飼い犬は見つめられると安心ホルモンが増加する? 

  by 松沢直樹  Tags :  

ほとんどの動物は、人間と目が合うと、不安に怯えたり威嚇しようとする傾向があるといわれています。

ですが、飼い犬はきちんとしつければ、他の動物のように不安に怯えたり吠えることが減ります。犬は、人間と長く一緒に生活してきたため、人間に信頼を寄せることを学習したのではないかといわれてきましたが、その理由は詳しくはわかっていませんでした。

17日付けの米国の科学誌『サイエンス』に掲載された麻布大学と自治医科大学の研究グループの実験によると、飼い犬と飼い主は、互いに見つめることで信頼を高めていることが明らかになりました。

研究チームは、飼い主と飼い犬の尿中にしみ出してくるオキシトシンというホルモンに注目。オキシトシンとは、脳から分泌されるホルモンの一種ですが、動物が安心することで分泌されるホルモンと考えられています。

研究チームは、飼い犬と飼い主のペアのうち、1分半~2分見つめ合ったグループと、10秒~1分見つめ合ったペアについて、尿にしみ出てきたオキシトシンをチェック。

結果として、長時間見つめ合ったペアは、飼い主も飼い犬も尿にしみ出てきたオキシトシンの量が増え、信頼関係を増していることがわかりました。

この実験で、重要なことは、人間のほうも、オキシトシンの分泌量が増えているということでしょう。飼い犬に癒やされるという理由も根拠のあることとなります。

また、飼い主に見つめられることによって、犬も安心感を覚えるとすれば、飼い主が気持ちの余裕を持つことも、しつけにつながる可能性があるということになります。飼い犬のしつけに悩む方は、まずはご自分が癒やされることも大事なのかもしれませんね。

※写真はイメージ 足成 http://www.ashinari.com/2014/03/15-387058.php より

松沢直樹

福岡県北九州市出身。主な取材フィールドは、フード、医療、社会保障など。近著に「食費革命」「うちの職場は隠れブラックかも」(三五館)」近年は児童文学作品も上梓。連合ユニオン東京・委託労働者ユニオン執行副委員長