私自身は、四日市高校から名古屋大学に進学した。ここ中京地区では、東京は遠いので京都大学をめざす子が多い。自分も現役の頃は、京都大学に行きたかった。しかし、学力がともなわない。
ところで、その「学力」とは何を指すのだろう。もちろん、テストの結果だ。ただ、1970年代は、今ほど模試や通信添削などが普及していなかった。センター試験も共通一次試験もなかった。校内テストだけで志望校を手探りしていた。
アメリカから帰国して、英検1級や通訳ガイドの国家試験に合格してから、名古屋の大規模予備校、塾で英語講師として勤務を始めた時に疑問を持った。塾生たちが
「本当にあの先生の言うとおりに書けば、京大に合格できるのかな?」
との声を聞くようになったからだ。調べてみたら、高校の英語教師の半数しか英検1級を持っていない。予備校講師は、もっと酷い。私も
「あの講師って、本当に旧帝に合格できる英語力なのかなぁ」
と、疑問を持ち始めた。
そこで、自分で「Z会」を8年間受け続けて、添削内容をチェックしてみた。河合塾や駿台の「京大模試」を10回受けてみて、模範解答を見てみた。赤本や青本の解答を見て、疑問を持った。自分がアメリカで使っていた英語と違うからだ。
それで、センター試験を10回。京都大学の二次試験は7回受けて、受験英語、資格試験英語、ネイティブ英語などスタイルを変えて、どんな解答が実際に高得点を与えられるのかチェックしてみた。
そして、確信した。調べてみたらZ会の講師も多くの予備校講師も学歴や資格を公開していない。していても、京都大学を合格できるのか疑問を持たざるをえない講師や教師が多かった。
SNSが普及してきたので、自分の見解を述べ、通信添削を始めてみた。すると、驚くことに申し込みが殺到した。実際、京大医学部、阪大医学部、名大医学部、東京医科歯科大学などに合格者が続出した。
高学力の子たちも、私と同じ疑問を持っていたようだ。京大だけではないが、和訳や英作文が問題の中の中心を占める。どんな和訳や英作文がボーダーラインを越えるのか、どうしても知りたい。
しかし、専門家がいないのが現実だ。