働き方改革が叫ばれる昨今。「ホワイト企業」「ブラック企業」なる言葉が数年前に世に浸透したかと思えば、「ワークライフバランス」「プレミアムフライデー」「リモートワーク」など、働き方をめぐる新しい用語も聞こえてきた。政府も企業も社員も、みんな探しているのだ。“よき会社のあり方”を、そして“良い働き方”を。なかなか辿りつけそうにない正解を追い求めて、今まさに日本中が変革の時を迎えている。
週休3日だ残業上限だ、と誰もが“労働時間”を指標に働き方を考える中で、筆者はこの議論を新たな視点でとらえることを提案したい。
「働く上で、お昼ご飯ってめっちゃ大事じゃない? 大事ですよね? 大事だよ?」
「ワークライフバランス大事だけど、ワークランチバランスも大事だよ?」
これである。
健康の基本三要素の一つに数えられる「食事」にあたるオフィスでのお昼ご飯を抜きにして、“働き方改革”は語れないのである。
そこで今回、各企業で日夜働かれている12業種・約20社の社員の方々に、社食メニューの価格について伺い、独自にまとめるという、誰も損も得もしない統計を取ることを断行した。事情により業界名での記載が限界だが、どうかご勘弁いただきたい。
ライス圧倒的価格格差の現実
まず食の基本、小ライスの値段から検証してみた。すると港区の大手商社Aや青色の大手銀行Bでは小ライス50円なのに対し、官公庁系のCや千代田区の大手ITコンサルDでは小ライス100円らしいのである。倍だ。
圧倒的安定供給がなされている米の価格にもこれだけ格差があるとは、どうやら社食の世界は奥が深いようだ。
ちなみに回答が得られた企業の社食の小ライス平均価格は71円であった。
ワークランチバランス圧倒的首位は千代田区の大手海運会社E
では次に、我々が提唱する“ワークランチバランス”の王者を発表したい。
それは千代田区の大手海運会社Eだ。なんと、カレーライスは210円、定食は300円程度だという。いずれも平均より200円近く安い結果になった。その上ウワサされる平均年収は約1000万というのだから嫉妬の嵐が止まらない。“ワークランチバランス”の王者どころか、現代社会のオアシスである。
圧倒的高価格社食の港区の大手広告代理店F
日替わり定食の価格は400~600円が相場であり、平均494円であった。頭一つ出ていたのが港区の大手広告代理店F。日替わり定食が780円だそうだ。高い、高いぞ。
カレーライスの価格も聞いてみたが、平均365円に対して大手広告代理店Fは500円という回答が。まーたもや高い。
それでも座れないほど混んでいるそうなので、よっぽど美味しいのだろう。きっと有機野菜だ。国産だ。食べてみたい。
名物社食で個性が光る
冒頭に登場した港区の大手商社Aは栄養系大学に通う女子大生が考案したメニューが名物だそう。女子大生が考えてくれるランチ、なんて贅沢なんだ。しかも栄養満点だ。それが500円で食べれるそう。ずるい、ずるすぎる……。
ラーメンが名物の港区の大手広告代理店G、ローストビーフ丼が社食で楽しめる中央区の大手百貨店Hなど多岐にわたる中で、ひときわ目を引いたのが中央区の大手商社I。なんと目の前でお寿司を握ってもらえるそうだ。一体いくらするのか想像もつかないが、それはもはや社食ではない、とだけコメントさせていただきたい。
その一方で、名物なんてない、という回答が多く見られたのはとても残念だった。多様性の時代、社食も個性的にやっていきたいものだ。
画像:『足成』より引用
執筆=メリーモリー