11月11日発売のSIMフリー端末「Mode1 RS」(以下、モデルナンバーであるMD-03Pという)をレビューするために、販売元のピーアップを取材した。同時に9月25日に発売が開始されているガラケー型のSIMフリーハイブリッド端末「Mode1 RETRO」(以下、モデルナンバーであるMD-02Pという)についても話を聞いた。
同社はモータースポーツに力を入れており、同機らもモータースポーツに重きを置いたスタイルになっている。カーボン調のデザインはその最たるものだろう。
開発者に話を聞いたところ、モータースポーツに重きを置いていることはもちろん、良し悪しは置いておいて2年間の使用に耐えるモデルを開発したかったと話す。
また、スペックは平均的なもので恥ずかしくない程度のものを作りたかったとも開発の経緯を話してくれた。(写真は右から古いモデル)
同社では本物のカーボン繊維を使用した裏ぶたを受注生産する予定だという。写真はそのプロトタイプ。企業秘密っぽいが無理を言って撮影させてもらった。
壁紙や着信音等は自由にカスタマイズができるので、同社からダウンロードできる若干マニアックな「音」を含めて、モータースポーツが好きな人に手に取ってほしいとは同社広報の話。
しかし、そんな甘い希望だけでレビューする記者ではない。SIMフリー端末はどこにでもあるので、海外使用で試してみようと外国に持ち出してレビューすることにした。海外での使用に耐えられることができれば、今やLTEの時代なので国内での使用には特に不安はないと判断することができよう。
フィリピンでプリペイドSIMを使ってモバイルルーターを仕立てる
さて日本国内では数多く売られているSIMフリー端末だが、SIMフリーということは外国でそのまま使えるという意味でもある。国内で使用できるのは当然のスペックなので本稿では外国で実際にどのように使用できるのか等について実証してきたのでレポートしたい。
やってきたのはフィリピンのセブ。空港で大手キャリア2社が無料でプリペイドSIMを配っている。
もっとも、チャージ(フィリピンではロードという)もその場でするのでお金はかかるがSIMそのものは無料だ。とはいえ特に制限があるSIMではなく、市中で売られているものと同じだ。つまり電話番号はもちろん、通話も可能であるし日本に持って帰っても国際ローミングで使用することは可能だ。
500ペソ(日本円で1000円強)もロードすれば、15日間は無制限(英語でアンリミテッドという)でインターネットをすることができる。ただし、1日あたり1GB程度の制限はあるが、制限に達するとSMSがきて50ペソ程度を追加するとさらに1GBの容量が追加される。
GLOBEとSMARTという2社がSIMを配っているが、記者はサービスエリアに定評があるGLOBEにした。SIMカードはトライカットで、すべてのSIMタイプに対応する。空港の税関を出たところにあるカウンターで係員が手際よくSIMカードをセッティングしてくれる。日本語表示のままでも手慣れたものであっという間に使用できる状態になった。
写真は使用できる状態になったMode1 RS。キャリアにはGLOBEが表示され、4G表示もされているのでLTEで使用できる状態になっている。
ネットは多くのプロモーションがあるが、アンリミテッドにしておけば旅行者には便利なテザリングが使用できる。PCやタブレット端末、またはSIMロックを解除していない日本のキャリアの端末は本機を経由してLTEでネット接続ができる。日本のキャリアのようにテザリングを使用したからといって別に料金をふんだくられることはない。
要するに本機でモバイルルーターが1つ手に入ったのと同じ状態になる。
さて、変な端末であるMD-02PもAndroid 7.0を搭載する端末なので、見た目にはガラケーだが中身はスマホそのものだ。では、SIMを入れ替えてみよう。
MD-03PはマイクロSIMだが、MD-02Pはもう一回り小さいナノSIMだ。しかし、トライカットSIMなのでマイクロSIMからナノSIMサイズを切り出せば出来上がりだ。
逆は元あったマイクロSIMの空いた部分に差し込めばOKだが、MD-03Pにはアダプターも付属しているのでそちらを使う手もある。写真はMD-03Pから取り出したマイクロSIM。
切り出したナノSIMをMD-02Pに差し込む。
写真右側は切り取られた「側」だけのマイクロSIM。
電源を入れるとすぐにGLOBEからSMSが届き、残りの容量とプリペイド残額が通知される。
ちなみにMD-02Pでもテザリングは可能だ。Android7.0の端末だから当然といえば当然だが、形がガラケーなので変な感じだ。設定に限らずキーでもタッチパネルでもどちらでも操作可能だ。
フィリピンではLTEで接続できることはわかった。もっとも周波数が合わない国では3Gや2GもしくはGSMでの接続となるだろうが、使えることには変わりない。もちろん電話による通話も問題がなかった。
ゲームはできるのか?
さて、海外でスマホとして使用できることはわかった。では、スペック的にゲームをしたい場合はどうなのだろうか?
こちらはポケモンGOで試してみた。海外でしか捕まえることができないポケモンがあることから海外でも起動する機会が多いだろう。また、決して動きが軽いゲームではないので使えるかどうかを含めて試してみた。
MD-03Pはコントラストの強い濃い色でゲーム画面が出た。一方、MD-02Pは一般的に見る色具合で画面が出た。ガラケー型のMD-02Pは中身は普通のスマホなので当然のことながらGPSは使用できるので問題はない。
ただしMD-02Pは、ガラケー型の二つ折りを閉じることによりタスクキラーの役目も果たしてるので、閉じてしまえばすべてのタスクが落ちる。つまりゲームは終了するということだ。この点についてはバッテリーの消費を抑えるためにタスクキラーをハード的に備えた代わりに、継続しておきたいタスクも落ちてしまうというトレードオフの関係にある。どちらがいいのかは使用する人のスタイルによるだろうが、一般論としてはたたんでポケットに入れておく限りは使用しないし、電話として使用することが多いガラケー型ではバッテリーの持ちを優先させる設計は、利用者のことを考えた誠に日本人的な親切なものと言えるだろう。
記者はメーカーにセットで販売すれば需要はあると思うと進言しておいた。また、次期開発の際には海外での使用を見据えてデュアルSIMにしてほしいと希望を伝えた。
いずれも魅力のあるSIMフリー端末でコストパフォーマンスは高い。ビジネスマンには2台持ちでガラケー型をビジネス電話用に、スマホをプライベート用にしてしまえば、ガラケー型で電話をしながらスマホで予定表を見る等の技も使えるのではないだろうか。デザインが同じなので(一部発売していないカラーはある)、統一感もある。店舗で手に取って使用感を試してみてはいかがだろうか。
追記:その後メーカーからの連絡で、記者が進言していたセット販売が開始された。15%の割引も実施しているとのことなので、興味のある読者の方はご覧いただきたい。
※参考
Mode1 RS × Mode1 RETRO セット
https://www.amazon.co.jp/dp/B0788CDN2Z [リンク]
※写真はすべて記者撮影