛省ではなく国土交通省の大臣を3年間やりましたけど、海上保安庁の最高責任者です。まさに尖閣まで領海侵犯などいつ(有事が)起こるかという本当に緊迫の日々でした。そういう意味では今、非常に厳しい安全保障環境にあることは実感しています。その上で必要な防衛力をきちっと整備していかなければならない。その時に大切なのはやはり同時に外交努力や対話を密にしていく体制作りに努力していくことだと思います」
【5】防衛力強化はサイバー・電磁波・宇宙など新領域にも広げるべき
[©︎参院選2025 ネット党首討論 主催ニコニコ]
◆日本維新の会 吉村洋文 党首
「防衛力の強化は必要です。併せて憲法9条の改正も必要です。日本と価値観が違う国―中国、ロシア、北朝鮮がもう隣にある。中国は軍事費が日本の4倍から5倍。ロシアはウクライナに侵略し、北朝鮮は核を持っています。これが現実です。日本の防衛に関する危機感が無さすぎる。非常に大きな問題だと思います。防衛力強化において陸海空はもちろんですけれども、サイバー、電磁波、宇宙。この新しい領域にも当然、広げていかなければなりません。それからA.I.、無人機、新しい兵器。さらには『スパイ防止法』やるべきことが本当にたくさんある」と斬新な視点で吉村氏は提起した上で「自衛隊の方々と話をすると、本質は自衛隊の人手不足だと聞いている。自衛隊の待遇の改善や自衛隊員になると『日本を守ることは崇高な業務なんだ』という共通認識にしていく必要がある」と述べた。
【6】他国をミサイル攻撃したら反撃される切り捨てられる沖縄諸島発令「全島避難せよ」
[©︎参院選2025 ネット党首討論 主催ニコニコ]
◆共産党 田村智子 党首
「外国を攻撃するミサイルを大量に配備しようとしている。これは防衛力なんでしょうか?こういう『軍事』対『軍事』、『ミサイル』対『ミサイル』ということをやっていて、どうしてその先に平和というものが見えてくるのか?私は最も現実的な『安全保障』は、やはり争いごとを絶対に戦争はしないための『外交』。これしかないと思う。ミサイルをズラーっと配備しても北朝鮮の核開発をやめさせることができるのか?それからのミサイル配備というのはアメリカから要求されて『米中の覇権争い』がもとで。では中国と本当に関係断絶のような敵対関係になっていったら日本の経済はどういう風になるのか?」と疑問を呈した田村氏は「外国を攻撃するミサイルを撃って攻撃したら反撃されます。だから沖縄の諸島では『全島避難せよ』という発令に晒されている。そんな住民は『一体どこで暮らせばいいのか?どこで生業をやっていけばいいのか?あまりにも非現実だ』という声が起こってきている。ミサイルがなきゃ外交できないというのは外交の敗北だと私は思います」と結んだ。
【7】国内の防衛産業の育成やスタートアップは極めて重要
[©︎参院選2025 ネット党首討論 主催ニコニコ]
◆国民民主党 玉木雄一郎 党首
「『国民民主党』は『自分の国は自分で守る』ことを一つの大きな原則にしています。
その意味では防衛力の強化、防衛費の拡充は賛成ですが、ただその予算を使って税金使ってアメリカから完成品を買うだけでは本当の意味で自衛力は高まらないということで、国内の防衛産業の育成、スタートアップも含めて極めて重要だと思う。『アクティブ・サイバー・ディフェンス』の法案は我が党も一年前に提案して今年、発効で成立しましたが、人材育成が追いついていない。たとえばアメリカの『(*注釈)ハッカソン』で上位を占めるのは北朝鮮の大学生なんですよ。日本にはいないから人材育成をしっかりやるのが大事だと思う」と玉木氏は提起する。その上で「併せて『スパイ防止法』。あるいは『外国人土地取得規制法』の強化もやらなければならない。またエネルギーの自給率を高めるという意味では国内の原発の新増設も行って他国に過度に、特に化石燃料を依存しない改正をすることが極めて重要だと思います」と強調した。
(*注釈)「ハッカソン」…エンジニアやデザイナーなどのIT人材が集まり短期間で集中的に開発を行い、その成果を競うイベント。
【8】現状の「日米地位協定」では「拒否権」がなくアメリカの暴走に歯止めがかけられない
[©︎参院選2025 ネット党首討論 主催ニコニコ]
◆れいわ新選組 山本太郎 党首
「43兆円の軍拡に加えてアメリカからローンで武器、買わしてもらおうなんて、60兆円規模の軍拡ですよね。防衛力の強化ってなっていったらこれ、『国連憲章』の『敵国条項』で日本、やられますよって。死文化してませんから。それを考えれば一番、強化されなければならないのは当然、『外交』になります。特に外交の中で近隣諸国とそれぞれ協議ができる。そういう体制を作らなければならない。これはエネルギーとか勿論軍事だったり、いろんなもののテーマについて、それぞれの当事者が集まって話し合うような協議体を作っていく。まずは外交をやらなければならない」と山本氏は提起した上で「今、アメリカとの『地位協定』の中には『拒否権』というものが含まれていない。つまり、日本国内の米軍基地からどこか他国に攻撃するということを日本は今のままでは拒否できないはずです。こういったものをちゃんとビルトインしていかないと、アメリカが暴走した時に逆に日本がやられることになる」とトランプ政権を見据えた問題意識を呈した。
【9】デジタルサイバー戦争の時代 「新しい戦闘方法」を考えて国産の兵器で賄う
[©︎参院選2025 ネット党首討論 主催ニコニコ]
◆参政党 神谷宗幣 党首
「日本の国防は在日米軍なしでは考えられない状況です。長い時間がかかったとしても見直していく必要がある。トランプ大統領は「自分の国は自分で守れ」と仰るでしょうから、であれば段階的に在日米軍に引いてもらう。それから『日米地位協定』を見直す。そういったことをまず、話をして日本で自衛隊を『国防軍』にするのか?『自衛軍』にするのか?という形の中で軍事費を増強するならいいけれども、今の状況で軍事費だけ上げても高い武器とかミサイルを買わされるだけで終わるんじゃないかという懸念がある。もし予算をかけられるんだったら、デジタルのサイバー戦争が始まっていますからデジタル分野に投資すること。『スパイ防止法』もその意味で必要でしょう。これからの戦いはA.I.とかドローンになるでしょうから、日本のプロゲーマーを集めてドローン部隊を創って、人を乗せずに世界一のドローン部隊で戦うなどの『新しい戦闘方法』を考えて『専守防衛』でやっていくような体制を国産の武器とか兵器で賄っていく」と神谷氏は提言した。
【10】進む軍事要塞化で犠牲になる南西諸島住民と九州
[©︎参院選2025 ネット党首討論 主催ニコニコ]
◆社民党 福島瑞穂 党首
「防衛予算が5年間で43兆円。GDP5%と31兆円です。日本の国民の生活が壊れるような軍拡になっています。これが積み上げ方式ではなくてアメリカから「武器、買え、買え」言われ、貿易赤字を解消するためにやっていることも大問題だと思います。また、『専守防衛』ですら、もう無くなっている。『敵基地攻撃能力』保有を持ち、安保三文書の閣議決定で、まさに戦争のできる国から戦争する国へ大きくシフトしている。
沖縄南西諸島における自衛隊配備、ミサイル計画九州。全部回ってきました。
与那国、石垣、宮古、馬毛島、屋久島、種子島、九州全域。全部回りました。どこも全国、軍事要塞化が本当に進んでいます。深刻な問題で、南西諸島の人たちだけ12万人、『全てを捨てて安全な九州に避難せよ』と言われたと。九州、安全ですか?長距離ミサイルの設置が決まっている。なぜ全てを捨てて自分の島から避難しなくてはならないのか?
避難計画は『絵に描いた餅』だけど、餅も酷すぎる。やるべきは戦争の準備でも対抗でもなく、『平和外交』で平和を創っていくことだと思います」
【11】日本に向けて撃とうとするミサイルを叩くのは「防衛」
[©︎参院選2025 ネット党首討論 主催ニコニコ]
◆日本保守党 百田尚樹 党首
「軍事・安全保障のための軍隊。当たり前の話で議論する余地がない。特に今の日本は、
中国との関係です。ものすごい勢いで軍事力を増してます。異常です。そして彼の国は『日本を獲る』と断言してます。そういう状況だからやむなく軍事力を上げないと仕方がないと。例えば『専守防衛』に関しては『敵基地攻撃能力』を非難すると言いますが、例えば日本に向けてミサイルを撃とうとしている。そのミサイルを叩くと、これは明らかに『防衛』ですよね。一方、『外交』で戦争を回避できるといろんな人が言います。しかしながらウクライナはロシア等の外交で侵略を回避できません。できていないですよね?ウクライナは軍備を大幅に縮小して核を放棄した。その結果がウクライナが今ある現状で、現実なんです。」
と、やや与党寄りの発言を展開した。
【12】いかに日米同盟を機能させるか?議論抜きに日本のみの政治判断を下さない
[©︎参院選2025 ネット党首討論 主催ニコニコ]
◆自由民主党 石破茂 首相
「防衛力は日本の判断で強化をしなければなりません。戦後最も厳しい安全保障環境であることを忘れていませんか?そういう時に防衛力を強化しないでどうするんですか?もっときちんと現実を見なければなりませんが、日本の判断で決めますが、『日米同盟がいかに有効に機能するか?』アメリカに言われる通り爆買いするなんて考えてません。しかし何を持つことが最も日米同盟を機能させることに繋がるのか?ということの議論なくして『日本の判断で全部やります』ということにはなりません。法律そして予算、装備、条約、運用。この全ての面において日々充実化させていくのは当たり前のことで、そういう現実的な認識なしに国政を司どることは考えては絶対になりません。それはいかにして国民を守るか?国民の生命、財産、そして国の独立。それを守るために全力を尽くさせて頂くのが政府の責任です。」と野党党首の議論を受けて最後に石破首相が討論を締め括った。
こうして比較してみると、各党の安全保障政策は千差万別で違いが見事に分かれている。
その中でも特筆すべきは筆者が「台風の目」として注目している伊勢崎候補の外交政策委員という『参謀』としての力量だ。れいわ新選組の山本太郎代表の発言を聞いていると、時折り、伊勢崎候補が話しているかのような印象を受ける。ここでも「日米地位協定」に関する山本党首からの議論があった。
【13】「異能」と呼ぶべき最高の指導者と賛辞を贈る山本太郎氏の「参謀役」
[筆者撮影]
それ以前の伊勢崎候補のインタビューでは次のような件がある。
「『地位協定』を『互恵的』に考える。僕が石破茂氏とずっと一緒に考えてきたことで『必ず改定したい』と本人も言っている。改定まではいっていないかもしれないが、問題の所在を一番分かっている人。だけれど日米地位協定の『互恵性』を首相として防衛大臣として言えるか?と問われれば、無理でしょうね。『自民党』いうものに問題がある。一度それを壊さなければならない。
それを僕は野党として思う存分ケンカしたい。同時に日本と米国の関係を根本的に変える。これをすぐに着手すればできると思う。
赤坂で2週間おきに開催されている『日米合同会議』。これに予告なしに首相が参加して出席すればいい。そこで宣言すればいいことです。相手側は皆、司令官。今日より『日米合同会議』は他の国のように『民対民』、『軍人』は米国。民主主義は代表しない、させない。米国はそう思っているのだから、他の国がそうしているわけだから。「軍人」が米国を代表できるのは『占領期』だけである。
アフガニスタンやイラクでも近年起こりましたよね?国が独立したら最高司令官は米国代表では無くなる。明日から軍人じゃない人を代表にすること。『日米地位協定を米国の国際標準・互恵性にする』そこで一言宣言すれば全て変わる。」と力強く提言した。
[筆者撮影]
伊勢崎候補が「れいわ新選組」から出馬した動機として、「様々な政治家に出会ってきたが、『指導者』としてあれだけ有能な人間をあまり見たことがない。直感的に僕は『現場』の人間だったからそれなりの時間をかけて経験を積んできて『カッコ良さ』みたいなものは築いてきた。でも彼は現場に行かなくても短期間でそれが分かる。それを表現する。僕がいうと学者だから言っていることが難しい。彼は一瞬で本質を見抜いて一般に分かるように表現できる。世界の中でも出会ったことのない『異能』だと言える」と山本党首にラブコールを贈った伏線があった。
結び
また18年間、(自衛隊の幹部候補生を育てる)「統合幕僚学校」でも教えてきた伊勢崎候補には強い思い入れがある。
「自衛隊の教え子たちを誰一人として殺させたくない。18年も教えると全ての自衛隊員が我が子のように思えてくる。もちろん、国民一人一人の生命は大切だ。でも何かあったら真っ先に危険が及ぶのは自衛隊だ。自衛隊員の命を守ることは国民を守ることに繋がる。間違った政治判断で自衛隊員の命を犠牲にしたくない」という思いは誰にも引けを取らないと自負する。
「紛争・平和構築」のプロフェッショナルが国会に送り込まれたら、「実務家」としての本領を発揮して厳しい日本の安全保障環境を揺るがすキーマンになってくれるのではないだろうか。私たち有権者の一人一人が投じる一票にこの国の行末が掛かっている。

