連続テレビ小説『舞いあがれ!』。次週からはヒロイン・舞(福原遥)が航空学校に入る新展開が待っている。今後も魅力的なキャストが次々と登場することになるが、その中で注目されているのが、クワバタオハラ・くわばたりえだ。
同作で貴司(赤楚衛二)の母親・雪乃を演じている、くわばた。夫・勝(山口智充)とともに、お好み焼き店“うめづ”を切り盛りしている。その立ち居振る舞いは、まさに“大阪のオカン”。カラッとした明るさで、常に周囲を元気にしている。
その実に自然な演技には好感が持てる。例えば第35話、会社を辞め、行方をくらましていた貴司が、久しぶりに帰って来るシーン。息子の姿を見た雪乃は、厨房から歩きだしていって「このドアホ! どんだけ心配した思てんねや!」とゲンコツを食らわす。だが、その目には涙が。「こんなことなる前に、なんで、なんか言うてこうへんかったん、あんた!」「みんな心配して!」と、やるせない想いをぶつける。
だが一方、33話で、めぐみはこんな素顔も垣間見せる。貴司を追って久留美(山下美月)とともに五島にやってきた舞から、彼の無事を告げられた時、雪乃は電話口で舞に「舞ちゃん、ホンマおおきにな」と謝意を告げる。
さらに気がはやるのか、「あの、どれぐらいで帰ってくるって言うてる?」と聞く。「気持ちの整理がついたらって言うてた」という答えに、「そっか……はよ帰っておいでって伝えてくれる? ほなな、久留美ちゃんにもよろしゅう言うといてな」と、安堵したような嬉しいような絶妙な表情で語っているのが印象的だった。
夫役の山口は同作で朝ドラ5作目のすっかり常連。だが、くわばたは初の朝ドラであるばかりか、それまでも演技経験はほとんどない。
それでも世界観にすっかりなじんでいるのは、くわばたが素のままに演技している点にあるだろう。さらに、多少のクドさが、勝とともに劇中の「大阪らしさ」を醸しだしている。また、隣の浩太(高橋克典)、めぐみ(永作博美)とは対照的に、勝・雪乃の夫婦は芸人だけでこちらは固めたのも狙い定めたキャスティングだったのだろう。
今後、雪乃が同作でどのくらい出て来るのか分からないが、女優くわばたりえも非常に楽しみだ。