オードリー春日のペンギン虐待疑惑だけではなかった 日テレの動物虐待疑惑を振り返る

  by 田中周作  Tags :  

オードリー春日俊彰が、24日放送の『スッキリ』(日本テレビ系)のロケ中、“那須どうぶつ王国”のペンギンがいる池に故意に転落。「動物虐待ではないか」という声も聞こえる中、日本テレビで起きた同じような事例を調べてみた。

2012年8月、『ZIP!』で人気の看板犬でZIPPEI(じっぺい)兄弟を含む7頭が、車内での熱中症により死亡。飼い主はエアコンをかけた状態で車を離れ、1時間から1時間半程度して車に戻ってくるとエアコンは止まっていたという。そもそも、このサモエド犬という犬種が暑さに弱いことや、またZIPPEI兄弟が声帯除去手術を受けて声が出せない状態にあったこともあいまって、虐待死だと批判を浴びた。

『I LOVE みんなの動物園』(現在は『嗚呼!!みんなの動物園』)では、とあるペットショップの飼育環境に疑問の声が寄せられた。ピンク色の羽が可愛い大型オウム“モモイロインコ”が、止まり木から金属製のチェーンでつながれ、行動を著しく制限されていたのだ。そこでインコは体を必死に前かがみにさせながら、床にあるエサを食べていた。

さらにこのショップでは店員が、スナネコをペットとして飼育できるようにしたいと話していたことにも疑問が寄せられた。見た目の可愛さから「砂漠の天使」とも呼ばれるスナネコ。野生ネコで最も小さい種の1つで、ペットとしての飼育には適していないのだ。

これらは、飼い主の不注意による不慮の事故、また取材した側の飼育への考え方として日テレの責任問題に直接結びつかないかもしれないが、同局はバラエティの検証で動物を使うこともある。今年1月放送の特番『クイズ!できる?できない?』(日本テレビ系)では、無重力状態になった小型ジェットの中にセキセイインコやメダカを放ち、「無重力でどうなるか」という実験を行った。

だが生まれてこのかたインコは無重力という状態を経験したことがなかったため、上手く跳ぶことができずに回転を繰り返し、メダカも当然泳ぐことはできなかった。これに愛鳥家などから苦情が寄せられたという。

ひるがえって、冒頭の“那須どうぶつ王国”での出来事だ。春日の現場で水に入る演出は、あらかじめ想定されていたのだろうか。『スッキリ』ホームページによると、「動物がいない池に入る可能性があることは事前に打合せしておりましたが、本番ではペンギンのいる池に入ってしまう放送となりました」とある。ペンギンのエサやりがメインのロケのために来て、「動物がいない池に入る」という流れがよく分からないが、いずれにしても、番組と“どうぶつ王国”があらかじめ共有していた情報が食い違っていたことだけは分かる。

そして現場の行動は、スタジオにいる加藤とロケ現場にいた春日にフリーハンドで任されていたのか考察してみよう。同行していた日テレ・伊藤遼アナは、春日が落水した際も「春日さん!」というだけでとがめることはなく、また付き添っていた飼育員が入ってくる様子もない。つまり、ここで実質的にロケを主導していたのは春日であり、またそれをスタジオで見ていた加藤だけだったということになる。アナウンサーや飼育員、さらには現場のディレクターはなぜ、その時制止しなかったのかという疑問が出て来るが、ロケを中止させることの代償も頭をよぎったのかもしれない。

また当時、「足元気をつけろ!」「落ちるなよ!」と振り、それを「お約束」と判断して水に入った春日が悪い、という見方だけでよいのかという点だ。えてしてこうした場合、“元凶”を探したがるものだが、春日が水に入らず池のふちでエサやりしていた場合、スタジオで見ている加藤浩次が何を思うのか、また『水曜日のダウンタウン』でもおなじみ、どんな指示でも従う従順マシン・春日が、スタジオの声を聞いたらどう動くのかなど、悪いほうへ作用、誘発するポイントはいくつもあった。責任を一元化する難しさを教えてくれる。

ライター。