アル・カポネと、湯川先生
私は、いま幸福だ。胆石手術をしたときは、一日中寝返りもうてず「寝返りがうてることは幸福なんだ」と痛感した。通風の痛みで歩けないときは、「自由に歩けることは、なんて幸福なことなんだ」と思い知った。
バブルが崩壊して、少子化が進み、塾の生徒が減ったタイミングで、長女が大学に行くことになり、ちょうど同じタイミングで離婚のため共有していた通帳の中身を半分もと妻に持っていかれた。
続いて、次女が大学に進むころには、株を売り、貯金を崩し、親の年金をあてにし、政策金融公庫にお金を借り、最終的にはカードローンを4社お願いし、家財道具を売り払おうとした。
そのころ、「無事に三食いただけることは、実はとてもラッキーなんだ・・・」と、夜逃げを考えながら考えたものだ。同級生が夜逃げしたとか、失業したとか、病死や事故死の話をいくつか聞いた。
してみると、何気ない日常生活をおくれている今を幸福と言わずにおれない。子供たちが独立して家を出ていったとき、子供たちをディズニーランドやUSJに連れて行った時が、どんなに幸福な時間だったのかを思い知った。
だから、私は毎朝、少林寺拳法の練習をし、英語や数学や物理、化学の勉強を続けている。欧米人の考え方を知り、地球を俯瞰して見ることを可能にしてくれる。何十億年の宇宙の時間、空間の中で、人間の一生など、ほんの泡沫のごとしだ。
身体のほんの一部が故障したら、もう動けない。「痛い!」と叫んで、日常生活ができなくなる。紙にすぎない紙幣に右往左往させられる。一人で生きようとしても、何か心が満たされない。
まことに、人間は強欲だ。
私は、かなり勉強して、拳法を修行して、クリスチャンとして聖典を読み、お祈りして信仰を育んできたつもりだ。それで、これだとすると絶望的にならないこともない。ただ、嘆いていても仕方ないので、とりあえず日常生活を大切にしている。
若い頃は、「外国生活がしたい。視野を広げたい」と思い、アメリカで教師をし、英検1級に合格した。でも、黒帯を取ろうが、聖書を学ぼうが、大金を得ようが、悟りにはほど遠い。
高校時代は、全国で5番までに入るような同級生が天才のように思えた。確かに、賢いのだろう。私が何十年もかけて学んできたことを、わずか3年でマスターするのだから。
でも、今、京大を受けて合格レベルを越えてみると「これを3年でマスターするのは、すごい才能だなぁ」と思うと同時に、「でも、京大医学部に合格した子の英語も、未熟だったなぁ」と思うわけだ。
全然、天才と感じない。
私が40代の頃に、ネットが普及し、50代の頃にスマホが普及し始めた。スマホを持つ気にはなれないが、ネットは興味があって使い始めた。そして、Youtube に投稿し、ブログを書き、塾のホームページを作った。
今では、塾生の子の質問に、ファイルやメールで返答している。Youtube は39万回再生だし、ブログは受験生ランキングは常に1位だ。通信生は、北海道から鹿児島までいてもらえる。
京大医学部、阪大医学部、名大医学部の合格者もでた。今は、理Ⅲ受験生を指導させてもらっている。現役のころのことを思うと、夢みたいだと思うと同時に、大したことではないと感じる自分がいる。
大したことというのは、ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズのような、社会に大きなインパクトを与えられる仕事のことを言う。
30歳を過ぎたころ、「坂本竜馬やブルース・リーが亡くなった年齢か」と呆然とした。50歳を過ぎたころは、「織田信長はこの年齢で、天下統一をしかけていたわけか」と驚いた。
そして、還暦。高校生に英語や数学を指導しているくらいだから、小さな頃は頭がよいと言われてきた。しかし、このままでは何もなしえずに一生を終わりそうだ。もちろん、家族が持てて無事にこの年齢まで生き残っていることに感謝している。
それだけで、満足とも思える。
しかし、何か釈然としない。もちろん、これからも英語や数学、物理、化学の勉強は続ける。フランス語も話せるようになる可能性もある。そう思いながら、「それが、どうした」という思いに駆られる。
フランス語をマスターしたら、世界がどう見えるかは英語で体験済み。物理や化学をマスターしたら、数学をマスターした時のような気持ちになるだけのことだろう。それで、構わないけれど、何か釈然としない。
豊臣秀吉が、天下統一を成し遂げた後に、朝鮮半島に出かけていった気持ちが少しだけ分かる。
私の指導させてもらっている女子生徒が、痴漢にあったとか、不審者を見かけたと話すことがある。そんなバカ者の話を聞きながら、「でも、そんなバカげたことに夢中になれることは少しうらやましいかな」と思う。
私は、バツイチになってから、女性に関わるのは懲り懲りだと思っている。
ダビデの子、エルサレムの王である伝道者の言葉。 伝道者は言う、
空の空、空の空、いっさいは空である。 日の下で人が労するすべて
の労苦は、その身になんの益があるか。 世は去り、世はきたる。
しかし地は永遠に変らない。 日はいで、日は没し、その出た所に
急ぎ行く。風は南に吹き、また転じて、北に向かい、めぐりにめぐって、
またそのめぐる所に帰る。 川はみな、海に流れ入る、
しかし海は満ちることがない。
川はその出て来た所にまた帰って行く。 (伝道の書1章1~7節)
私は、この受験指導という仕事が好きだ。おかげさまで、四日市高校や桑名高校。あるいは、旧帝や国立医学部、京都大学をめざすような優秀な子に集まってもらっている。
この子たちは、礼儀正しく、志が高い子が多い。だから、授業中にほとんど不愉快なことがない。途中で塾をやめたり、月謝を滞納したり、備品を壊したりもしない。
だから、経営が安定して、塾を開設以来30年間ずっと黒字だ。ありがたいことだと思って感謝している。
バブルの頃に、とんでもない生徒やモンスターペアレントが来た時は、塾が混乱した。女性も懲り懲りだが、素行の悪い生徒や親も懲り懲りなのだ。
してみると、大したことではないと思われた勉強も大切だと分かる。勉強をしている生徒、人は素行が良いことが多いので、そのような人とだけつきあっておれば毎日が楽しくできる。
ヤクザや極道に囲まれてすごすのと、教授や先生に囲まれて生活する方が安心、安全であることは言うまでもない。
ホームレスの人を見て、「自力で更正すべき」と考える人は資本主義的、自民党的。「可愛そうだから生活保護で救う」と考える人は社会主義的、民進党的。戦後ずっとマスコミや人権派弁護士と呼ばれる人たちは左翼的だった。
しかし、もう世界中の人は偽善的な話にはつきあわないようだ。アメリカでは、トランプ旋風が吹き荒れている。イギリスも難民が押し寄せるのはごめんだとばかりに、EUから脱退するようだ。
日本でも、改憲勢力が両院で3分の2を得たので、自衛隊を日本軍にする事だろう。北朝鮮のミサイル開発や核開発、世界一の反日国家の韓国、尖閣諸島に侵略を繰り返す中国、北方領土を返還シナイロシア。
こんな状態では、教育現場でも「落ちこぼれにつきあっている余裕はない」という雰囲気なのだ。怠けている生徒に合わせていたら、こちらまで巻き込まれて落ちこぼれる。
確かに、私語に夢中になり、部活と勉強の両立などと言いながら毎日サッカーばかりやっている子につきあっていたら、難関校など合格できるわけがない。
楽しく、ハッピーな気持ちで勉強するには、そういうタイプの子から距離を置いて関わりたくないのが人情だろう。特に、成績が良い子は、できるだけ早く学校から帰宅して勉強したがる。
教師だって、ヤクザや暴力団には近づかないのだから、生徒に強要はできないだろう。
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