近年、ネットの普及によって、誰でも作品を発表することができるようになった。多くのクリエイターが生まれる一方で、「作品を書いてみたいが、まずどこから始めたらいいのかわからない」という人も多いのではないだろうか。
文章の書き方を学ぶのも一つの手だが、それだけではリアリティが足りなかったり、映像が目に浮かんでこなかったりという課題はクリアできない。
そんな時は、作品の“場面”を想像してみることをお勧めする。それによって、物語のベースができ、キャラクターが動き出してくるからだ。
そのような作業を行う時、強い味方になってくれる本が登場した。『現代日本の場面設定辞典』である。
この本では、「伝統文化にまつわる場面」「飲食店にまつわる場面」「オタクにまつわる場面」など、300以上ものシチュエーションを設定し、そこで「見えるもの」「聞こえる音」「感じる感覚」などが掲載されている。
物語を想定し、書いてみたいシチュエーションが決まったら、そのページを開き、書かれている項目を見てみよう。「あっ、こんな視点もあった」と思うこともあるだろうし、ピンとくるものがあれば、そこから話を広げていくとよいだろう。各項目には、設定時のヒントや、想定される登場人物も書かれているので、大いに参考になる。
同様の本は他にも見られるが、「現代」の「日本」に特化した点が面白い。今まで普通に経験した場面で、気付かなかった感覚をあらためて確認するのに最適だ。
実際に書くまで至らなくても、漠然と何かを書いてみたいと思ったら、この本をパラパラとめくってみて欲しい。
気になるシチュエーションがあったら、そのページを読んで、イマジネーションの翼を広げてみるのもいいだろう。
この一冊が、きっとあなたの強い味方になってくれるはずだ。
■『現代日本の場面設定辞典』
著者:株式会社ライブ 編
出版社: カンゼン
価 格:2,916円(税込)
http://www.kanzen.jp/book/b409068.html
※画像は、出版側より許可を得て掲載。