カードバトルゲームを中心とした、ソーシャルゲームの勢いがすごい。
http://s.nikkei.com/IKAmmH
こちらの日経新聞の記事にもあるように、飛ぶ鳥を落とす勢いのGREEプラットフォームのソーシャルゲームが、全世界で受け入れられ始めている。
「ドッドッドリランド」でおなじみの『ドリランド』や、「美しすぎるカードゲーム」の『ケルベロス』、といった、日本で大ブレイクしたソーシャルゲームのノウハウや蓄積が、世界に飛び出していくことは日本経済にとっても非常に好材料である。
一方で、ソーシャルゲームの課金に関して懸念材料も出てきている。
携帯電話料金の支払いに乗じた請求が主流の中、ユーザーが課金をコツコツと積み上げた結果、何万円にもなってしまうということが問題視されている。
http://exdroid.jp/d/34281/
この記事によると、ユーザー向けの課金に関してはこれから規制が入るようだが、問題はそれだけではなさそうだ。
タイトルの通り、それはカードバトルの肝となるクリエイター泣かせの問題である。
この2ちゃんねるのまとめサイトの記事をご覧いただきたい。
先日ネット上で話題になったものであるが、秋葉原で2人組みがソーシャルゲームのイラストレーターを募集していた、というものだ。
http://blog.esuteru.com/lite/archives/6085825.html
道端でクリエイターを募集すること、それは問題がない。ただ、問題なのはその料金体系である。
中身を見ると、カード70枚で20万円。1枚あたり3,000円は格安だ。
キャラクター原画を書き起こし、そこに塗りを施すとなると、イラストを作成するのはとても手間である。
絵師と呼ばれる彼らが、1枚あたりにかける時間は、書き起こしてから色塗りまで含めて約24時間。
1日8時間労働だとして、クリエイターの時給を1,000円と見積もったとしても、24,000円以上が原価としてかかってくるはずである。
イラストを納品するとなれば、販売代行してくれる担当が必要。その場合原価だけでなく、そこに利益をのせる必要が出てくる。
ゆえにブラックボックスになっているその相場は、1カードあたりの売価は、少なく見積もっても5万円以上というのが妥当ではないだろうか。
もちろん、名の知れた絵師であれば、そこにブランド料も乗ってくる。
先述の記事内にあるように、「絵師にもよるが、立ち絵10万、別カット2,3万位じゃないか」という意見もある。
中小のソーシャルゲームメーカーは、少しでも初期投資を抑えたいと思っている。
そのため、中間業者をはじき、直接クリエイターに発注をするケースも多い。
結果として、クリエイター(絵師)を保護する人間がいなくなるため、彼らの権利の主張が難しくなってしまうのである。
ひどいところでは、成果物が採用されなければ対価は支払わないという企業もいるという。
とあるソーシャルゲームが、pixivを活用して行ったイラスト募集キャンペーンも物議を醸しだしていた。(こちらのURLの通り http://togetter.com/li/286377)
安い賃金の結果、イラストのクオリティにも深く影響を及ぼしている。
直接多数の絵師と同時進行でイラスト制作をするため、進行スケジュールの遅延が発生したり、イラストの統一感が失われてしまうなどといった自体が発生してしまうのである。
萌え系のキャラクターイラストと少年系のキャラクターイラストが混じってしまっているゲームも見られる。カードのクオリティがゲームの肝のはずが、これでは本末転倒である。
海外に進出し、日本経済復興の一手として、賛否両論を受けながらソーシャルゲーム業界は急成長を遂げている。
ただ一方で、有無を言わさず安い賃金でイラストを作り続けなければいけない『絵師』の存在を忘れてはいけない。
正当な対価としての報酬を支払うことによる『クリエイター保護』も、ソーシャルゲーム業界の発展には欠かせない要素なのだ。
引き続き、このソーシャルゲーム業界のクリエイター問題について追いかけていきたい。
※画像は、GREEサイトよりキャプチャ