2019年3月に日清食品から発売された完全栄養食パスタの「All-in PASTA(オールインパスタ)」。一日に必要な栄養量の3分の1を配合しているため、雑な言い方をすれば毎食これを食べているだけでも十分な栄養を摂取できるという画期的なインスタントパスタとして注目を集めました。
そして8月末からはAll-inシリーズの第2弾として「All-in NOODLES(オールインヌードル)」を発売開始。つまり完全栄養食カップラーメンです。これはすごい!
完全栄養食カップラーメン「All-in NOODLES」
発売されたのは「卵黄だれとラー油をきかせたコク旨油そば」「パクチー香るトムヤムまぜそば」「ごま香る濃厚担々まぜそば」の3種類と、ヌードルだけの袋タイプの合計4種類。
袋タイプはとりあえず置いておくとして、スープと具材がセットになった3種はいずれもまぜそばタイプ。ジャンクフードの代表格であるカップ焼きそばやカップ油そばのような食べ物なのに完全栄養食というギャップが本当に信じられません。
どのくらい栄養が配合されているのかというと、パッケージのグラフを見れば一目瞭然。「卵黄だれとラー油をきかせたコク旨油そば」のグラフを見ると、一食に必要とされる栄養値の基準線をいずれの項目も上回りつつ、エネルギーや糖質などの抑えたい栄養素はしっかり抑えています。
脂質も多めなのは気になりますが、それ以上にタンパク質が豊富に含まれているのがすごい。サラダチキンを一人前食べたりプロテインドリンクを飲んだりするよりもタンパク質を摂取できます。まさに夢のようなカップラーメンなのですが、果たして美味しく食べられるものなのでしょうか……?
今回はこの「All-in NOODLES」3種類を、カップ麺などのアレンジの研究家としても活動している私ノジーマが実食レビューさせていただきます。
実食レビュー「卵黄だれとラー油をきかせたコク旨油そば」
というわけで最も完全栄養食というイメージからかけ離れている「卵黄だれとラー油をきかせたコク旨油そば」から食べてみることに。フタを開けると麺、かやく、液体だれ、卵黄だれが入っていました。
麺は二重で包装されています。この麺だけでも購入可能なので、自分好みの味のラーメンにしたり、つけ麺にしたりと、自由に中華麺料理を作れます。
まずは麺を開封してカップに入れますが、麺からはなかなか独特のニオイが漂ってきました。例えるなら新築一軒家の和室の畳のようなニオイです。見た目は全粒粉麺っぽくて美味しそうなのですが、どうしてもニオイの主張が強めですね。
気になったので乾燥したままの麺もかじってみましたが、結構な硬さなのでチキンラーメンのようにポリポリと食べることはできませんでした。しかも後味に薬っぽい苦味が残りますし、正直なところあまり美味しくありません。(まあそもそも乾燥した状態で食べるものではありませんが……)
一方かやくは一般的なカップラーメンで使われてそうなものがそのまま入っていました。安心感がありますね。ここに熱湯を注いで6分待ちます。
6分後に湯切りをしたら、続いては麺と一緒に梱包されていた「ほぐしオイル」を麺にかけて全体になじませます。
「ほぐしオイル」にもビタミンなどの栄養素が含まれているようで、香りはガーリックオイル風。湯切りをしてからオイルを混ぜたら麺の独特の香りはほとんど感じられなくなり、ようやく食べ物っぽくなってきました。
そこに液体だれと卵黄だれを混ぜ、これにて「卵黄だれとラー油をきかせたコク旨油そば」の完成!
完全栄養食というくらいなのでもっと野菜などの具がたくさん入っているのかと思いきや、見た目はほぼ麺のみ。U.F.O.やペヤングの方が具だくさんです。すべての栄養素を麺とオイルに配合しているから野菜などいらないという強い意志が感じられますね。
肝心の味ですが、麺の食感よりも何よりもタレの酸っぱさが気になりました。カウンター越しに提供された油そばに卓上の酢を入れようとしたらフタが外れてドバッと入っちゃったくらいに酸っぱい。
そして酸っぱさが特に際立っていますが、ベースとなるタレの味も濃厚。ウマいけどめちゃくちゃジャンクな味です。これが完全栄養食だなんて、食べてみても信じられません。
数々の人気カップ麺を生み出し続けている天下の日清食品が理由もなくこんな味付けにするはずがない。一体どうしてなのでしょうか……。
麺の方は食感がかなり独特で、麺を“すする”というよりも“食べる”感覚。油そばにはツルツルした食感の麺が使われていることが多いですが、モサモサした食感なので油そばとは別のものを食べているような気分になります。好みは人それぞれだと思いますが、味だけで考えたら一般的なカップ油そばの方が勝っているといえますね。
実食レビュー「パクチー香るトムヤムまぜそば」
続いて「パクチー香るトムヤムまぜそば」を実食。カップの中に「All-in NOODLES」の袋タイプと、かやくや液体タレが入っているのは同じです。
やっぱりかやくは少なめで、なんと小ぶりなエビが7尾だけしか入っていませんでした。「ふりかけ」の小袋に刻みパクチーなどが入っていましたが、さすがにこれはちょっと寂しい……。
味の方はやはりトムヤム系の酸味がかなり強く、辛さは控えめですがタレ自体はかなり濃厚です。
麺はもちろん同じものを使っているのですが「この味付けには絶対中華麺」という先入観がない分違和感なく食べられました。アジア旅行に行って現地の屋台で注文したトムヤムまぜそばとしてこれが出てきたら「現地ではこんな麺を使ってるんだなあ」とすんなり納得できる感じ。
ただ、麺とタレの相性はいいと思うのですが、具が少ないのはやっぱり寂しい。濃厚なタレの味を麺だけで受け止める感じになってしまいますし、食感も単調になります。栄養は麺に含まれてるといっても、美味しさを考えるとプラスアルファがほしくなりますね。
実食レビュー「ごま香る濃厚担々まぜそば」
最後は「ごま香る濃厚担々まぜそば」をいただきます。ここまでの2品はどちらにも「味が濃いなあ~」という印象を抱いたのに、商品名に“濃厚”と入っているのはヤバイ。どれだけ濃い味になるんだろうか。
味が濃厚になる分かやくが増量されていればいいのですが、開封してみると中からゴロゴロ出てきたのはなんとカップヌードルでおなじみの謎肉。完全栄養食に謎肉が投入される時代が来るとは……。
そして見るからに濃厚な液体たれを入れ、しっかり混ぜてからスパイスを入れて完成。言うまでもなく味が濃いです。本当に体にいい食べ物なのか、これは……。
しかし味はとびっきりジャンクでウマい! 商品名には“ごま香る”と入っていますが、ごまの香りなんて自ら吹き飛ばすくらいに濃厚な担々味で辛さも強め。麺の食感も気にならないくらいに濃厚な味でぶっちぎれるような味です。かなり好みは分かれそうですが……。
総評とおいしく食べるアレンジ方法
3品食べてみて感じたのは、すべてに共通して味が濃厚で、その中でも酸味が際立っているということ。きっとこれは麺自体がかなりクセのある味になっていたので、酸味を強くしながら味を濃厚にすることで麺の味をごまかしているのでしょう。袋麺タイプのものを買って、薄味で何かを作るともしかしたら痛い目にあってしまうかもしれません……。
なので「All-in NOODLES」を美味しく食べるのなら、元の濃厚な味を活かしつつ足りない部分を補うのが吉。具が少ないことで濃厚な味をダイレクトに受け止めなければならなくなっているので、食感だけをプラスできるものをトッピングすればバランスがよくなるのではないかと思います。例えばごま、天かす、フライドオニオン、刻みネギ、温泉たまごなど、そのあたりを入れれば元の味を活かしつつアップデートできるはず。
食事制限している人や職場で毎日カップ麺の人におすすめ
「All-in NOODLES」は販売価格が600円と高額(麺だけでも400円)。カップラーメン感覚では手を出せない金額です。それでいてなかなか癖のある味をしているので、効率よく栄養を摂取したいと思っている人以外にはあまりメリットがないかもしれません。
しかし僕も経験がありますが、本気でダイエット中している最中はジャンクな味の食べ物なんてなかなか食べることができません。ガチの糖質制限をしながらでも食べることが許されるラーメンだと思えば、こんなにありがたいものはないでしょう。
職場でいつもカップラーメンばかり食べていて栄養不足が心配だという人が週に1~2回くらいこれを食べたり、ダイエットを本気で頑張っている人がジャンクなものを食べたくなってしまったときに食べるものとしては非常に有用なのではないかなと感じました。
購入は日清食品オンラインストアから
2019年9月現在「All-in NOODLE」は日清食品オンラインストアなどネット販売のみの展開となっていて、スーパーやコンビニなどでは購入することができません。興味のある方はぜひ日清食品オンラインストアからお買い求めください。
日清食品グループ オンラインストア
https://www.allinseries.jp/noodles/ [リンク]