気持ちは18!!体は80!?-林健一(ケンケン)バースデーライブ2024レポート

  by プレヤード  Tags :  

今年の夏は暑かった。
どこへ出かけるのも億劫になりがちだったが、日曜日の夜だけは違った。
毎週日曜の夜は、新宿ゴールデン街のスナック「夜間飛行」に通っていたからだ。
夜間飛行は、何人かのスタッフが日替わりでカウンターに入っているのだが、日曜に入っているのが林健一さん、通称ケンケンさんなのだ。
そこで繰り広げられる歌謡談義や、古いドラマの話、ときにはケンケンさんの生歌などが楽しく、ついつい長居をしてしまう。
私にとって、とても居心地のいい酒場だ。

そのケンケンさんの、バースデーライブ「KEN2 63th BIRTHDAY LIVE~気持ちは18!!!体は80!!!!!!」が、開催された。
今までケンケンさんは、年齢非公表だったのだが、今回のライブのタイトルで公表してしまったことになる。
とはいえ、タイトルにもある通り、ケンケンさんの気持ちはまだ18歳。その熱い思いを持って臨んだライブだった。

開場時間の16時前、会場となる早稲田のライブハウスRiNenに到着すると、すでに会場の前には「夜間飛行」の常連さんが集まっていた。
中には遠方からやってきた人の姿も見える。ケンケンさんを思う気持ちに距離は関係ないのだろう。

開場して席を確保すると、観客同士で挨拶や雑談が始まる。このつながりもすべて、ケンケンさんが作り上げたもの。ライブの楽しみはこの段階から始まっているのだ。
いつも会っている人や久しぶりの人、それぞれの場所や年齢を飛び越えて話が弾む、そしてみんな、ケンケンさんの歌声を待っていることは共通している。

そうこうするうちに、定刻の16時30分、まずは、今回伴奏を担当する菊池麻由さんが登場。キーボードに向かって、曲を弾き始める。
ほどなくして、全身黒でスケスケ、ラメの入ったの衣装に身を包んだケンケンさんが登場。自己紹介ソングを歌い始める。

この曲は、今年の6月に開催された、ケンケンさん、Hirokiさん、迷い道くね子さん、菊池麻由さんの合同ライブで、アーティストのHirokiさんが作った曲。ケンケンさんもお気に入りだったようで、今回のオープニング曲となったわけだ。

こうして始まった本編、お誕生日ライブということで、曲は都はるみの「バースデー」へとつながる。
歌い終わったところで、ケンケンさんが「63歳になりました」と挨拶。
会場からは祝福の大きな拍手が湧き上がる。

続いて、ステージ上の椅子に座って、石川さゆりの「転がる石」を歌い上げる。
情念いっぱいに歌う姿を見て、ケンケンさんのルーツは演劇であったことをあらためて思い出す。

今回のライブ、第1部では「メジャーな歌手のマイナーな曲」というのをテーマに選曲したとのこと。確かにあまり有名ではないが、心に染み入るいい曲ばかりだ。

続く、ちあきなおみの「仕事仲間」。
ちあきなおみは、ケンケンさんにとって特別な存在だ。夜間飛行でも、そのあふれんばかりの愛をたびたび聞いてきた。
その愛をありったけ込めて、個人的な思い出を語りながら、叙情たっぷりに歌い上げた。

その後、映画「居酒屋兆治」の主題歌でもある、高倉健の「時代遅れの酒場」。
聴いていて、映画のワンシーンが蘇ってくる。
居酒屋とスナック、タイプは違えど、夜間飛行にも夜な夜なさまざまなお客がやってくる。そんな共通点を思いながら、しみじみ聞いた。

そして、美輪明宏の「ヨイトマケの歌」。ケンケンさんは、セリフや身振りを交えながら情熱的に歌う。
紅白でも歌われた有名な曲だが、一家を支えるために、母親が力仕事をするという姿をリアルに知っているのは、ケンケンさん世代が最後なのかもしれない。ケンケンさんの歌声からは、そんな世界を後世に残していきたいというような意気込みも感じた。

1部の最後は、赤い鳥の「翼をください」。「ちょっとだけ、歌声喫茶『ともしび』になりましょう」と言って歌い始める。そこは、もちろんケンケンさんのお客さん、ノリもよく、会場は大きな歌声に包まれる。
「この大空に翼を広げ飛んで行きたいよ」。まるで、この瞬間のまま空に飛び上がり、大空を駆け巡りたいとでもいうように、全員の歌声が会場に響き渡った。

ここで、第1部は終了。休憩に入る。
休憩時間も会場はにぎやかだ。言ってみれば、ここに来ている人はみんな家族のような存在なのだ。私もビールをおかわりし、飲み始めたところで第2部が始まった。

ケンケンさんは、髪を結び、袖なしのシャツに着替えて登場。

第2部は、ケンケンさんのオリジナルソングを中心に構成したとのこと。いずれも名曲揃いなので、楽しみだ。
2部の最初は、「60にして耳従わず」。まさに、今のケンケンさんを表したような曲。そう、誰にも従う必要なんてない。自分がやりたい方へ進んでいけばいいのだ。

続いては、町あかりさんによる楽曲「ねぇ閑古鳥」。コロナで、スナック夜間飛行が営業できなかったときに作られた曲だ。
そして、アーティストの石上嵩大さんの作による「やってくれないホテル」をしみじみと聴かせる。

その後、ケンケンサンの自作曲で、ド演歌である「狂い咲き」。途中で、小芝居や、ちあきのおみの「夜へ急ぐ人」のセリフ「おいでおいで」を入れて会場を沸かせる。

ここで、麻由さんの感想を。「一年、よく生きました」。これは、ステージにいる人も、客席にいる人も同じだ。
一年一年を末永く続けて、私たちもバースデーライブに通いたいと思う。

そして、アップデンポの「行ったり来たりカンツォーネ」と、じっくり歌い上げる「あんば人生」。いずれも、ミュージシャンのソワレさんが、ケンケンさんのために書き下ろした曲だ。ケンケンさんは、床に座り込んで歌い、ラストでは、両手を広げ天を仰ぎ見る。

2部ラストは永六輔の「生きるものの歌」。曲の途中で、「64回目の誕生日もみなさんとお会いしたいと思います」と挨拶。歌い終えたケンケンさんは、客席に何度も頭を下げて、ステージを下りる。

もちろん、会場はアンコールに包まれる。
そして、再び登場して歌い出したのは、水前寺清子の「ありがとう」。会場から、「ちゃんちゃん」という合いの手が入る。

この曲は、今から50年以上前に放送されていた、水前寺清子が主演のドラマ主題歌。最近では再放送もされて、一部の界隈で話題になっている。ケンケンさんは、今日のライブへの感謝も込めて歌う。

そして最後は、ケンケンさんの代名詞とも言える曲「やった!やった!サンバ」で、締めくくり。
ここでも、会場はひとつになり、みんなで「やったやったやった」とコールをしながら楽しんだ。
まさに、ケンケンさんでなければ作り出せなかった空間であろう。

それにしても、ケンケンさんの若さと情熱はどこから来るのだろう。
ライブを見終わって、「心は18」というタイトルにも納得がいった。いくつになっても、新たなことも挑戦をしていくケンケンさんの姿勢は、見習いたいと思った。

こうして、2024年のケンケンさんバースデーライブは幕を閉じた。
終了後は、ケンケンさんも客席にやってきて、お客さんひとりひとりと挨拶をする。お客さん同士も、また来年ここで会うことを約束して家路につく。
もはや、これはひとつの夏の風物詩になりつつあるのではないだろうか。
夏の終わりにケンケンさんの歌を聴き、エネルギーを蓄える。そうして、日々を乗り越えていくのだ。

残すところ、今年もあと3ヶ月ちょっと。
みんな頑張っていこう。
ケンケンさんの元気に負けないくらいに。

※画像はライブのチラシより

アイドル&美少女系ライター。 アイドルファン歴ももう30年。新旧問わずアイドルの魅力や素晴らしさを伝えていければと思っています。 モットーは「生涯一アイドルヲタ」「人生で大切なことはアイドルから学んだ」。 夢は、世の中の「アイドル」と呼ばれる人たち全てが幸せになることです。

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