今回は、AKB48チームBの5th Stage「シアターの女神」公演内の楽曲、「夜風の仕業」を紹介する。
この楽曲は、AKB48チームBの柏木由紀のソロ楽曲であり、後に彼女の所属するユニットであるフレンチ・キスのデビューシングル「ずっと前から」のCWにも収録されている。
夜風の吹く児童公園で、一人彼を待つ女の子の心情が、夜の闇に照らされたその輪郭のように浮き彫りとなっている楽曲である。
歌詞は以下から、確認してほしい。
http://music.goo.ne.jp/lyric/LYRUTND99723/index.html
曲中で、彼女は、彼をひとりで想う。
電話くらいしてほしいという女の子らしい気持ちと、それを強く言えない彼女の気持ち。
歌詞中にはこうある。
‘今日は 仕事が忙しいことなんて 私にだってわかっているけど
一人きりのアスファルトは 足音が寂しすぎて 空き缶のひとつ蹴りたくなる’
この歌詞から、彼女の思慮深さ、彼に配慮する性格が窺える。
しかし、忙しく仕事をする彼を気遣いながらも、少しくらい自分の相手もして欲しいと寂しく思う気持ちも同時に精緻に描かれている。
歌詞中で、彼女は、自分がいる児童公園のシーソーになぞらえて、恋心をこう表す。
‘私だけが恋の比重 重すぎて傾いてる’
そう、彼女は彼を、本当に、想っているのだ。
けれども、彼は自分のことを、そこまでは好いてくれていないかもしれない。
そんな不安が、彼女を寂しさに駆り立てる。
しかい、彼には自分から連絡を取ることができない。
なぜなら、そんなちょっとした判断で、彼女は彼に嫌われてしまうかもしれない。と彼女は思っているから。
そんな繊細で優しい機微の中に彼女はいる。
この曲の公演での衣装は真っ白なワンピース。
それは、彼女の、この歌詞の中にある彼女の優しさや無垢さを表すと同時に、暗闇の中にいて、夜風を受けながら少し寒がる彼女のメッセージかもしれない。
真っ暗な公演で一人の白を見つけてよ。淡い光を見つけてよ。ってね。
忙しい仕事の帰りには、誰かに想っていてほしいなあ。なんて。