「あなたには、思い出の中でしか会えない人がいますか?」
ともに学生時代をすごしたのに、事故や病気で亡くなってしまったクラスメート。
「ありがとう」
その一言さえ伝えられないままに、ご両親や大切な人を亡くした経験はないだろうか。心残りはありませんか?
「あなたは、自分の夢をかなえるために故郷を離れたことがありますか?」
自分の故郷がイヤでイヤで堪らなかった時期がありませんでしたか。振り返りもしないで、たたひたすら自分のやりたいことしか見えていなかった時期。その頃、故郷に残した人たちのことを思い出すことさえしなかった。
私は、還暦の塾講師のオジサンだから、この白い頭の主人公にはいっこも共感できない。この感情的な女の子にも共感できない。二人とも、近寄りたくないタイプ。
でも、・・・
あなたにも、こんな不器用で傷つけあうことしかできない時期があったのではないだろうか。私には、あった。あんな高価なバイクを買うお金などないかったから、自転車の後ろに彼女を乗せていた。
亡くさなくても、いろいろな事情で再会ができない相手も、ある程度の年齢を経た人なら、一人や二人はいるだろう。
少女マンガが原作らしいが、遠く過ぎ去って二度ともどってこない若い頃のことを思い出させてくれる映画だった。胸が痛む映画だった。自分がずっと昔に失ってしまった情熱や憧れを思い出させてくれる映画だった。
私の故郷は、海辺ではなくて山の麓だけれど、田舎の祭りもあるし、濃いすぎる人間関係も日々実感しているところだ。こんな田舎が嫌いで、都会に出て、アメリカにまで渡った。
バツイチになって、もはや女性に対する無条件の憧れなど持ちようがない。トラウマがあるのが、現実なんだね。でも、確かに、私にも同級生の女子がまぶしい時期があった。
目標を達成するためには、何もかも切り捨てないとやっていけないと思いつめた時期もあった。
みなさんは、いかがだろう。良い映画でした。