【動画あり】脳波で作曲した楽曲とはどんなもの?『NO-ON』で試してみた@「MUTEK.JP 2018」

  by 古川 智規  Tags :  

日本科学未来館(東京都江東区青海)で開催された「MUTEK.JP 2018」というデジタル・アートとエレクトロニック・ミュージックのフェスティバルを取材した。
多くの先端技術を駆使した展示がある中で、株式会社コネルが出展していた脳波で作曲を行うインタラクティブアート「NO-ON」を取り上げる。作曲された楽曲の詳細は動画をご覧いただきたい。

薄暗い部屋に入ると、中央にこれまたスクリーンを備えた箱があり、この中に被験者たる「作曲者」が座る椅子がある。

椅子に座ったら作曲の準備開始だ。
十数枚の静止画をスクロールしてインスピレーションでいいと思った画像を選択して技術者に伝える。その間に耳たぶとおでこに脳波を測定するセンサーを取り付けて準備は完了。
選択した静止画に基づく動画が流れ、あらかじめ用意された楽曲がスピーカーから流れる。
左右には自分の脳波をビジュアル化した映像が同時に映し出され、それらを見聞きしながら刻々と変化する脳波に基づいて作曲されていく。

映像と音楽で当然のことながら脳波は変化するものと思われるが、それをリアルタイムでフィードバックして楽曲に取り込むことにより理論上は永遠に作曲し続けられることになる。今回は体験なので約3分間の動画付きの音楽が出来上がった。
では測定の模様と出来上がった動画をまとめてごらんいただこう。

■脳波で作曲?「NO-ON」体験レポート
https://youtu.be/QhlfZeUjx0I

現状では商用ベースにのせるというよりも、エンターテイメントに特化した実験的な要素が強い。しかしヒトの脳波は環境や感情によって変化するので同一人物がまったく違う環境で作曲した場合の違いや、元となる楽曲に取り入れる楽曲の研究に利用したりと、作曲という意味合いと、これそのものが楽器という意味合いにもなり、まったく違う研究に基づいた最先端技術同士の融合により新たなコンテンツやサービスが生み出されることに期待が高まる。
社会的な意義については今後の研究が待たれるが、例えば自分が収録した動画や好きな楽器を指定して完全オリジナルな楽曲ができれば、自分が著作権を持つ自分しか持ちえない音楽が簡単に手に入ることになるので、インターネット等でコンテンツを配信する個人には朗報と言えるのではないだろうか。

※写真および動画はすべて記者撮影・収録

乗り物大好き。好奇心旺盛。いいことも悪いこともあるさ。どうせなら知らないことを知って、違う価値観を覗いて、上も下も右も左もそれぞれの立ち位置で一緒に見聞を広げましょう。

Twitter: jj6tje

Facebook: jj6tje