タブレット戦国時代に巻き込まれた新参者

  by 赤いからす  Tags :  

 

年末が近づいて安価なタブレットの販売が激化してきている。

11月13日に発売されるはずだった「Nexus 10」の販売が延期され、「Kindle Paperwhite」の入荷予定もAmazonのサイトを見ると来年に遅延され、こういった情報を耳にするとますます欲しくなるものである。

筆者はタブレット新参者で、選ぶ基準は以下のとおり。

 

1.片手で持って操作できること

2.ゲームはそれほどやらないのでアプリの豊富さは気にしないが、ある程度長い文章を書くアプリがあればよい。

3.You Tubeやニコ生などの動画は見れるのか

4.WI-FIで接続できること

 

3週間前、札幌の大型電気量販店に電話して「Nexus7」の在庫があるか聞くと、「店で予約しても3週間待ちです」と言われた。

電話をしてから3日後、たまたま家電量販店の近くに行く予定があって立ち寄ってみた。

この時点で、タブレットを買うならアップルの「ipad mini」のwi-fiモデルしか選択肢はなかった。

店の中に入ると、まずappleのコーナーがある。

「ipad mini」を見に行って店員さんに質問してみた。

「You Tubeやニコ生などの動画は見れますか?」と聞くと、困ったような顔をされた。説明を聞くとPCのようにストレスなく見れる環境ではないらしい。

実際に触ってみると質感は良く、ちょっと重い下敷きのような感覚の308gで、画面の大きさは7.9インチ。片手で持つというわけにはいかず、手のひらには収まらない。こうなると10インチの購入は除外しないといけない。タブレットを裸で使うと傷がつくので、カバーは買うつもりだった。なので、タブレット本体の質感はあまり参考にしなかった。しかしながら、サクサク感はさすがで流れるようにネットは見れる。

とりあえず一旦保留して他のコーナーを周ることにした。

Windows7のPCが底落ちしていて4万円台のノートPCなどが並び、悩みの種が増える。

ところが、キャッシャーの手前で「Nexus7」の16Gと32Gを売っていた。電話をしたとき「16Gは販売中止になっています」と聞かされていたのに、である。

店員に尋ねると、お客様ラッキーですね、というニュアンス付きで「たまたま昨日入荷したんです。16Gの方は在庫がほとんどありません」とも言われた。

手に取ってみると「Nexus7」はサイズも重さも本を持つような感覚。しかも片手で持てる。重さは340gで画面は7インチ。

値段は「ipad mini」が28,800円で「Nexus7」の16Gが19,800円。

事前にネットで調べた知識を思考すると、「ipad mini」は初心者用で、すでに中身は遊園地のようにいろいろなアプリなどのソフト面が充実し、「Nexus7」はハード面が備えてあるので自分でカスタマイズして勝手に遊んで、という代物らしい。ちなみに「ipad mini」のRAMが512MBで安い「Nexus7」の方が1GBである。

どっちも捨てがたいし、結局悩んでその日に購入するのは自重した。

人間選ぶものが増えると決断できないというのは本当らしい。

さらにネットで下調べした。

二つのタブレットのレビューをチェックすると、すこぶる期待度の高いのは「ipad
mini」の方だった。

筆者には幼い頃苦い経験がある。

まだテレビの録画機能がビデオテープのとき、VHSとβ(ベータ)の2種類の規格に分かれていた。我が家ではSANYO製βを購入した。隣が電気屋さんでSANYOの製品を扱っていたためである。その後、レンタルビデオ業界をはじめ、あっという間にVHSがシェアを支配し、βは廃れてしまった。VHSが勝利した原因に挙げられるのは販売戦略とビデオデッキの部品が少なく低価格で売り出せたこと。

アメリカの市場調査会社(米IDC)によると今年7~9月までの世界のスマートフォンのOS別シェアは、「Nexus7」のAndroidが75%で、「ipad mini」の iOSが15%弱である。

しかし、TVのニュースや情報番組で取り上げられるのはいつもアップル製品で、行列ができてカウントダウンしながら開店を待つ場面をよく目にする。

これは日本のメディアの扱い方が特別なのだろうか?

そして、悩んだ挙げ句買ったのは「Nexus7」の16Gで、もし売れ残ってなければ「ipad
mini」のwi-fiモデルを買っていたかもしれない。

タブレット新参者にはスペックにそれほど違いは感じられず、「ipad mini」にアクセサリーを付け足して買うと、安いノートPCが買える。アップルは特に次々新しい製品を出してくるので、「ipad mini」にRetinaディスプレイを搭載したものが出るんじゃないかという先走りすぎる憶測が流れるくらいである。

「Nexus」も99ドル(約8,000円)でスペックも「Nexus7」とそれほどそん色ないモデルを発売するというニュースを台湾メディアが報じたが、「Nexus7」の製造元のASUSは否定している。

もう、訳がわからない。

とりあえず、「Nexus7」との生活は充実している。使っていたノートPCの出番が減りつつある。

もし「Nexus7」が保証期間内で壊れたら、次はアップル製品じゃないと満足できないかもしれない。

それにしても、この7インチタブレット戦国時代に日本の製品の影の薄さは寂しい限りである。

 

 

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