一日の疲れを癒してくれる気の合う仲間との宴会。
大人の欠かせない楽しみの1つだ。
「とりあえずビール」。確認は省かれ、席に着くなり、まずは注文が入る。
はい、ビール来ましたよ~さあ乾杯~!!
誰しもが経験しているであろう、この流れ。まずはビールで乾杯し、その後、おのおの好みのお酒(日本酒や焼酎など)に移る方も多いのでは。
このように、乾杯=ビール の図式は非常に強固かつマジョリティで支持を得るものなのだが、これに「まった」を掛けるものが出てきた。
焼酎や清酒を生産する各地で、「乾杯はビール以外で行おうじゃないか」と地域振興を目的に「乾杯条例」を制定する事例が次々に出現しているのだ。
乾杯に日本の心を~日本酒で乾杯♪
清酒での乾杯を奨励するのが京都府京都市や佐賀県鹿島市。それぞれ2012~2013年にかけて、清酒の普及に関する条例を制定。また、兵庫県西宮市でも条例の制定の動きがあり、酒処である地域では関心が高い事例のようだ。
行政のみならず各界著名人などを集めた民間団体「日本酒で乾杯推進協議会」なるものも存在し、各方面からのプッシュも手厚い。
かつて筆者が読んだある小説の登場人物(主人公が恋する通好みの中年男性)は、飲み屋での乾杯は必ず日本酒。そして、締めが「ビール」という、一般通念的に真逆のチョイスだった。
なんでも、好きなお酒をはじめから楽しみ、最後はビールを選んで「口のなかをさっぱりさせて」終わるんだとか。もっぱら乾杯はビール派の筆者だが、「そういう飲み方もありかもしれない・・・」と思わせた。ちなみに思っただけで実践には至っていない。
飲み方は千差万別!~焼酎で乾杯♪
焼酎での乾杯を推進するのは鹿児島県いちき串木野市。2013年6月、「本格焼酎による乾杯を推進する条例」を市議会に提出。焼酎での乾杯条例は全国初という。
焼酎の魅力はなんといっても自由な割り方。ロック、水割り、お湯割りをはじめ、梅干しやレモンを入れてもよし、炭酸で割ったりウーロン茶で割ったりと、ビール・日本酒にはけしてできない個々の自由度は半端ない。割り方も薄め、濃いめとそれぞれに合わせて調整可能。
アルコールに弱い人やちょっと飲みすぎているな、という人がいれば、できるだけ薄く、あるいはお代わりと称して水を足しただけのものを差し出す。筆者の住む地域では、「酒」といえば「焼酎」を指す産地。人を見て焼酎の濃さを調整する技も習得し、宴席ではグラスの空きを見計らってお代わりづくりに励むが、その調整技次第では宴席を裏から牛耳ることも可能・・・だといつもふと思う。
結局選ぶのは?
乾杯は宴席の始まりの合図。
乾杯までの手筈はよりスピーディーであることが理想。グラスの中身が統一されていれば席に並ぶのも早いし、参加者のシンパシィもより高まる気もする。
「まずは」のあとになにを選ぶのか。やはりビール優勢は変わりないだろうが、飲む場所や、メンバーによって、たまにはビール以外の選択肢を選んでみても楽しいかもしれない。